ハイチ地震レポート No.45

8月1日、CODEにて「ハイチ地震の被災者によるグループ“ACSIS”の支援活動~ハイチから学ぶ~」と題した寺子屋セミナーを行いました。富田林在住のハイチ人、ピエールマリさんと岡智子さんを講師にお招きし、ピエールマリさんが友人のルシアンさんと共に立ち上げられた「ACSIS」という団体の活動についてお話しいただきました。
レポートNo.44に引き続き、寺子屋で伺ったお話を交えてハイチの状況をお伝えします。
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ハイチでは教会の存在がとても大きく、心の拠り所、生活の一部となっています。地震で損壊していつ崩れ落ちるかわからないような教会の建物の中に人々が集まり、祈りを捧げるといった様子をピエールマリさんも見られたそうです。他の支援団体の報告でも、被災者が協力して仮設の教会を再建したという話がありました。孤児院や学校なども教会にサポートされているものが多く、学校の9割が私立というハイチでは、教会は教育にたいへん重要な役割を果たしていると言えます。
また、支援物資の配布にあたりACSISは女性をターゲットにしたという話があり、配布を待つ列に女性ばかりがずらっと並んだ写真を見せて下さいました。女性は男性よりも家族全体のことを考える傾向があり、女性を支援すればその家族にも支援が届きやすいとACSISは考えたそうです。女性を対象にすることは様々な支援活動においてよく行われていますが、ハイチでも女性は家族を守る役目を果たしているのです。
昨日のレポートでも触れましたが、被災者に仕事が無く、復興のために仕事を創り出すことが課題となっていると、ピエールマリさんは指摘されています。こうした課題への取り組みについては、例えばUNDPが「キャッシュ・フォー・ワーク」のプログラムで、水路の清掃やガレキの除去にこれまで約11万6000人(うち4割が女性)を雇用してきました。また、UNDPとWFPとの連携で約1万3000人を雇用し、「フード&キャッシュ・フォー・ワーク」として、労働に対して食糧と現金を支給しています(UNDP、7月12日)。
なお、ハイチの復興がなかなか進まない理由として、ロイターの記事は次のような点を挙げています(アラートネット、7月26日)。
・選挙日の決定が遅れ、政治的な不確実さが投資家や支援国を妨げていること。
・3月に国際社会が100億ドルの支援を約束したものの、その支援金が少しずつしか入ってこず、長期的な再建計画が立てられないこと。
・2000万立方メートルというあまりに大量のガレキの除去が難航していること。除去したガレキを捨てる場所が無く、重機も不足している。これまでに5%未満しか取り除かれていない。
・土地政策の不明瞭さと、土地所有権をめぐる論争があること。証書や登録書類も地震で失われてしまった。
課題は山積していますが、ハイチにはエネルギーのある若者がたくさんいます。ピエールマリさんの言うように、彼らの力を活かした再建が望まれています。

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