8月、代表の芹田とスタッフの岡本がハイチ地震の被災地を訪れました。
カウンターパートのACSISを通して支援した女性の暮らしを、いくつかのレポートに分けてご紹介していきます。
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■2012年ハイチ訪問レポートNo.7
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*ベルフォート・アンナさん(日用品販売)の話
今回お会いした女性の中で、ひときわ厳しい状況に置かれた方であった。
住宅地のなかに、突然開けた場所が現れる。地震で壊れた住居の骨組みが残ったところに、テント、ブルーシートなどで小屋をつくり3世帯ほどが暮らしている。ベルフォートさんは5人家族。娘3人と、1歳になるかならないかの孫である。テントの側には井戸があり、別の女性が水を汲み上げ洗濯の真っ最中であった。水は十分にありそうだったが、雨の少ない季節には干上がることもあるという。
ベルフォートさんは200ドルを借りて商売を始めたが、その後、困難な状況に陥ってしまった。当初、ドミニカとの国境の町マルパスに行き、様々な物資を仕入れて地元で掛売りをしていたが、病気になり続けられなくなってしまったのである。高血圧と呼吸器系の病気だという。話をする表情にも笑顔は無い。娘さんも働いていないとのことだった。「昨日ごはんは食べられましたか?」と聞いてみたが、愚問を鼻で笑うようにうつむき「ノン」と答えた。
テントの中を見せてもらうと、5人が寝るためのベッドとちょっとした棚でいっぱいである。電気を引いているようでテレビと携帯電話があった。昼時だったが食器類は片付けられたままで、野菜のかけらがテーブルに転がっていた。隣の小屋の女性が外でスープのようなものを炊いていたが、ここに住む10数人がシェアできる量ではなさそうだった。ここには、ベルフォートさんの孫のほかに乳児がもう二人、それに2~3歳くらいの男の子2人と5歳くらいの女の子がいた。ここにいる人たちどうしの支えあいや、近所とのかかわりなどを頼りに、何とか生活をつないでいるようであった。
彼女たちの状況は、街なかの活気ある露天商たちとはまた違う。家はなく、健康上の理由や子どもがいるといった理由で働ける状態にも無い。自力で生活を維持することが困難でも、最低限の保障も無い。最も貧しい人たちの厳しい現実をつきつけられた。ACSISとは引き続き、随時こうした人たちを見守っていただけるようにコンタクトを続けていきたい。
(岡本 千明)