つぶやきレポート「インドネシア被災地の今」 Scene.13
【写真】(上)ジャヤン村の中学校/(下)ムジマさんの全壊した自宅の前にて |
イモギリ地区のジャヤン村にある中学校には150人の生徒がいた。「今はまだ授業は再開してないわ。。。」とつぶやくのは、この中学校で教鞭をふるっていたムジマさん(34)。この学校は1980年代に建てられ、5人の教員と2人の事務員がいたという。職員室の建物は何とか残ったが、教室の壁は崩れ、屋根がすべて落ちてしまったチョークで字の書かれた黒板や散乱した机や椅子が地震前の子供たちの学んでいた風景を想像させる。まだ学校の再建の話はないが、ほんの数時間前に教育局の人が被害調査に来たそうだ。
ムジマさんは、学校の先生であると同時に妻であり、母でもある。そしてひとりの被災者である。ムジマさんが生まれる前に建てられたという自宅は、全壊してガレキの山と化していた。旦那さんの商売道具であるナタデココ(一時期日本にも輸出していたそうだ。)を作るプラスティックトレーをガレキの中から取り出してあった。
ムジマさんは、先生らしく、とてもおだやかな方で、突然来た外国人に救援物資の水を差し出してくれ、僕たちの質問にひとつひとつ丁寧に答えてくれた。そして最後に言った言葉が心に残った。「今は、自分の事で精一杯なんです。。」