「津波アジア NGO 国際会議」参加レポート vol.2

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【写真】(上)いかを捕るかごを作る住民 (下)修復されたボート(タイ・プラトン島 9月23日)

9月23日 津波被災地訪問
 今日は3つのグループに分かれて津波の被災地を訪問した。片道4時間かかるので、朝6時にホテルを出発。私たちはクラビーからパンガー県のクラブリ地区にあるプラトン島に行った。プラトン島には、3つの村があり人口は1255人。人口の95%以上の人々が漁業に従事している。その中でも木で作ったかごにイカをおびき寄せて取るという漁法を多くの人々が使っている。この方法は、現地の人が昔から使っている漁法で、かごは島にある木を使って現地の人が作る。この漁法だと大量のイカを1度に取りすぎることがないので、生態系にも優しい。この島では、津波で約80人が死亡、又は行方不明、115の家が破壊され、70のボートが破壊された。
 ここでは、Save Andaman Network(SAN)という団体が活動しており、住民と協議しながら、漁業支援と住宅支援を行っている。漁業支援では、ボートヤード(ボート修理場)で壊れたボートを修理したり、造ったりしている。住宅支援では津波で被災し島の中央に避難していた住民に恒久住宅を建設している。どちらの支援も住民と何回も協議しながら、住民自らがボートを造ったり、住宅を建てたりできるように支援している。SANは支援をするにあたって、徹底的に住民と話し合う。住民が津波で何を失い、何が必要か、津波前から存在していた課題は何かなど、住民と話し合いながら、住民自身が今後の復興を担っていけるよう、特に、その地域の文化(伝統的な木の船、原始的な漁法)に合わせて支援している。その土地に元々あった課題(土地問題、生態系の問題)を解決するための道すじを復興過程に取り込んでいくことの大切さをSANとその地域の住民から学んだことはとても有意義だった。
 もう1つ学んだ点は、コミュニティーの連帯の大切さ。それは災害が発生した時にも当てはまるが、長期的な復興の過程にも当てはまる。私たちが住民と話をしていた際に、生まれたばかりの赤ちゃんがハンモックのように吊された布きれの中で眠っていた。実は、その赤ちゃんのお父さんは津波で亡くなり、お母さんは1ヶ月前に1人で赤ちゃんを出産した。住民たちはお母さんが安心して働くことができるように、赤ちゃんを交代でみたり、漁具を修理する仕事をお母さんに提供したりしている。その他にも、住民間で管理するコミュニティーバンク(地域銀行)や協同組合を住民が主体的に運営している。そのようなコミュニティーの連帯の強さは、むしろ日本が学ぶべき点であると思った。

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【写真】被災地見学の参加者(タイ・プラトン島 9月23日)

 最後に、一番気になったことは防災についてである。また津波が来たらどうするか、住民は考えているのか疑問に思った。村井が住民にその質問をしたところ、住民は自分たちで逃げる場所を考えたり、津波の勢いをおさえると言われているマングローブを海岸線に植えたりしていると言った。その言葉を聞いて多少安心したが、コミュニティーが(恒久住宅の建設やコミュニティーバンク、ボートの修理など)復興のためのプログラムを実施するのと同時に、次に来る災害の備えをすること、災害の経験を伝えていくことも大切であるということを神戸の経験としてつけ加えた。
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