No.76「子どもを大切にする文化」

トルコ・シリア地震から明日で2年になる。地震直後からガジアンテップやカフラマンマラシュ、アディヤマンなどの被災地を複数回訪れてきたが、政府やNGOの活動には、子どもを対象としたプロジェクトがとても多い。

仮設住宅村には、子どもたちの遊び場(滑り台やブランコなどの遊具やバスケットコートなど)や心のケアセンター、イスラムの聖典コーランを学ぶ場、学習指導教室、図書館、映画館なども設置されているところもある。トルコには子どもを大切にする文化がある事がわかる。
今回訪問したハタイ県でも、子どもや若者たちを対象とした支援を展開するNGOも多い。

中でも非常に評価の高い「BURADAYS HATAY」というNGOがある。
「私たちはここ(ハタイ)にいる」という意味だそうだ。
地震後にアンタキヤの人たちで設立され、発災直後は食糧、水、衣服などの提供をしてきた。その他、再建の困難な地元の個人商店26軒に商品や設備などを提供してきた。ようやく緊急段階を過ぎ、これからが、社会の復興、心の復興だという。
1カ月前に新たに場所を借りて若者たちが自由に出入り出来るスペースをオープンさせた。暖かい部屋で安心して勉強が出来、チャイ(紅茶)も自由に飲める。被災した中学、高校たちは狭い仮設では落ち着いて受験勉強ができず、ここに来て勉強している。
このNGOの代表の女性Aさんは、このオープンスペースの意義について「1.学習スペース、2.社会的交流の場、3.伝統文化の継承の場、4.若者たちの心理的支援の場」と語る。

2年を経た被災地では若者たちの自殺が増えているという。将来を見通せない若者たちが絶望しているという事だ。2年の日(2/6)を迎える事が精神的につらく、この日敢えてハタイ離れる人もいる。
そんな若者たちがいつでも立ち寄れるスペースがここだ。
カウンセラーでもあるAさんは、「孤独でいたくない人はいつでもおいで」と声をかけている。だから「私たちがここにいる事が大切なんだ」と、その団体名の意味を教えてくれた。
(吉椿)