【2012年ハイチ訪問レポートNo.6】

8月、代表の芹田とスタッフの岡本がハイチ地震の被災地を訪れました。
支援地の人々の声を、いくつかのレポートに分けてご紹介していきます。
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■2012年ハイチ訪問レポートNo.6
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*ゲリー・ディウリンさん(軽食販売)の話
夫と4歳の息子と暮らす自宅の近く、住宅地の細い路地の一角で、パンとオムレツを売っている。幅2m、奥行き1mほどの小屋である。近くにある学校の子どもたちが主なお客さんだと言うが、「いま学校が休みだからねえ」と、店先で横になって昼寝していた。学校があれば、ひとつ25グールド(50円)で日に30~40個を売り上げる。250ドルを借りて材料費などに当て、すべて返済した。私たちの訪問で起こされたからか少し気だるそうに、「店の調子はまあまあね。また借りられるならもっと仕入れたいけど」と言いながら、彼女に甘えてまとわりついてくる息子をあやしていた。売れ行きはまずまずのようだった。
「こういうローンが無いとき、お金を借りるような仕組みはあるの?」と聞くと、近隣で互助組合があることを聞いた。グループをつくり、その各メンバーから毎月少しずつお金を集め、その中の一人に順番に集まったお金を渡していくという、いわゆる回転型貯蓄信用講である。その月にお金がもらえた人にとっては、ボーナスが入ったようなものである。これを商売の開店資金にする人もいるだろうし、冠婚葬祭や子どもの学費に当てる人もいるだろう。しかし、当然であるが、毎月の拠出金が工面できない人は参加することができない。彼女も参加経験があるが、いまはやっていない。近くに住む別の女性にも聞いたが、拠出金が払えないからやっていないという答えだった。
また、小規模金融の例として、私的な業者が人々に5人組などのグループを作らせてお金を貸す消費者金融のようなものもあるという。しかし、健康状態の悪化などで生活の危機が往々にして起こりうるハイチでは、「連帯責任」よほどの信頼関係が無い限り敬遠されている。当初、ACSISのローンでもグループ形成の案があったが、住民はこうした事情からグループ制には反対したという。コミュニティには様々な互助機能があるが、日本で私たちも経験しているように、都市ではその役割が希薄になりつつあるようだった。
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(岡本 千明)