先日6月30日にスペインのマドリードで開かれたNATO首脳会議の結果を見ると、今回のロシア・ウクライナの状況に対して、広義での西側の国々はまったく「対話と外交で解決しようという姿勢などは1㍉も見えない!」。しかも、去る6月15日にブリュッセルのNATO本部で開かれた「ウクライナの防衛を協議する関係国会合」では、「45カ国がウクライナに兵器供与拡大を表明した」と。この状況は、荒っぽく言うとウクライナを盾に、プーチン大統領が君臨するロシアとの全面戦争に突入したということではないのか?
しかも、今回の首脳会議ではスウェーデンとフィンランドの加盟を正式に決定し、ウクライナも候補入りした。加えて、パートナー国として、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドをも巻き込み、これは中国をけん制する大胆な戦略であることも容易に理解できる。岸田首相が歴代の首相として、初めてのNATO首脳会議参加となり、注目を浴びたことは、日本の将来に大きな不安をもたらした。
毎日新聞7月2日付けの社説は、「NATOの体制強化」「露の暴挙が団結を促した」との見出しだ。その通りだろうが、同社説の中で主張している、「ロシアを抑止し、中国を警戒するのは当然だ。だが、敵対姿勢を打ち出すだけでは「冷戦の復活」のそしりを免れない。団結をてこに外交を動かすことが重要だ」という論をもっと強く打ち出して欲しかった。
さて、ロシアがウクライナ東部の2地域の「独立」を一方的に承認したことを受けて開かれた2月21日の国連安全保障理事会緊急会合において、ケニアのキマニ国連大使の演説で、キマニ大使は帝国主義によって分断されたアフリカの苦難の歴史を踏まえ、ロシアの行動を「正当化できない」と非難した。実はこの演説には「ロシア批判」は半分しかなかったと。同大使はロシアを批判しつつ、「アフリカをさんざん虐げてきた西欧が人権や非暴力の重要性を唱えることには偽善を感じざるを得ない」と言いたかったことが分かる」と指摘している。(朝日新聞、022・6・6夕刊「Globe」より引用)
岸田首相は、日本ならではのメッセージを伝える必要があるのではないか?今、参院選を前にして、暮らしに大きな窮状をもたらす中で、ウクライナ情勢に乗じて、「国を守る」「防衛費の倍増」を叫んでいる場合だろうか?第二次世界大戦の本土大空襲および広島・長崎の原爆投下による被害など、甚大な被害を受けた日本が、その後しっかりと“暮らし”を立て直してきたことが、ひいては平和につながることを実証したのは日本だけなのだ!岸田首相は広島出身なのに・・・・・・・?ケニアの大使を見習って欲しいものだ。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)
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