No.33 「フィリピン・バンタヤン島のいま」

フィリピンのカウンターパート、NGOのジョジョさんより、CODEが支援活動をしているバンタヤン島の現状が伝えられました。サンタフェ町ポオック地区では、あるリゾートのオーナーが新型コロナウイルス感染症により亡くなったとのことです。オーナーは医師でもありました。そのリゾートは、CODEのカウンターパートである住民アソシエーションのリーダー、ティソイさんやボニーさんの自宅のすぐそばにあります。また、そのエリアは他にもリゾートが多数立地しています。現在一帯は封鎖され、人の出入りができなくなっているとのことです。

サンタフェ町の産業は観光に支えられています。コロナの影響でロックダウン状態だった町では、7月にようやく観光が再開しましたが、未だ観光客は皆無だそうです。アソシエーションの女性たちによる石鹸作りのプロジェクトも、人が集まれないこと、販売ターゲットの一つである観光客がいないことから、休止状態にあります。

さらに、居住地区内でコロナによる死者が出たことで、ティソイさんやボニーさんら家族も不安や緊張を抱えていることでしょう。地区内のリゾートも、しばらく営業停止せざるを得ません。アソシエーションのみなさんは、この厳しい状況を乗り切るための方策を模索しています。(立部)

No.32 「第2波とロックダウン」

世界で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症(COVID19)は、依然として収束の兆しを見せていません。
米・ジョンズホプキンス大学の集計によると、8/25現在、世界全体の感染者数は2364万7377人、死者は81万3022人となっており、累計感染者数は、アメリカ約574万人、ブラジル約362万人、インド約316万人、ロシア約96万人、南アフリカ約61万人、ペルー約59万人、メキシコ約56万人、コロンビア約55万人、チリ約40万人となっています。

日本同様に、第1波以降、減少傾向にあったヨーロッパ、アジアなどでも第2波によって再びロックダウンなどの規制が実施されて始めています。
中国の後に爆発的な感染地となったヨーロッパでは、スペイン、フランス、ドイツなどで感染者が再び増加しており、スペインでは、7月下旬の1週間で1万人以上の感染が確認されており、バルセロナのあるカタルーニャ州では外出禁止令やナイトクラブの閉鎖命令が発令、北西部ガリシア州では一部移動規制も始まっています。この両州の一部地域ではロックダウンが再開されています。スペインは、夏の行楽シーズンでEU諸国に国境を開放したばかりでした。ヨーロッパでは、経済への影響からロックダウンは以前のような大規模なものではなく、一部地域に限定していくようです。

一方、アジア・オセアニアでも、第1波の封じ込めに成功したと言われるオーストラリアやベトナムでも、再び感染者が増加しています。アジアで台湾に次いでコロナ対策の優等生であったベトナムでも、中部ダナンで3か月ぶりに感染者が確認され、国内初の死者も出て緊張感が高まっています。
オーストラリアでは、第2波によって感染が増加していることからビクトリア州とニューサウスウェールズ州の州境の封鎖を開始しました。人口500万人の第2の都市メルボルンでは、感染者が1日で700人以上出たことから外出禁止などの実質的なロックダウンを再開しています。

現在、冬を迎えているオーストラリアやニュージーランドのような南半球の国々での感染の動向を世界の疫学者が注視しています。自国ファーストにならずに世界に目を向けることは、結果的に日本に還ってきます。(吉椿)

No.31 「九州の豪雨被災地からの学び―その②佐賀」

「被災地の現場から」と題したオンライン報告会の第2回を開催し、佐賀県の一般社団法人おもやいから、鈴木隆太さんと満原早苗さんにご報告いただきました。昨年の佐賀県豪雨から、地元武雄市で丁寧な支援を続けている「おもやい」のみなさん。今回の豪雨では、佐賀県太良町を中心に支援活動をしています。非常に学びの多かったお話の、一部をお届けします。

〇ボラセンのかたち
地元社協が平時の相談業務の延長上で被災宅を訪問し、そこから見えたお困りごとに
対して、おもやいがボランティアを募りつつ、経験を活かして対応する。「ボラセ
ン」の形態にとらわれない役割分担。

