トルコの被災地に入って6日、一体何人の人と握手をし、写真を撮っただろう。
100人は下らないだろう。「ジャポン(日本)」と分かると、握手を求められ、写真を一緒に撮って!と言われる。それは被災地だけでなく、バスステーションや街中でもそうだ。ある日、カフラマンマラシュから帰り、バスステーションでバスを待っていると、一人の高齢男性が寄って来て「食べて!」とパンをくれた。
親日の国トルコとは知っていたが、ここまでフレンドリーだとは想像もしなかった。
1890年の和歌山沖で座礁したエルトゥールル号や1985年のイランイラク戦争でのトルコ機による日本人救援の事があるからだとよく言われる。また「日本とは戦争したことがないからだ」「日本は兄弟だ」と現地の人も言う。なぜそこまでなのか未だにわからない。
被災地には、地元だけでなく全国からたくさんのボランティアが駆けつけている。物資配布や掃除や炊き出しなど様々なボランティアが行われているが、特に驚いたのは、トルコ人の大好きなチャイ(紅茶)やパンやケバブを作って配る人たちが至るところにいる事だ。被災者だけでなく、警察、軍、ボランティア、僕たち外国人など誰にでも提供してくれる。
被災地には物資の課題はまだまだあるが、食べ物と飲み物だけには困らない。凍てつく寒さの中、被災地を歩き回った後の温かいチャイは本当に心身を温めてくれる。被災者も至るところで焚き火を囲んでチャイを飲んでいる。
被災地では、そうやってトルコ人(クルド人やシリア人も含む)皆で小さな支え合いを実践し、皆でこの難局を乗り越えようとしている。フレンドリーに接してくれる人たちの笑顔の奥には深い悲しみや痛みが見え隠れする。
僕たちよそ者はそんなトルコ人たちの支え合いをどう支えるのかを考えさせられている。
神戸の小学生が書いてくれたメッセージを被災地の子どもたちに手渡した。皆笑顔でありがとう(テシェキュレール)と返してくれた。
日本から来てくれてありがとう(テシェキュレール)と幾度となく言われた。僕たちはこの言葉にこれからどう応えていくべきか。
(吉椿)
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