ジャワ島西部沖地震・津波現地レポート No.1

IMG_8690.JPG

5月に起こったジャワ島中部地震の支援プロジェクトを決めるため、7月24日よりジョグジャカルタ入りしている事務局長の村井が、7月17日発生したジャワ島西部沖地震・津波の被災地を27日訪れました。現地レポートが届きましたので、3回に分けてお伝えします。
<砂浜だけでは津波の被害が見えない!>
「随分綺麗に片づけられている!」というのが、10日後の被災地に訪れた現地案内役のKさんの言葉。2004年のあのスマトラ沖津波災害の直後を見てきた私の目にも、「ほんとに津波があったのか」と思うほどの片付け方である。昨晩というか、27日の午前0時半頃にジョグジャカルタを出発し、午前6時過ぎには西ジャワ州パンガンダランの海岸に到着した。至る所で砂浜のヤシの木が倒れているというような光景は見えない。数千人の観光客や住民を一気に襲った海辺に打ち寄せる波は、決して穏やかとはいえないような荒々しさを感じさせていた。住民の証言では、「あの向こうの岬の先端あたりまで一気に水が引いた」ということらしい。砂浜から2㎞くらいだろうか。
同行した者が起きるまで、少し内陸部を見て廻った。中心街にちかい海岸はリゾート地らしく、平屋もしくは2階建てのホテルが林立している。津波のあった夕方には、きっとまだ砂浜で遊んでいた人たちも多かったのだろうと推測する。2年前にスリランカの海岸で見たのと同じように、住宅の基礎部分だけが残っているという更地のような状況があちらこちらにある。そんな中で、壊れたブロックと鉄筋とを分けている一団を見る。一方一人の50歳代後半くらいのおじさんが、ガレキの中を丁寧に片付けている。きっと大事なものを探しているのだろう。
砂浜に障害物がないほど、内陸部のある地点では津波の勢いが増すのだろうか。「何故、このブロック塀が壊れるの?」というところも見受ける。こういう状況を見ると、地震も怖いが、津波は瞬間に何もかもさらっていくという恐怖感がある。一瞬はかすかな生きる望みも断ち切られるのだろう。長年、その土地で、その海とともに暮らしてきた人たちでさえ、「もう海の側には住みたくない」という由縁かもしれない。(村井 雅清)