ジャワ中部地震ニュース 第8報

<自然との共存・共生>
地震発生から1週間も過ぎると、次第に被害実態が明らかになってきた。現地の国家災害対策調整庁の発表では、建物被害として全壊4万4668棟、半壊2万2705棟、一部損壊6万8310棟となっている。それにしても、端数までこの段階でしっかりと把握できているというのは驚きである。ジョクジャカルタには日本でいう「向こう3軒両隣」という自治組織があると聞くが、その報告システムがしっかりしているということだろうか?
さて阪神・淡路大震災では、死亡者の85%が倒壊家屋による圧死か、転倒してきた家具による下敷きか、焼死となっている。今のところ火災が発生したとは聞いていないが、残念ながら今回のジャワ地震の被害も同じだろうと思われる。倒壊の理由として、建築技術が低い、材料が粗悪、そもそも地盤が軟弱等の上に、貧しい農家に集中して被害にあったということだ。
しかし、見逃してはならない事実がある。インドネシアでは日本企業等が関与して森林伐採を続けてきたために、建築材料である木材が不足してきた結果であるという指摘もある。新潟中越地震のあとに「科学的なデータはないが、その地域で育てた木材を使うことが最もよい」という棟梁がいたことを思い出す。これまでインドネシアはじめ海外で、「バッサ、バッサ」と切り倒してきておいて、今さらと言われれば何も返す言葉がないが、今、日本の建築家の間でも国産材を見直そうと訴えている人たちもいる。
日本において毎年の洪水などによる水害の規模が大きくなっているのは、逆にこれまで人口植林してきた森林を野放し、してきたからだという皮肉な結果を認めざるを得ないところだろう。これまでの失敗や場合によっては犯罪的な行為は率直に認め、今こそ「自然との共存・共生」を根本理念として、尊い命を守るために、この現実と向き合い、地球市民として国際社会と連帯しなければならないと痛感する。
 それにしても、昨年のパキスタン地震に続き「建物さえ壊れなければ」と悔やむ。
*関連団体の動き*
阪神・淡路大震災以来、被災地KOBEを支援し続けて下さっている(社)全日本仏教婦人連盟さんが、「心の募金」として「ジャワ島中部地震支援」を訴えています。“ご縁”のある方は、是非HPを覗いてみてください。(http://www.jbwf.jp/)。