No.8 ハリケーン・カトリーナ(2005年8月23日~31日発生、9月11日救援開始)

2005年の本日9月11日、CODEは「アメリカ南部ハリケーン・カトリーナ」に対する災害救援を始めました。
アメリカにおいて、未曾有の災害となったハリケーン・カトリーナは、日本でも大きなニュースとなりました。特にアメリカ・ルイジアナ州、ニューオーリンズは市街地の8割が水没し、その様子は大々的に報道されました。カトリーナの影響により当時45万5000人であったニューオーリンズの人口は現在36万9250人にまで落ち込んでいます。
CODEは2005年9月11日に救援活動を開始し、寄付などで集まったお金を全米災害救援ボランティア機構(NVOAD)とChristian Children’s Fund (CCF) に托し、CODEは救援活動を終了しました。
このカトリーナの被害の特徴は、黒人貧困層の被害が深刻であったということです。ニューオーリンズの移民の多くはアフリカ系アメリカ人であり、ハリケーン・カトリーナでは車を持たず、水のたまりやすい低地に住む黒人貧困層などの弱者が街に取り残され、大きな被害を受けました。彼らに対しての国や州の政府対応もずさんなものであり、避難所では食糧不足が発生し、一方衛生管理がなされない市街地では感染症が発生して避難所にも大きな影響を与えました。また、元々厳しい状態の黒人労働環境はさらに悪化し、ハリケーンを機に貧富の差が見直されるどころか、更に広がる結果となってしまいました。これらの政府対応の不備は後に強く批判され、当時のブッシュ政権の失墜を招くことになりました。
国や地域によって様々な人種や移民、障がい者、女性、子どもなど被害を受けやすく、支援が届きにくい弱者となる人たちが存在します。ハリケーン・カトリーナは特に多くの人々が弱者となったことで、このことがクローズアップされました。災害は人を選びませんが現実には災害は脆弱な貧困層を襲います。これはアメリカだけに限ったことではありません。日本では阪神・淡路大震災の折に弱者にあまり目が向けられず、後に「神戸宣言」において「希望の追求と怒りの声を高く上げよう。もっと被災の厳しい実情を声高に語ろう。外国人、高齢者、障がい者、女性、子どもを核に、人々のネットワークをつくり広げよう。」と「社会的弱者」声が届けられるように訴えました。本日9月11日で発生から2年半を迎えた東日本大震災の被災地では、順調に住宅再建や商売を再開する人がいる一方で、資金力の問題から家の再建が進まない人も多くいます。また文部科学省の発表によると、被災地の子どもたちの5人に1人が現在でも震災に関するストレスや「心の傷」を抱えています。阪神・淡路大震災、ハリケーン・カトリーナ、東日本大震災と何度も繰り返し社会的弱者が大きな被害を受け、復興から取り残されています。今後の防災、減災において、マニュアル的な避難方法などだけではなく、一人ひとりの状況に沿った対策を考えなければいけないことを改めて心に留めるべきなのだと思います。
(上野 智彦)

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