現地入りしていた尾澤良平は、一日送れで無事帰国しました。JALさまはじめ、みなさまのご支援の賜だと感謝しております。若干24才の人間ですが、こうした貴重な経験をさせて頂いたことで、大きな学びになったことと思います。6日の神戸での報告会では、その充実したイタリア訪問についてたっぷり聞かせて下さると思います。また、6日の報告会には、うまく調整できれば意外なビッグゲストが参加してくれるかも知れません。このことも含めてお楽しみにして下さい。
さて、彼が現地を飛び立つ前に入った被災地「コピート村」での様子や、そこでインタビューしたドクタークラウンの話を紹介します。長くなりますが、ご了承下さい。
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<4月29日>
ちょうどお昼過ぎにコピート村に着いたので、食堂(100m×20m)に連れていかれて、支給されている昼食を頂きました。今回の派遣で2回目です。1度目は例のロシア人友達のいるテントだったのですが、内容がまったく違っていました。そこには大きな厨房があり、専門かボランティアかわかりませんが担当のコックがいる。お肉・ほうれん草・ラザニア・パスタ等がたっぷりありました。それを給食のように、お盆を持って、お皿に入れてもらう。そして卓上にはパンと甘いチョコパンと蒸しパン、オレンジ、水(炭酸有&無)。聞いただけなら一流のレストランかと間違えそうなほどの内容です。イタリアに長く住む通訳Kさんからすると、まあ普通の家庭料理程度かな、という印象だったらしいです。しかし、避難所で家庭料理並みの待遇が与えられている、ということはやはり十分な対応なのではないでしょうか。ちなにみロシア人の彼がいたところは、先述しましたが、ランチパックのようなもので、少し味気ない印象がありました。お昼前にそこを訪れてレストランの様子を見ましたが、前回と変わらずのランチパックでした。両者とも政府から支給されている、と言っていたので、何かしらの対応の差があるのかもしれません。
ドクタークラウン達はすでに食べ終えていましたが、何やら疲れている様子。午前中に戸別訪問をしていったそうですが、それでかなりつかれたとのこと。そういえば、昨日も日没前の19時頃(こちららは日が長いので、20時頃が日没です)にミーティングをしていましたが、舞台裏のクラウンはかなり疲れていましたね。さらにそれからあまり寝ていないという。1週間弱の短期的なボランティアですが、終日フル回転なので、相当しんどそうです、被災者の前以外では。今回は4人組みで来ていて、1週間ごとのローテーションです。持てる力を最大限発揮しようとするのでしょう。各自それぞれテントを持ってきており、お昼休みも一応あるので、ゆっくりできるのですが、「寝れるかなぁ、、、」、とボソっとつぶやいていました。その予感が的中したのか、はたまた休むうつもりは毛頭なかったのか、食後すぐに子どもがいるテントに向かっていました。
思春期の子どもの内の一人が他の子どもとケンカをして落ち込んでいるというのを聞き、励ましにいったのです。風船を使ったり、ジョークを言ったり、、、場は明らかに変わります。
さて、彼らと交流できるのも最終日なのでドクタークラウン2名をインタビューしました。 一人目は20歳の学生で、薬学を学んでいるというナイスガイ。クラウン名GIODY。以下質問に対する答え。
①ドクタークラウンとの出会いは?
→お母さんや妹がドクタークラウンをやっていた。一年半前からやっているが、人を励ますことで自分も元気になる。
②動機は?
→ガレキの撤去や配食などの普通のボランティアではなく、自分の得意分野を活かした活動がしたかった。ドクタークラウンは数としてもまだ多くないが、自分のできる事をしようと思った。
③ドクタークラウンは国の予算など見てもイタリア社会の中でとても盛り上がってきたように感じられるが、どう思うか?
→ドクタークラウンはイタリアではまだ新しい概念であり、システムだ。専門的なドクタークラウンは600時間もの講習を受ける。ボランティアの僕は週末6回の100時間コースを受講し、それから病院で研修を受けた。予算等お金の関係抜きにしても、クラウンが必要だと考えられ始めた。市民のウケもいい。警察や市長も感謝している。ゆっくりゆっくり関係を築いていると思う。さらにこのような事は個人でするの
は難しいので、団体などで行動することでやりやすくなっていると思う。
④病院でクラウン経験があると言っていたが、被災地で行った後で感じる違いや特徴はあったか?
→病院では、高齢者の方や子どもの退屈をつぶすという印象があったが、被災地では笑いを生み出すだけでなく、彼らの悩みやつらさを聞いてあげて発散させるという傾向が比較的強いと感じた。
⑤ボランティアにしてはとても長い研修が必要だと思ったが、一番のポイントは何だったか?
→経験者の話を聞けること。
⑥ドクタークラウンに必要な要素は?
チェンジ。気分を変える。雰囲気を変える。視点を変える。
二人目は一番印象的で、おもしろすぎる長身の美女!?クラウン名、SOTTOSOPRA。
①クラウンとの出会いは?
→もともとロンドンで演劇やサーカスの勉強をしていて、そこで友達に紹介された。
②動機は?
→ロンドンにいたときに事故に遭い、足を痛めた。それで諸事情あり、ローマに戻って1ヵ月したときにドクタークラウンのコースがあることを知り、すぐに動いた。
③ドクタークラウンに必要な要素は?
→人々の様子を見て、問題を発見して、やるべきことをする。
④被災地ならではの特徴は?
→やはりストレスなどを吐き出したい人が多い。それをうまく聞いてあげることが必要。
以上、2名です。
もう何も言うことはありませんね、まさにボランティアの鏡です。
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