月別アーカイブ: 2006年4月

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.35

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【写真】お寺まで大移動
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【写真】YASAはみんなのお母さん
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【写真】真剣な子ども
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【写真】見事なお寺の絵

(クキさんレポート28)
 今期最後の「避難所(お寺)の写生共育プログラム」となったデビヌワラ・キャラウェラ村は、デビヌワラ・シンハサナ村と同じお寺が避難所となる。前回と同じ道を子どもたちと一緒にお寺まで歩いていくことになった。肝っ玉YASA母さんを先頭に歩き出した列ではあったが、途中で二人の子どもが先頭を歩くことになった。YASA母さんは、その二人の子どもにお寺までの道を聞いていた。「こっちの道だよ」と二人の子どもは、得意気に皆を案内していた。タララ村の僧侶が本堂の鍵を子どもに渡したように、肝っ玉YASA母さんも子どもにお寺までの案内役を移譲した。
CODEの事務局長である村井さんから『子どもの目線で立つ』とは、子どもの背丈に目線を落とすということだけではなく、権限移譲までしなければ、『子どもの目線に立つ』とはいえないと教わった。エンパワーメントとは『権限移譲』という意味もあることも教わった。こうやって私は現地のボランティアを通して、本当のエンパワーメントを学ぶ毎日である。『見守る』という行為は、気をつけていなければ、ただ単に光景を見ているだけになってしまう。子どもたちの、そして私たちの本来持っている可能性や能力を、『見守る』という行為において引き出すには、時には子どもたちに言葉をかけ、又子どもたちからかけられ、子どもたちに行動を起こさせ、又子どもたちから行動を起こされなければならない。「権限を移譲し合う」とも言えるのかもしれない。この過程が、共育であり成長であり、この「防災共育」プロジェクトの目的の一つであるとも言える。
スマトラ島沖地震津波救援募金にご協力下さい
 郵便振替:00930-0-330579 加入者名:CODE
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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.34

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【写真】僧侶に呼ばれた子ども
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【写真】Pawarasiri Niwesaramaya Temple(150年の歴史)
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【写真】写生の時間

(クキさんレポート27)
 子どもたちの挨拶が終わると、そのチーフ僧侶がボランティアリーダーの一人である男の子を呼んだ。国内UNVも私も僧侶の目の前にいたにも係わらず、その僧侶はボランティアリーダーの男の子に本堂の鍵を手渡した。そして「君が本堂の責任者だ」と僧侶は言った。本堂の中には、価値の高いチベットから送られてきた仏陀像がある。その部屋の鍵を子どもに預けたのだ。ボランティアリーダーの男の子も初めは戸惑っていたようだったが、次の瞬間には、子どもたちを呼んで本堂への階段をゆっくりと登っていった。彼の姿は以前よりもずっとずっと大きく見えた。「彼らがほしいと願うものが、本当に彼らが必要としているものであるとは限らない。」ヒロの言葉と僧侶の姿とが重なった。
 写生も終わる頃、僧侶が私を呼んだ。この寺に今年の夏、大きなホールが完成するらしい。あるオーストラリアの団体からの寄付だと聞いた。このホールにはステージがあり、音楽会や演劇などに利用することができる。私たちの活動を知った僧侶が、このホールを完成後に貸してくれるというのだ。「稲村の火」の物語の演劇や「お・は・し・も」の歌の音楽会など開催が可能となる。最後に僧侶が言った言葉を思いだす。「津波で多くのものを失ったが、多くのものも頂いた、それは物資ではなく、人の暖かい心である」KOBEの震災の時と同じ。何もかも失った時に初めて、私たちは人の本当の優しさや暖かさに触れるのかもしれない。人が人らしくなれるのかもしれない。
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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.33

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【写真】毎回、プログラムの始まりに、祈ります
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【写真】年長さんが年少さんの手を引く
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【写真】僧侶に挨拶をする子どもたち