〇ボランティアを「県内限定」にする意味
県境よりも「半径○km」で募集する方が実際の生活圏に即している。と分かりつつ、
今後を見据えて佐賀県内のつながりをつくるために、ボランティアを「県内」募集す
るという「チャレンジ」。でも「県内で頑張ってるからOK」ということにはしたく
ない。

〇専門家との協働
チームに建築士がいる強さ。専門性を住民の生活目線で活かすことで、被災した方と
支援者の両方に安心や選択肢を届けられる。一緒に悩み考えることができる。

〇制度からこぼれる人を支える
災害救助法が適用されなかった太良町。件数は少なくても一人ひとりの被災者がい
る。制度による支援からこぼれる人を支えるために、民間でクラウドファンディング
を立ち上げ。誰かが動き出すことで、社会を動かすしかないということ。

コロナ禍の被災地支援でも、ウルトラCの解決策はきっとなくて、真摯に向き合っ
て、できることを、自分たちから、やってみるしかないのかなと。
その時に、一緒に考えられる仲間がいること、その真ん中の真摯なアクションが、さ
らに輪を広げること。おもやいのみなさんから、その大切さを改めて感じました。
正解をたどっているのではなく、ベターを模索するチャレンジ。
(立部)

佐賀県では、お家が浸水していても公的支援を得られない方がたくさんいます。おも
やいのみなさんが始めた民間による被災者支援。ぜひ応援をよろしくお願いします。
「令和2年7月九州豪雨災害支援金~小さな被災地にも支援の手を!ひとりひとりの
復興を目指して寄り添うための寄付をお願いします。~」
https://congrant.com/project/omoyai/1958?fbclid=IwAR10QUvhSJc61W5V5XM26bTGNrLiL9no-VGaP1orig87PUXeQOmmPRJDOU8

No.30「九州の豪雨被災地からの学び」

先日、「被災地の現場から」と題して、7月豪雨の被災地である大分県日田とオンラインで開催しました。日田のNPOリエラの代表理事の松永鎌矢さん、副代表理事の河井昌猛さん、被災地NGO恊働センター代表の頼政良太さんの3名より現場ならではの報告をしていただきました。

3年前の九州北部豪雨をきっかけに設立されたリエラは、今回、地元の団体として天ケ瀬や中津江村の被災地の支援をおこなっています。天ケ瀬は、温泉地でコロナ禍で営業自粛をしていて、これからという時に豪雨災害で大きな被害を受け、すでに廃業を考えている温泉旅館も出てきていると言います。
また、道路が寸断し、一時完全に孤立状態になった中津江村では、地域の顔の見えるつながりで助け合ったといいます。中でも、話題になったのが、「生活文化圏」。日田市は、大分県ではあるものの玖珠川沿いを西に大分市に出るよりも、三隈川沿いに東へ福岡県のうきはや朝倉出る方が早いし、便利であると。
思えば、江戸時代は、天領日田の名産、「杉」は、三隈川から筑後川を通じて下流の家具の町、大川に搬出されていた。今も、日田から福岡県内に通勤する人もいるように福岡文化圏なのです。
また、2005年に日田市に合併した中津江村は、福岡県の八女市と熊本県の小国町に境を接していて、中津江村の住民は日田市内ではなく県境を越えて小国町に買い物に行ったり、家族親戚などの行き来もあるそうです。このように生活文化圏という視点で見ていくと、災害ボランティアの募集を県内外で分けることが現実に即していない事が見えてきます。そこに暮らす人たちの暮らしの視点からものを考えることの大切さに気づかされます。実は、これは日本各地の中山間地域にも言える事かもしれません。

CODEの姉妹団体でもある被災地NGO恊働センターの頼政代表は、リエラの理事でもあり、いち早く日田の被災地に入り、リエラのバックアップをしています。現地だけでは、なかなか知りえない住宅再建に関する相談などをオンラインで外部の専門家とつなぐ役割を担っています。コロナの影響で、これまでのように現地に入ることが憚られる状況はありますが、やはりキーになる経験や知恵、ネットワークをもった人が現地に入り、外部とつなぐことの大切さも語られました。やはり、現場に寄り添った人たちならではの生の報告でした。
新型コロナウイルス感染症は、世界各地で第2波が確認されており、収束の兆しすら見えませんが、このコロナ禍の中でも現場から生まれてくる智恵や経験知を学びながら、一人ひとりにできることを考えていきたいと思い
ます。(吉椿)

