津波現地レポートの最終版です。村井は昨日ジャワから帰国しました。次回からジャワ島中部地震関連のレポートをお届けします。
<正確な津波の被害は?>
ところで今回の津波による死者は約700人と日本の新聞では報道されたが、どうも下方修正が必要なのかもしれない。津波の高さも50cm~1mという説と5m~8mという説もある。どうも被害の状況からは、最大2mくらいのようだ。死者の数は、最も被害のひどいバンガンダランで413人だが、その他の地域ではそれほどカウントされていない。ただ、被災地から300kmも離れたジョグジャカルタの海岸でも3名が亡くなったとこちらのニュースでは報じられたようだ。バンガンダランからジョグジャカルタへ100km~150km離れた同じ中部ジャワ州のチラャップ(CILACAP)の海岸を観ると、ここも小規模の海水浴場のようだが、海岸沿いの施設や海の家などが壊れていた。この海岸から数km手前の漁港は何も被害がなかった。こうして同じ時の津波でも被害の格差があることが、津波の怖さを物語っていると痛感する。
さてこの砂浜には「津波に注視しましょう!」という真新しい看板が立っている。内容は、津波発生時の兆候と対策が簡潔に記されている。果たして効果があったのか?接した日付を観ると津波のあった”7月17日”となっている。後から建てたことを証明しているようなものだ。とはいえ、いずれにしろスマトラ沖津波以来、大きな課題になっているのは「津波早期警報装置」の設置である。国連世界防災会議で先進国が約束してからもう1年半が過ぎた。今回の津波は完成間近というところで起こったようだが、とにかく急がなければならない。警報装置が設置されても次に重要なのは、その情報を住民にいち早く知らせる方法である。これは各国、各地域が主体的に取り組まなければならない。何故ならば、揺れを感じない地震でも津波は来るからである。
残念ながら日本でも、地震が発生した後、「津波の心配はありません」というニュース速報がでるまでテレビを見ている者がほとんどだそうだ。テレビを見ている数分間のうちに津波が来たらどうなるのだろうか?こうして考えると、いくら一人ひとりが対策を講じていても、地震があったということが伝わらなければ、逃げようがないのである。日本では昔から「地震・雷・火事・親父」という怖さの順番を表現した言い回しがあるが、是非「津波」をトップに持ってくるべきだろう。
■現地地方政府バンガンダラン対策本部での被害状況(7月28日午前6時現在)7つの集落で、死亡者413人、重傷171人、軽傷235人、行方不明者34人、避難者4514名。他に財産の被害として、バイクや力車そして牛・水牛・山羊・鶏・アヒルの被害まで詳細にあがっている。ちなみにこちらではバイクは大変高価なもので貴重な財産。(村井 雅清)