国連グテレス事務総長とプーチン大統領が合意した国連と赤十字国際委員会の関与による人道回廊による避難が始まり、2ヶ月による地下での避難生活から解放されたウクライナの人びとがいる。第一陣は希望した中南部のザポーリジャに到着したという報もあった。ウクライナのゼレンスキー大統領は、「初めて人道回廊が機能した」と評価した。私は、前回の本レポートで、「プーチンがこの合意を守るとは思わない」と否定的なコメントを書いたことをお詫びしなければならない。
テレビでは、乳児を含む子ども、高齢者、女性の避難の模様が映し出された。約100人が解放されたと。全部でこの地下には1000人近く居るだろうと言われていたので、まだわずかにしかすぎないが、とりあえずは「ホッ!」とするニュースだろう。
しかし、一方で「プーチン大統領が『対独戦勝記念日』の5月9日に、これまでの『特別軍事作戦』から、『戦争宣言』を発表するのでは」という報道も出されている。ロシアのラブロフ外相は「われわれの軍はその行動を特定の日に合わせることはしない」と述べているが、特別軍事作戦から戦争宣言にという変更は、一体何を意味するのだろうか?これまで何度も「核使用」をちらつかせているので、大変恐怖を感じる。
さて、日本は今日、75回目の憲法記念日だ。日本国憲法は、前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する」と掲げられている。
さらに憲法9条1項では「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。
プーチン率いる露軍に対して、即時停戦を説得できるのは、日本の役割であることは明白である。2月24日、プーチン大統領のウクライナに対する一方的な侵攻から2ケ月以上の凄惨な現実を前にして、日本の選択肢はこれ以外にはないだろう。
そして私たち一人ひとりに問われているのは、神戸市外国語大学の山本昭宏准教授のいう「国家や専門家が語る安全保障の言葉でなく、一人一人が自分の生活の中にある感覚で平和や憲法を語ることが大切だ」(2022年5月3日神戸新聞社説より引用)という言葉を深く噛みしめることではないか。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)