No.29「感染症と豪雨」

九州で発生した豪雨災害は、コロナ禍によるボランティア不足で未だ厳しい状況にありますが、お隣、中国でも6月初旬から2か月間ずっと降り続いている雨によって大きな被害が出ています。中国全33の省・市・自治区のうち江西、安徽、湖北などの27の省や市が、洪水の被害を受け、者・行方不明者158人、被災者は5400万人以上になっており、1998年の長江の大洪水(死者4000人以上、被災者約2億3000万人)以来の甚大な被害になっています。長江上流の重慶では、数日前の雨で700棟が倒壊し、約4300人が避難していると報道されています。
新型コロナウイルス感染症が、最初に爆発的感染をした湖北省武漢市でも、市内を流れる長江が氾濫し、市内に被害も出ています。
国際アライアンス「IACCR」で出会った武漢のNGOのXさんは、「武漢は、今はそこまで深刻な状況にはないが、感染症対策と洪水対策を同時に考えなくてはならないという難しい対応を迫られている。」、「政府の対応は強大だが、NGOなど民間も力を結集している!」と語ってくれました。

今、世界では新型コロナウイルスの猛威は、未だ衰えていません。そして、南アジア、東アジアでは豪雨による水害が多発しています。感染症と災害の狭間で、それぞれの現場で生まれてくる智恵や経験を共に学び合い、共に支え合う時なのかもしれません。(吉椿)

No.28「武漢の学びを九州南部の被災地へ-オンラインボランティア」

豪雨によって被災された九州南部の球磨川流域の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
CODEは、姉妹団体の被災地NGO恊働センターやおもやいボランティアセンター(佐賀県武雄市)の動きをバックアップしていきます。

懸念していた新型コロナウイルス感染症の感染が収束していない中での自然災害が発生しました。たくさんのボランティアが被災地に駆けつける事が躊躇される今、新たな支援の方法を模索していかなくてはなりません。
CODEは、2月初より新型コロナウイルス感染症支援で中国武漢を支援してきました。中国のNGOたちは、ロックダウンした武漢に入れないことから外部の3000人のボランティアがSNSでつながり、10のチームに分かれて(ボランティア調整、海外調整、物流、アクション、資金、情報・ニーズ、心のケアなど)に分かれて一人ひとりができる事をやり、武漢で厳しい状況にある感染者や障がい者、独居の高齢者、ホームレスの方などを支えました。

その中で最も重要だったのは、アクションチームです。これは、実際に行動する人たちで、数万人の武漢市民でした。外部から得た資金や物資を直接配布したり、買物サービスなどを実際に行ったのは武漢のボランティアや普通の住民でした。また、心のケア相談も状況に応じて専門家やボランティアが対応しました。中国のNGOたちは、オンラインボランティアを通じて76日間誰にも会えずに恐怖や悲しみ、苦しみ、絶望の中にあった武漢の人に「あなたたちは一人じゃないですよ、孤立していませんよ。外から支えますよ」というメッセージを送った事が何よりも重要だったと思います。

今、九州南部では、ボランティアが入ることに葛藤を抱えている人、迷っている人もいると思いますが、まずは、SNSを活用して外でつながり、被災地中にいる人たちを支えることが重要だと思います。被災地の中にも、被災しなかった方、動ける余裕の方、地元の団体、被災地の周辺の被災してない地域の方などとつながり、まずはその人たちの動きを外部がサポートしていく事が必要だと思います。とはいえ、被災地域の人たちだけでは大変なので、一方で直接現地に入り、出会い、そばにいる方法も考えなくてはなりません。まずは外部の経験のあるNGOやボランティアが最大限の感染防止に配慮して少数で現地入りし、状況を見ながらボランティを受け入れる体制を整えていくことが求められています。CODEも外部からできることを行っていきます。(吉椿)

No.27 「海外の学びを日本へ⑧-インドネシア-」

CODEは、中国のNGOと共に国際アライアンス「IACCR」を3月に立ち上げ、各国の市民の取り組みや経験を共有しています。CODEのカウンターパートでもあるインドネシアのエコ・プラウォトさん(デュタ・ワチャナ大学教授、建築家・アーティスト)たちが、このコロナ禍で学生と取り組んでいる活動がアライアンスで紹介されました。

