5月に代表の芹田と事務局長の吉椿がハイチ地震の被災地を訪れました。
引き続き、そのレポートをお送りします。
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■2013年ハイチ訪問レポート No.4
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「ハイチ?それはどこだ?」とニューヨークの空港職員に言われた。
ハイチを「裏庭」と呼ぶアメリカは、良質のコメなどハイチの食料の多くを自国に輸出させている。そしてアメリカによるプランテーションや大幅な関税引き下げがハイチの農業を崩壊へと導き、貧困に拍車をかけた。にもかかわらず、アメリカ人の多くがハイチという国の存在をあまり知らない。日本もまたしかりであるが、ハイチはまさに世界から「忘れられた国」なのである。そんな中、ハイチを襲った大地震は「史上最大の人道危機」と国連高官が語るほど甚大な被害を出した。地震が、ハイチという名を世界中に知らしめた。
3年を経た今、NGOや国際機関も徐々に現地を去りつつあるが、未だ36万人が496か所の避難キャンプで暮らしているように住宅問題は依然解消されないままである。また、昨年11月のハリケーン、サンディは、54名の命を奪い、1万8千戸の家屋に浸水、倒壊の被害を出した。農作物でもトウモロコシに42%、コメの30%がダメになったという報告もある。
▲援助機関によって建設されたシェルター
▲無数にある避難キャンプ
CODEのプロジェクトである農業技術学校(ETAL)は、シスター須藤が以前、農業大臣から譲り受けた土地に建設される。現在はGEDDHが、畑などを作って管理しているが、地震後、この土地にも住居を失ったたくさんの被災者が押し寄せてテントなどで住み始めたそうだ。そんな被災者を追い出す訳にもいかず、IOM(国際移住機関)の協力によって新しい住居を確保して去って行ったのがつい最近の事だとシスター須藤は言う。
▲農業技術学校建設予定地
ハイチでは全人口の10%の裕福な人々がハイチの全収入の68%を占め、土地の90%を所有しているという。多くの農民は小作農で、育てた作物は地主に安く買いたたかれ、農民は農業に対してやる気をなくしていく。そして仕事を求め、都会へ流入していく。こんなアンバランスと悪循環がハイチの貧困を助長している。ハイチを忘れられた国のままにしてはいけない。
(吉椿雅道)