5月20日、ロシア国防省は、ウクライナ南東部マリウポリを完全に制圧したと発表した。「マリウポリでは、約3カ月にわたる攻撃で民間人の死者は約2万人に上ると推定されており、街は廃墟となった」(神戸新聞 022・5・22)と。アゾフスターリ製鉄所からは、これまでに2439名が投降したとのこと。ただ、この数字は正確ではないという指摘もある。
さて、ウクライナ兵士の妻は映像で夫の姿を見て、「生きていて、本当に安心した。捕虜交換が一日でも早く実現することを願っている」(朝日新聞 2022・5・22)と語った。しかし、一方では昨日のテレビのニュースで、「地獄から別の地獄へ行くだけだ」と苦しい胸の内を語っていた妻もいる。この言葉は衝撃的でした。ロシア政権内では、ウクライナのアゾフ連隊の幹部は死刑もありうるという声が出ているという報道もあり、先のウクライナの兵士の妻が言った言葉が頭にこびりつく。
ロシア側は「解放」と表現するが、投降した兵士と民間人が移送される先は、親ロシア派が支配する地域の旧刑務所という報道もある。「地獄」でないことを祈るしかない。
他方、この製鉄所の地下には避難していた子どもがいて、最後の攻防でケガをした子どももいたようだ。加えてウクライナ各地では子どもの犠牲も相次いでいることも報じられている。子どもにまで被害が及ぼすのは痛ましい!
5月28日付け神戸新聞で、「戦争はしないで」という見出しで13歳の中学生の投稿が紹介されていた。少し長いが以下に紹介したい。
—みなさんは今、ロシアとウクライナとの間に戦争がおきていることをしっていますか?今ロシアがウクライナへ砲撃し、ミサイルを撃って攻撃しています。みなさんは、昔の第2次世界大戦の時の戦争をしっていますか?あの時、見なれない姿に世界は変わってしまい、大ぜいの人や幼い子どもがなくなりました。それから戦争はやめようといっていたけれど、ロシアとウクライナの間で、戦争が始まってしまいました。それに被害を受けているウクライナは「停戦して」とねがってもロシアは聞いてくれませんでした。でも、ある日、ロシアのテレビ放送局で、アナウンサーが話していると、ロシア側の一人の人が画面にでてきました。「ロシアはだまされている」「停戦して」とカードを示していました。ロシアの中にもこんな人がいるっていいと思いました。なので、みなさんは絶対に戦争はしないでください。―
というものだ。私たちは、こうした子どもの切ない思いに、きちんと向き合わなければならないとあらためて気づかされた。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)