No.15 スマトラ島沖地震・津波(2004年12月26日発生)

先ほど、2003年のイラン・バム地震についてのレポートを流したばかりだが、翌年の同日にも大きな災害が起こっている。2004年12月26日、スマトラ島北東部沖で発生したマグニチュード9.0の地震により、大津波がインドネシア、スリランカ、タイなど13カ国を襲った。情報源によって変動があるが、22万人以上が亡くなったと言われている。この災害を受けてCODEは様々な活動を行ったが、代表的なものはスリランカにおける次のプロジェクトである。
・幼稚園・保育園再建
・防災「共育」(子どもたちによる防災マップづくりや防災ソングづくり)
・漁業組合支援(漁具の提供)
防災「共育」については、当時、スリランカ南部のマータラに2年間滞在したスタッフ浜田久紀がつぶさにレポートを書いているので、関心のある方は年末年始のお休みにでもぜひ読んでみていただきたい(http://code-sumarta.seesaa.net/)。
彼女は子どもと向き合う体験を通して、「教える」・「教わる」、「支える」・「支えられる」といった関係性が決して一方向的なものではなく互いに響きあうものだということを発信する。私たちはときに他者から学ぼうとする意識をシャットアウトしてはいないだろうか。特に、相手を無意識のうちに上から見ているときである。「そんなこと知ってるよ」「これが当然、常識だ」そんなカチコチな大人の頭に、子どもは新鮮な発想を教えてくれる。さらに、文化が違えば「当たり前」も違う。例えば、子どもたちの使うクレヨンが短くなったときに浜田が新しいものを取りに行こうとすると、子どもたちは布でクレヨンを伸ばして塗ってしまった。彼女ははっとする。「私はクレヨンを最後の一かけらまで使ったことはない」(2006年4月21日レポートNo.40 http://code-sumarta.seesaa.net/article/16845697.html)。
何でも既製品のある社会では鈍ってしまっている、ありあわせのもので工夫する力にはっとさせられてみてはいかがだろうか。スリランカの子どもたちのような問題解決力が、災害時にはもっとも大切なのではないだろうか。
もうひとつ印象的なエピソードを記すならば、漁師さんの話である。津波で漁業の道具を失った住民に対して、CODEは漁業組合を設立して一隻のボートを支援した。組合員はこの船を交代で使って漁をし、魚を売った収入の一部を組合にプールする。そのお金は組合のための漁具の購入などに当てられるという。支援機関の中には、各世帯に船を提供した団体もあったらしいが、CODEの支援について組合の代表はこう言ってくれた。「CODEは個人にではなく、この漁業組合というコミュニティに対してボートをくれた。たった1隻のボートだけれど、このようにコミュニティが協力して強くなれる方法は良かった。」小さな支援ではあったが、人々の分かち合いや協力の精神によってこれが活かされ、かつ、さらに人々の結びつきを強めるという、社会的背景と支援の相乗効果を象徴するような言葉であった。
ただ、CODEは最初からそのような効果を狙っていたわけではなく、偶然この漁師さんの言葉によって大切なことを学ばせていただいたわけである。CODEの理念である「学びあうこと」とは、相手を尊重する姿勢にほかならない。
(岡本千明)