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ジャワ中部地震から6か月 (No 4)

日本の伝統民家とジャワ伝統の民家とはよく似ている!


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 ジャワ島の東部に位置し、2004年に津波被害を受けたインドネシア・ニアス島南部地域には、神秘的で、重厚な感のする高床式の「方形船型住居」という独特の住まいがあり、同北部にはまた南部とは違った容相の住まいがある。元はと云えばジャワの伝統的な家造り文化も、この地域から伝わってきたのではないかと思うほど共通点が多い。私がスタッフと共に、昨年9月に防災教育のために訪れたときに、被災地の壊れた家を見て回ったのだが、ついでに北部の昔ながらの伝統的な「楕円形樽型住居」も見せて貰った。その住まいは、100年前から建っているが、昨年の地震ではビクともしなかったそうだ。床は高床式になっており、床下は1.5mほどの空間があり、その空間には縦横無尽にかなり太い木が交差するように入れられている。決して真っ直ぐな木材ではない。中には「く」の時のように曲がっているものもあるが、それでもすべて「クリ石」の礎石に乗っている。これらが建物全体を支え、免震の役割をしているようだ。外側の壁と屋根はサトウキビを乾燥させたものが使われている。もう、屋根をふく職人さんがいないそうだ。そして中の部屋を間仕切る壁は、厚い木板だ。大屋根を支えるのは、架構式に組み込まれた木組みで、縦の柱は少し太く、横に入っているのは細い。よく見てみると、その細い横の桟はところどころ真新しいものに入れ替えられている。「なるほど!」と納得させられるところがある。それは次回に触れるとして、実にこの架構式の組み方見ると、秋田県鹿角市に保存されている「関善」を思い出させる。なるほど、これなら被害を受けても損傷は小さく、揺れを逃がすことができるのだと納得できる。
(関善:秋田県鹿角市花輪字花輪85にある関善酒店の「日本最大級の吹き抜け木造架構」の保存建築)

ジャワ中部地震から6か月 (No .3)

「揺れるけど、怖くない!」

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 半年前のジャワ中部地震で、5,760名以上の方が亡くなり、14万戸が倒壊し、一部損壊も含めると46万戸が壊れた。阪神・淡路大震災では、6,434名以上の方が亡くなり、その内85%~90%の方は、倒壊した家屋の下敷きもしくは焼死というデータがある。ジャワ中部地震でも同じだ。地震から命を守るには、とにかく家が倒れないように、いや家が倒れても被害のないような「住まい」を工夫することが、世界共通の地震対策と云えるのではないか。ジャワにも、日本の在来工法による木造住宅のように、釘を使わず、基礎の上に置く礎石の工夫や駆対となる柱と横軸との組み合わせなど至る所に目を見張るような技術が施されている。これが、ジャワの伝統的な住まい様式だそうだ。違うのは耐震壁と言われる壁が、日本の土壁がジャワでは表面に彫刻をあしらわれた木製の厚い板であることだ。しかし、インドネシア政府は今回の地震での住宅再建補償に提示した条件は、鉄筋とレンガもしくはコンクリートブロック仕様のみのようである。果たして、耐震構造の住まいというのは、こうした選択肢だけでいいのだろうか。昔ながらの伝統的な造りや竹を使用した家の方が、「揺れるけど、怖くない」という証言も少なくない。自然環境を大事にしながら、持続可能な循環型ライフスタイルを考えると、その「住まい」というもののありようも決まってくる。あらためて「耐震の住まい」とは、どうあるべきかを考えさせられたジャワ滞在だった。