月別アーカイブ: 2006年7月

ジャワ島中部地震ニュース 第35報


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【写真】「まけないぞう」を喜ぶラマーくん。
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【写真】ラマーくんと学生ボランティアの女性

つぶやきレポート「インドネシア被災地の今」 Scene.17
 バントゥル県のJETIS地区に着いて車から降りた時、男の子が家の軒先でひとりで遊んでいるのを見かけた。
集落をまわった後、その男の子の事が気になって家を訪ねてみた。名前は、ラマーくん、7歳。生後8か月の時からダウン症になり、それからずっとこのJETIS集落にあるおじいちゃん、おばあちゃんの家で暮らしている。
 ラマーくんの家を訪ねた時、彼はどこかに遊びに行っていていなかったが、おじいちゃんが全壊した自宅のレンガを片づけていた。おじいちゃんは、地震当時のラマーくんの様子を丁寧に説明してくれた。辛うじて倒壊を免れた家の別棟で寝ていたラマーくんは、倒れてきたタンスと柱の間にサバイバルスペースが出来て無事だったそうだ。地震後も取り乱したりする事はなく、落ち着いてるとおじいちゃんは言っていたが、ラマーくんは、さぞかし怖かっただろう。。。
 その後、おばあちゃんが、ラマーくんを呼んできてくれた。ご挨拶に神戸からのメッセージ「まけないぞう」をプレゼントしたら、とてもいい表情で笑ってくれた。その後も「まけないぞう」を振り回したり、臭ったりして楽しそうに遊んでいた。そしてお礼におじいちゃんに促されて僕の手の甲にお礼のキスをしてくれた。自分の気持ちを思うように言葉にはできないが、ちゃんと大人の言う事がわかる賢い子である。この村にはラマーくんのような子供が他に2人いるという。深刻な状況の被災地の中で心温まるひとときの出会いだった。
 弱者という言葉はあまり好きではないが、ラマーくんのような弱い立場にある被災者の人々の小さな小さな声や思いを大事にしていきたい。そしてそういう声や思いがちゃんと反映される復興を切に希(ねが)う。。。

ジャワ島中部地震ニュース 第34報


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【写真】スグレッさんの自宅
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【写真】どっしりと立つバンブーハウス

つぶやきレポート「インドネシア被災地の今」 Scene.16
 バントゥル県のJETISという農村部もまた大きな被害を受けた。第8RT(56世帯)長のスグレッさん(51)は、ゴトンロヨン(相互扶助)でガレキの片付けや落ちかけた屋根瓦の撤去作業に追われていた。スグレッさんは、子供さんとお孫さんの4人家族で暮らしている。自宅は96年に地元の大工さんを使って約2500万RP(約30万円)で建てたそうだ。当然ゴトンロヨンで村の人々の力も借りて。話を聞きながらじっくりと家の各部分を見ていると、壁には家を取り囲むように鉄筋コンクリートがちゃんと入っている。その為か壁自体はちゃんと立っている。(屋根はほとんど落ちているが。)という事は、もう少し補強の技術津や知恵があれば。。と思った。また逆にちょっとした工夫や知恵さえあれば、ゴトンロヨンで住民自らが住宅再建をやる事も出来るのではないかとも思った。
 スグレッさんは、「今は食料は十分にあるが、長期化すると心配だ」、また「今は政府からの住宅再建を待っている」と言って去っていった。
 JETISの集落の周りには田んぼや畑が広がる。その広大な田んぼの中に巨大な竹製の建造物が点々とある。近づいてみると縦15m、横5、60mの大きさに驚く。また中には太く長い一本の竹が無数に柱として支えてあり、数百本の竹が縦横に組んである。聞くとこの建物は、煙草や農作物を乾燥させる為に使う共同の小屋だそうだ。道の向こうの集落や学校はことごとく潰れているのに、このバンブーハウスだけは何一つ壊れる事なく、しっかりと立っていた。何かを語りかけるかのように。。。ちなみについ最近の情報では竹で耐震の住宅を建設しているそうだ。