ジャワ島中部地震ニュース第40報


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【写真】ワヤンを操るスタンティーさん。
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【写真】ワヤンクリッ(影絵人形芝居)

つぶやきレポート「インドネシア被災地の今」 Scene.22
 インドネシア、ジャワ島には、ワヤン・クリッと呼ばれる影絵人形芝居がある。現在でも村の婚礼や割礼、祭りなどの行事の際に夜通しで行われ、屋台や夜市が出て子どもから大人まで賑わうという。元々は、影絵ではなかった為か、水牛の皮で作られた人形には、非常に細かい細工が施されている。皮に下地を書き、切ったり、穴を開けたりして型を作り、その後に絵付けをするという手間のかかる仕事だ。小さい人形で三日かかるという。その人形の職人たちも多く被災した。
バントゥル県の南西部十数㎞のバングンジウォという集落は、ワヤン職人の街だ。そのひとりスタティーさん(37)は、この道15年の職人だ。工房兼自宅はそれほど被害はなかったそうで、僕達が訪ねた時は仕事をされていた。「ワヤン作りだけじゃ、メシ食えないからこれ作ってるのさ。。」と本皮細工を作っていた。そしてこれまで作ってきた人形を数々を見せながら説明をしてくれた。
 現在、ジャワではワヤンのような伝統芸能に若者が興味を示さなくなり、衰退の危機にあるという。スタティーさんは「ワヤン作りも俺の代で最後だろうな。。。」と寂しそうに語った。それでも「伝統を守るために作り続けるよ。」とも言っていた。
 地震によってこのバングンジウォの職人たちは自宅が被害を受けて、未だ仕事に出て来る事が出来ない。この地震でワヤンの衰退に拍車がかかると言われている。被害は様々なところに影を落としている。。。