先日29日トルコのイスタンブールで開かれた、ロシア政権の侵攻による戦争の今後についての協議で、ウクライナ側の「軍事的中立化」提案を受けて、ロシア側が首都キエフなどへの攻撃を「減らす」と応答した。これまで何度も停戦協議を積み重ねてきた成果と言えるのではないか。新聞各紙の見出しは「露にウクライナ譲歩」「光は見えたか 停戦協議」「停戦交渉『重要な進展』」などと一定の評価と判断しているようだが、ロシア側のいうキエフなどへの攻撃を減らすというのは嘘だろうという報道もある。
3月25日ロシア政権がウクライナに進攻して以来、衝突は激しくなるばかりで、双方に多くの犠牲者を出すばかりである。これまでは、殺すか、殺されるかの選択肢しかないような事態が進んでいたが、こうした停戦協議によって、休戦に向けたもう一つの提案が出されてくる。つまりこれは、「殺すか、殺されるか」の選択から、選択の幅が明らかに増えるということである。従って、停戦協議を根気よく続けることが一つの解決の道だと言える。ロシア側の対応が疑わしいとしても、停戦協議が少しずつでも具体化するということは、いわゆる「一縷の望み」が見えたということで、これまでの「殺すか、殺されるか」という選択肢しかない現実よりは、はるかに「生きる」ための選択が増えたということだ。
いつまでも「ロシアにつくか、ウクライナにつくか」という二項対立になるような表現は避けよう!
21年前の2001年の「9・11」事件を受けて、アメリカのブッシュ大統領が「アメリカにつくか、テロにつくか」と世界中に訴えた時と同じではないか。その後20年を経て2021年8月、その戦地となったアフガニスタンでは20年ぶりにタリバンの暫定政権が樹立し、やがてアメリカおよびNATOは撤退した。その結果、アフガニスタンが深刻な事態に陥っていることは記憶に新しい。昨年の8月以来アフガニスタンではアメリカなどによる経済制裁としてのアフガニスタンの銀行に対する資産凍結を決行したことで、NGOはじめ援助機関からの支援金が届かなくなった。他方、国連が人道支援として、飢餓に苦しむアフガニスタンの人々を対象に、食糧支援をする事態となった。そしていま、ほとんどアフガニスタンの記事は紙面から消えた。こうして大国の干渉によって、アフガニスタンと同じ轍は踏んではならない。
一日も早く完全停戦、できれば休戦に持ち込むことを願うばかりだ。この段階に来ても、マスコミは結果的にプーチン大統領を叩く報道が目立つ。もちろん今回のプーチン大統領がウクライナに侵攻し、無辜なる市民を殺している蛮行は許せるものではないことは繰り返し言ってきた。
でも、今こそ和平に向けた提案を、私たち一人ひとりが発信することを求められているのではないか!「NO WAR」とともに「殺す側に立つな!」と叫びたい。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)