(クキさんレポート26)
 第4週目「避難所(お寺)の写生」共育プログラムがタララ村で実施された。私たちが到着した時、子どもたちは朝のお祈りを始めていた。プロジェクトサイトである個人宅の部屋の一角に仏陀が飾られている。その方向に子どもたちは座り、約5分間のお経が唱えられた。子どもたちの中にはお経を忘れてしまって隣の子どもの口の動きを見ながら、唱えている子もいたが殆どの子どもは、しっかりお経を最後まで唱えていた。私は仏教徒ではないが、宗教が違っても宗派が違っても、「祈る」という行為は人の気持ちを穏やかに又平和な気持ちにさせるものだと思う。
 国内UNVによる写生の説明後、プロジェクトサイトから避難所となるお寺まで大移動となった。ボランティアリーダーらの指示により子どもたちは一列に並ぶ。TUKTUKを先頭に、お寺まで歩いていくことになった。列の先頭、途中、最後尾に各ボランティアリーダーらが立つ。15歳を中心とした子どもたちだけのボランティアリーダーらは、子どもたちをいかにして「守る」のかをよく知っている。完璧なまでの誘導だ。お寺までの道の掲示板があった。今回で第3回目となる「写生」ではあったが、タララ村のみがこのような掲示板が建てられていた。次回、子どもたちの手でお寺への道の掲示板を他の村で建ててみたいと思う。
 お寺に着くと子どもたちは、僧侶のいる場所まで駆け寄った。彼に挨拶をするためだ。このお寺にはチーフ僧侶と9歳ぐらいの男の子の僧侶がいる。スリランカでは僧侶を見ると必ず皆、頭を地面ギリギリまで下げてひれ伏する。僧侶が子どもであっても、大人も子どもも同じようにひれ伏する。この行為にはいつも驚かされる。チーフ僧侶はひれ伏する子どもの頭に手をのせてニコッと笑った。とても綺麗な笑顔だったのが印象的だ。
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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.32

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【写真】神が宿る
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【写真】ハートマークの刻印

(クキさんレポート25)
 殆どの子どもたちが描き終わった頃、ふと、お寺のある一角に目をやると、あのお兄ちゃんと妹が、仏陀の像の前にいた。お兄ちゃんの首に手を回して抱きついている妹をテーブルの上に座らせ、お兄ちゃんはテーブルの上で絵を描いていた。その姿は、仏陀と一体化したかのように輝きに満ち、私は身震いするほどの感激を受けた。これほど美しい姿が他にあるだろうか。 
 ボランティアリーダーらにより、避難所の説明や、避難の仕方や注意点などが子どもたちに説明され、トッタムナのプログラムは終了した。
 最後に、このお兄ちゃんの描いた絵を紹介したい。お寺の片隅からお寺の本堂全体を描いている。よく見ると、本堂に、ハートのマークが描かれている。お兄ちゃんの妹に対する愛情がハートのマークとして本堂に刻印されたのだと思う。避難所となるお寺の写生ではあったが、このお兄ちゃんの目には、生きた神が写っていたのかもしれない。
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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.31

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【写真】Tottamuna Jaya Maha Viharaya
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【写真】一人静かに描いていました
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【写真】お兄ちゃんに抱きつく妹

しばらく途切れていましたが、スリランカ防災「共育」プロジェクトのレポートを再開します。前回とは別の地域での「避難所の写生」です。2回に分けてお届けします。
(クキさんレポート24)
 4週目「避難所(お寺)の写生」共育プログラムがトッタムナ村で実施された。この写生の目的は、第5&6週目になる、「防災マップ作成」共育プログラムのための下準備もかねている。プロジェクトサイトから避難所となるお寺までの道をみんなで歩きながら覚えてもらうことと、写生をすることにより避難所(お寺)の様子などを目と体で覚えてもらうことにある。私たちがプロジェクトサイトに到着すると既にボランティアリーダーらと子どもたちはお寺に行っていた。プロジェクトサイトから子どもの徒歩、約10分で避難所(お寺)まで着いたと後から聞かされた。
 今回も前回と同じく、画板が子どもたちに配られた。初めて見る画板に目をパチクリしている年少さんや、少しカッコつけて、片足を斜めに前に出して立ってみる子どもや、画板を椅子の上に置いて描いている子どもや寝転がって描いている子どもなど、画板ひとつで、こんなに違ったスタイルの写生が創れるんだなぁと感心しながら子どもたちを見ていた。
 写生のプログラムが実施された同じ日に、トッタムナ村でお葬式があった。式に参列するため、母親が小さな女の子を連れてきた。お兄ちゃんなのだろう、プログラムに参加している男の子がその女の子の方に駆け寄った。お兄ちゃんは妹を抱きながら、写生を再度開始した。しばらくすると、その女の子がワンワン泣きはじめた。そして、お兄ちゃんに抱きついて、離れなくなってしまった。(写真参照)お兄ちゃんは、写生どころではない。抱っこしては、少し描き、なだめては、少し描きを繰り返していた。ボランティアリーダーらが、女の子を抱き上げるとその子は、更に泣いた。どうすることもできないでいるボランティアリーダーは、お兄ちゃんと妹を見守るしかなかった。お兄ちゃんは、写生を諦めて、ずっとずっと妹を抱き続けていた。その光景を見ながら、私もどうすることもできなかった。
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