「揺れるけど、怖くない!」
半年前のジャワ中部地震で、5,760名以上の方が亡くなり、14万戸が倒壊し、一部損壊も含めると46万戸が壊れた。阪神・淡路大震災では、6,434名以上の方が亡くなり、その内85%~90%の方は、倒壊した家屋の下敷きもしくは焼死というデータがある。ジャワ中部地震でも同じだ。地震から命を守るには、とにかく家が倒れないように、いや家が倒れても被害のないような「住まい」を工夫することが、世界共通の地震対策と云えるのではないか。ジャワにも、日本の在来工法による木造住宅のように、釘を使わず、基礎の上に置く礎石の工夫や駆対となる柱と横軸との組み合わせなど至る所に目を見張るような技術が施されている。これが、ジャワの伝統的な住まい様式だそうだ。違うのは耐震壁と言われる壁が、日本の土壁がジャワでは表面に彫刻をあしらわれた木製の厚い板であることだ。しかし、インドネシア政府は今回の地震での住宅再建補償に提示した条件は、鉄筋とレンガもしくはコンクリートブロック仕様のみのようである。果たして、耐震構造の住まいというのは、こうした選択肢だけでいいのだろうか。昔ながらの伝統的な造りや竹を使用した家の方が、「揺れるけど、怖くない」という証言も少なくない。自然環境を大事にしながら、持続可能な循環型ライフスタイルを考えると、その「住まい」というもののありようも決まってくる。あらためて「耐震の住まい」とは、どうあるべきかを考えさせられたジャワ滞在だった。