ジャワ島には、もともと「Padasan」という衛生文化がありました。昔は、農村のどの家にも庭先に「手洗い桶」があったそうです。しかし、時代の変遷と共に住宅や生活様式も変わり、各家から手洗い桶が消えていきました。
地域の文化や歴史を大切にしているエコさんたちは、コロナの感染拡大に伴い、手洗いの重要性と地域文化を学ぶ取り組みを始めました。大学で建築やアートを学ぶ学生たちがボランティアで、手洗い桶を作って地域に配りました。現代風のPadasan文化が見事に復活しました。エコさんたちは、このボランティアを通じて学生たちが地域の文化や過去を学び、支え合うことの大切さに自ら気づくことを大事にしていいます。

このインドネシアの報告は、地域にある文化や習慣を学び直すことで、足元に感染症に有効な知恵があるかもしれないという事を教えてくれます。海外の事例を学ぶことで足元を見直し、活かすことです。日本での面白い取り組みもぜひ教えてください。このアライアンスを活用して、日本での取り組みも海外に伝えていきます。(吉椿)

No.26 「支援活動報告会での学び合い」

新型コロナウイルス感染症支援報告会を、昨日オンラインで開催しました。2月の武漢支援から始まったCODEの支援の取り組みや、世界各地で何が起きているのか、国際アライアンスIACCRを通じた世界の仲間からの学び、国内の動きなどについて、お伝えさせていただきました。

後半、参加した方々からは、直接駆けつけることが難しい中での支援のやり方や、現状を知ってもらうための情報発信や伝え方、コロナ後のライフスタイル、学生たちの厳しい状況と助け合いの動きなど様々な意見が交わされ、学び合いを深めました。

新型コロナウイルスによって、一人ひとりが当事者としてつながったり、語ったりすることができるということに、可能性を見出したいと感じました。と同時に、そのつながりからこぼれている人たちに目を向け、その人たちの声を発信していかなければと思います。国内からの学びもまた、世界に発信していきたいと思います。
引き続き、温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。(立部)

No.25 「海外の学びを日本へ⑦-フィリピン-」

新型コロナウイルス感染症ニュースNo.25
「海外の学びを日本へ⑦-フィリピン-」

日本での感染者数は減少傾向となっている一方で、世界では多くの国がコロナウイルスの感染対策を実施し続けています。CODEでは各国の様子や取り組みを、日本でも役立てることができればとご紹介しています。
これまでにもコロナウイルス対策の様子や感染症下にある中での台風上陸などをご紹介しているフィリピンのカウンターパートより現在のフィリピンの様子が伝えられています。

フィリピンでは5月16日から31日までの半月間、ほとんどの州がGCQ(General Community Quarantine)下に置かれています。(※GCQはこれまでのECQ(強化されたコミュニティ隔離措置)よりは制限が少なく、交通機関は低乗車率での運行、また特定の業種は制限を設けた上で事業を再開できるというものです。)GCQの対象地域では映画館や美容院、観光サービスなどは制限がかかっていますが食料品製造や薬局など生活必需品の生産販売業は動いています。ただし都市ごとの道路はパスがない限り封鎖されており、交通手段もまだ限られているため住民の中には市場には容易に行くことができない人も多いそうです。
ただし、ECQの対象となっているマニラ首都圏とラグナ州はその限りではありません。一部の住民は働いているかもしれませんが輸送手段となるバスなどは動いていせん。
セブ島のほとんどの地域はGCQの対象ですが、セブ市やマンダウエ市などセブ島の都市部は未だにECQの対象となっており完全に封鎖されています。予定ではマニラ都市部は5月31日以降ECQからGCQに移行する予定です。
フィリピンの学校の授業は6月または8月までにスケジュールを出す予定ですが、原則ワクチンが開発されるまでは再開されず、可能な地域ではオンラインでの授業も考慮されています。
出稼ぎなどで居住地とは別の地域に取り残されている場合は安全の証明がされ次第必要に応じて帰ることができます。また場合により検査隔離施設に待機することも可能です。マニラでは約2万4000人のOFW(海外で働いていたフィリピン人)がホテルや寮施設、船などに既に1~2か月間隔離され、非感染が確認されたため、彼らはそれぞれの故郷に戻ることが許されました。しかし、そもそも検査の遅れにより1か月以上の隔離となってしまったということや2万4000人も地方へ移動するということで受け入れ自治体の対応が追い付いていないなどの問題も出ています。またこの2万4000人のOFWは第1陣で、今後数週間でさらに4万5000人のOFWの帰国と隔離検査を予定しています。

