【写真】「まけないぞう」を喜ぶラマーくん。 |
【写真】ラマーくんと学生ボランティアの女性 |
つぶやきレポート「インドネシア被災地の今」 Scene.17
バントゥル県のJETIS地区に着いて車から降りた時、男の子が家の軒先でひとりで遊んでいるのを見かけた。
集落をまわった後、その男の子の事が気になって家を訪ねてみた。名前は、ラマーくん、7歳。生後8か月の時からダウン症になり、それからずっとこのJETIS集落にあるおじいちゃん、おばあちゃんの家で暮らしている。
ラマーくんの家を訪ねた時、彼はどこかに遊びに行っていていなかったが、おじいちゃんが全壊した自宅のレンガを片づけていた。おじいちゃんは、地震当時のラマーくんの様子を丁寧に説明してくれた。辛うじて倒壊を免れた家の別棟で寝ていたラマーくんは、倒れてきたタンスと柱の間にサバイバルスペースが出来て無事だったそうだ。地震後も取り乱したりする事はなく、落ち着いてるとおじいちゃんは言っていたが、ラマーくんは、さぞかし怖かっただろう。。。
その後、おばあちゃんが、ラマーくんを呼んできてくれた。ご挨拶に神戸からのメッセージ「まけないぞう」をプレゼントしたら、とてもいい表情で笑ってくれた。その後も「まけないぞう」を振り回したり、臭ったりして楽しそうに遊んでいた。そしてお礼におじいちゃんに促されて僕の手の甲にお礼のキスをしてくれた。自分の気持ちを思うように言葉にはできないが、ちゃんと大人の言う事がわかる賢い子である。この村にはラマーくんのような子供が他に2人いるという。深刻な状況の被災地の中で心温まるひとときの出会いだった。
弱者という言葉はあまり好きではないが、ラマーくんのような弱い立場にある被災者の人々の小さな小さな声や思いを大事にしていきたい。そしてそういう声や思いがちゃんと反映される復興を切に希(ねが)う。。。