18日朝の時点でこのフィリピンの台風30号(Haiyan)による死者は3681人になるとフィリピン国家災害対策本部が発表した。一方、ベトナム中南部でもこの台風によって34人が亡くなり、11人が行方不明という被害が出ている。中部の世界遺産の町、ホイアンも町中が洪水に見舞われた。
この台風被害に対する支援活動の拠点になっているのが、セブ島である。
セブ島に入ったスタッフは、昨日、セブシティーのYMCA Cebuや避難所などを訪問した。セブ島はYMCA全体の支援の拠点にもなっており、レイテ島から避難してきた人々の治療や物資配布、避難所運営を行っているようだ。体育館のような場所を医療スペースと生活スペースに分けられている。生活スペースでは、被災者の人たちは家族ごとに3畳ほどの空間で生活している。スタッフが出会った子ども4人の家族は、マニラに支援者を見つけて移動する予定だという。医療スペースで活動する台湾の医療チームの人は「被災者はこれからどんどん増えていくだろう」と語ったという。
この台風災害直後から様々な情報提供で協力していただいているマニラ新聞記者、大矢さんから紹介いただいたセブ支局の記者のKさんにも貴重な情報をいただいた。Kさんによると、セブ北部で亡くなった方は72人で、北部の住宅の9割は竹製のバンブーハウスで、住民たちは壊れたらまた直せばいいという感覚で、耐震や防災という意識はほとんどないという。今回、気象庁による台風情報は1日4回しかなく、誰も詳細な台風情報を知らず、政府発表を信じずに避難しなかった人も多かったようだ。
フィリピンでは台風の事を「バギオ」(ルソン島北部の町)と呼ぶように元々、台風はフィリピン北部を通過する事が多かったようだが、この数年は中部のレイテ島やミンダナオ島など中南部を通過する事が増えてきているという専門家もいる。Kさんも「フィリピンには大小の台風も多いが、多くは北に向かうため、中南部の島々ではこれだけの巨大台風に対応できなかったのだろう」と語っていたそうだ。
(吉椿雅道)