国内の人々だけではなく海外への出稼ぎに出ている方の帰国はフィリピンのみならず現在も感染者数が増加している新興国や他のアジア、アフリカ地域の国々にも共通した課題となります。引き続き、フィリピンの様子を伝えていただきながら、CODEがやり取りを続けている各国の共通の課題、解決策を模索していくことができればと思います。ぜひ皆さまの周りでも、こんな国ではこんなことをしているという情報があればぜひご共有ください。(上野)

No.24「海外の学びを日本へ⑥-インド-」

「海外の学びを日本へ⑥-インド-」
2019年末に中国武漢で新型コロナウイルス感染症(COVID19 )の感染が始まり、ピークは、中国からヨーロッパ、アメリカ、そしてロシアへと移り変わっています。最近では、ロシアやブラジルでも毎日1万人以上の感染者が確認されています。現在、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と呼ばれる新興国で感染が拡大しています。

インドでは、1月30日に南部ケララ州で最初の感染者が確認されました。ロックダウンが開始された3月末時点の感染者は562人でしたが、その後右肩上がりに増加し、最近は連日4000人近くの感染者が出ており、歯止めがかからない状況が起きています。昨日(5/17)の感染者は4987人と報告され、現在、感染者96,169人、死者3,029人となっています。(5/18 Johns Hopkins大学) 
政府は、3月25日にインド全域で世界最大かつ最も厳しいといわれるロックダウンを開始しました。13億人の住むすべての町がロックダウンし、公共施設、商業施設はすべて閉鎖、交通機関もすべて運行停止、生活必需品の買い物以外は、厳しく制限され、違反すると罰則も課されます。
そんなインドでも5月末までロックダウンは延長されていますが、この状況で段階的に外出規制が緩和されつつあります。それは、先進国のように政府の手厚い補償はなく、多くの人は自ら働かざるを得ない状況にあり、STAY HOMEさえできないのです。出稼ぎ先から150㎞歩いて帰郷しようとした12歳の少女が故郷の15㎞手前で息絶えた、死因は脱水症状と栄養失調だったという悲惨な状況も起きています。しかし、未だ感染が収まっていない中で出稼ぎ労働者を帰郷させるためにバスの運行が開始したことで、感染の拡大が懸念されています。

CODEが中国のNGOと共に立ち上げた国際アライアンス「IACCR」のメンバーでもあるAbdhesh Kumar Gangwarさん(RCEスリナガル:持続可能な開発教育のNGOコーディネーター)は、「現在、インドの最大の課題は生計です。多くの人にスキルを身につけさせるための財政援助が必要だ。帰郷する多くの出稼ぎ労働者たちが自宅に戻る前の14日間の隔離検査のマネジメントに政府はNGOやボランティアの力を借りている。」また、レッドスポット呼ばれる感染者の多い地域では完全に封鎖されており、人や物の往来さえもできません。これらの地域では、ドアからドアへ物資を届けるボランティアを必要としており、医療など緊急の場合は、ボランティアに許可が出され、支援に動いているそうです。
そして「最前線で活動するボランティアは、健康で若い人だけが活動が許可され、インドではソーシャルディスタンスがなかなか守られていないので、それを実行するためにボランティアが必要だ」、「隔離や検疫の施設のマネジメントでも行政職員だけでは不十分なのでボランティアが消毒などもしている。NGOは政府の許可を得て、周辺業務をサポートしている。」と教えてくれました。
そして最後に「インドでは、いつもNGOたちが、パイロットベースで支援プロジェクトを始め、その後、政府がそれを取り上げて政策や計画にすることで長期的なものにしていく。そうやって主流化していく。 NGOは資金を政府に依存しているが、時に政府の政策と対立することもあり、政府に資金を期待することはできない。その場合、外国の資金を得て活動している。すべてのNGOではないが・・・」とインドのNGO事情を語ってくれました。

コロナウイルスで世界中が厳しい状況に陥っていますが、インドの状況は日本とはかなり違う事を思い知らされました。(吉椿)