月別アーカイブ: 2009年7月

イタリア地震支援ニュース14

イタリア中部地震発生から3ヶ月以上が経ちました。
7月8日から10日にかけては、被災中心地のラクイラでG8サミットが開催されました。
地球温暖化対策や経済対策、イラン・北朝鮮問題等について各国首脳がさまざまな意見を交わしたようです。
その一方で、現地住民の暮らしはまだまだ復旧段階であり、現在もなお約5万3000人(イタリア政府調査)がテントやホテル暮らしを余儀なくされています。
サミット期間中、震災復旧の遅れを理由に、地元では多くの抗議やデモが行われました。
震災発生時刻にちなんだ「3時22分委員会」という団体は、サミット会場近くで「YES WE CAMP」の巨大文字を作り、オバマ米大統領の名台詞をもじった抗議が行われました。
水・食糧は十分にあることは前回の調査でよくわかりましたが、生活の見通しが依然としてつかない事は、何よりもつらいことです。
さて、以前お伝えした6月12日のイタリアバロック音楽チャリティコンサートは大盛況のうちに終わりました。
イタリア文化をそのまま音楽に乗せたような歌声・メロディは、その重層な歴史を幾分のくるいなく、表現しているようでした。
一方CODEでは「ひとりアート展覧会」を開催し、個に焦点を当てたイタリア地震チャリティ絵画展を行いました。
会の期間中には、バロック演奏家の方々に再度来て頂き、生演奏までして頂きました。長田にある作業所「こころわ」のスタッフがカフェまで営業して頂いたので、贅沢な空間・時間を味わうことができました。
みなさん、ご支援ご協力、本当にありがとうございます。
以下に、上記のイベントに関わった方々のご紹介をのせておきます。
イタリアバロック演奏家
“Office principi-venetiani” 075-493-5262(TEL&FAX) 笠原
“Cantoima” 078-851-7627(TEL&FAX) 今泉
「ひとりアート展覧会」関係者
三宅君弥:青陽高等養護学校卒業後、”こころわ”での実習を経て、現在一般企業で勤務。得意の貼り絵を出品。
平島和雄:地元神戸で活躍されている即興画家。登山ガイドを務める傍ら創作活動を続ける。
こころわ:長田区小規模作業所。カレーの調理・販売などを通じて、障がい者の方の自立・学習の場を提供している。カレー自体も大好評。

イタリア中部地震支援ニュース13

前回、地震発生からちょうど一か月の日に報告会をした、ということをお伝えし ました。 その時に特別ゲストとして3名のプロのクラウンが参加しました。ここで、報告 会時に共有された『クラウン』の歴史や『ドクタークラウン』についての基礎知 識をおさらいしておきます。
クラウンについては三つの潮流を受け継いできている、といわれています。
一つ目はクラウンの原点呼ばれているブッフォン・宮廷道化師の存在です。これは主に欧州において、古代から中世にかけて活躍した皇帝の道楽役兼インテリ役です。絶対的な存在である王様や貴族階級の人に対して、世の中の出来事をおかしく喜劇的に表現した者。一方で報道者として、一方では享楽を与える者として、ある意味では王を『裸の王様』に仕立てあげることのできる特異な存在だったのです。ブッフォンについて特筆すべきは、彼らが往々にして、極端に背の低い小人であったり大きな身体的特徴を持っていたりした人達だったことです。彼らは当時の社会の異端者であったのですが、ブッフォンの意味からすればその身体的『特長』を生かした(現代社会では障がい者として保護の対象と捉えられる傾向にあるが)活躍の場があったわけです。
二つ目の視点としてはイタリアの古典喜劇コメディア・デラルタの中での役割です。これは16世紀頃にイタリアで生まれた即興演劇で、道化役が極めて重要な立場を担っています。
三つ目はサーカスでの役割。これは想像に易いと思いますが、緊張感のある芸が多い会場を、失敗・滑稽・安らぎなどで笑いを引き起こす役割です。
クラウン(道化師)と聞くと、日本ですぐイメージされるのはピエロです。実はこのピエロというのはクラウンの歴史の流れの中にある一つのキャラクターにすぎません。ピエロは、好きな人にフラれ、人生失敗ばかり。しかし、そんなキャラクターに愛情を向けてしまうのが日本の精神にあるのでしょう。判官贔屓(ほうがんびいき)という感情を持つ傾向にある日本では(報告会の中では、これはまさに演歌の世界だ!という指摘も)このピエロの役がピッタリ社会に馴染んだのでしょう。
クラウン(道化師)=ピエロのステレオタイプが出来上がったのは、このような経緯も関係しているのでしょう。
クラウンの活動がどこまで日本に影響を及ぼすのか、コミュニケーション不足といわれている現代社会に一石を投じるような、第四の潮流を汲んでいくとことを大いに期待します。
現在、被災地のボランティアによる「こころのケア」とクラウン活動の関係性を探っているところです。日本では緊急クラウン、クリニクラウン、ホスピタルクラウン、ケアリングクラウン等の団体が素晴らしい活動を続けています。