月別アーカイブ: 2020年5月

No.25 「海外の学びを日本へ⑦-フィリピン-」

新型コロナウイルス感染症ニュースNo.25
「海外の学びを日本へ⑦-フィリピン-」

日本での感染者数は減少傾向となっている一方で、世界では多くの国がコロナウイルスの感染対策を実施し続けています。CODEでは各国の様子や取り組みを、日本でも役立てることができればとご紹介しています。
これまでにもコロナウイルス対策の様子や感染症下にある中での台風上陸などをご紹介しているフィリピンのカウンターパートより現在のフィリピンの様子が伝えられています。

フィリピンでは5月16日から31日までの半月間、ほとんどの州がGCQ(General Community Quarantine)下に置かれています。(※GCQはこれまでのECQ(強化されたコミュニティ隔離措置)よりは制限が少なく、交通機関は低乗車率での運行、また特定の業種は制限を設けた上で事業を再開できるというものです。)GCQの対象地域では映画館や美容院、観光サービスなどは制限がかかっていますが食料品製造や薬局など生活必需品の生産販売業は動いています。ただし都市ごとの道路はパスがない限り封鎖されており、交通手段もまだ限られているため住民の中には市場には容易に行くことができない人も多いそうです。
ただし、ECQの対象となっているマニラ首都圏とラグナ州はその限りではありません。一部の住民は働いているかもしれませんが輸送手段となるバスなどは動いていせん。
セブ島のほとんどの地域はGCQの対象ですが、セブ市やマンダウエ市などセブ島の都市部は未だにECQの対象となっており完全に封鎖されています。予定ではマニラ都市部は5月31日以降ECQからGCQに移行する予定です。
フィリピンの学校の授業は6月または8月までにスケジュールを出す予定ですが、原則ワクチンが開発されるまでは再開されず、可能な地域ではオンラインでの授業も考慮されています。
出稼ぎなどで居住地とは別の地域に取り残されている場合は安全の証明がされ次第必要に応じて帰ることができます。また場合により検査隔離施設に待機することも可能です。マニラでは約2万4000人のOFW(海外で働いていたフィリピン人)がホテルや寮施設、船などに既に1~2か月間隔離され、非感染が確認されたため、彼らはそれぞれの故郷に戻ることが許されました。しかし、そもそも検査の遅れにより1か月以上の隔離となってしまったということや2万4000人も地方へ移動するということで受け入れ自治体の対応が追い付いていないなどの問題も出ています。またこの2万4000人のOFWは第1陣で、今後数週間でさらに4万5000人のOFWの帰国と隔離検査を予定しています。

国内の人々だけではなく海外への出稼ぎに出ている方の帰国はフィリピンのみならず現在も感染者数が増加している新興国や他のアジア、アフリカ地域の国々にも共通した課題となります。引き続き、フィリピンの様子を伝えていただきながら、CODEがやり取りを続けている各国の共通の課題、解決策を模索していくことができればと思います。ぜひ皆さまの周りでも、こんな国ではこんなことをしているという情報があればぜひご共有ください。(上野)

No.24「海外の学びを日本へ⑥-インド-」

「海外の学びを日本へ⑥-インド-」
2019年末に中国武漢で新型コロナウイルス感染症(COVID19 )の感染が始まり、ピークは、中国からヨーロッパ、アメリカ、そしてロシアへと移り変わっています。最近では、ロシアやブラジルでも毎日1万人以上の感染者が確認されています。現在、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と呼ばれる新興国で感染が拡大しています。

インドでは、1月30日に南部ケララ州で最初の感染者が確認されました。ロックダウンが開始された3月末時点の感染者は562人でしたが、その後右肩上がりに増加し、最近は連日4000人近くの感染者が出ており、歯止めがかからない状況が起きています。昨日(5/17)の感染者は4987人と報告され、現在、感染者96,169人、死者3,029人となっています。(5/18 Johns Hopkins大学) 
政府は、3月25日にインド全域で世界最大かつ最も厳しいといわれるロックダウンを開始しました。13億人の住むすべての町がロックダウンし、公共施設、商業施設はすべて閉鎖、交通機関もすべて運行停止、生活必需品の買い物以外は、厳しく制限され、違反すると罰則も課されます。
そんなインドでも5月末までロックダウンは延長されていますが、この状況で段階的に外出規制が緩和されつつあります。それは、先進国のように政府の手厚い補償はなく、多くの人は自ら働かざるを得ない状況にあり、STAY HOMEさえできないのです。出稼ぎ先から150㎞歩いて帰郷しようとした12歳の少女が故郷の15㎞手前で息絶えた、死因は脱水症状と栄養失調だったという悲惨な状況も起きています。しかし、未だ感染が収まっていない中で出稼ぎ労働者を帰郷させるためにバスの運行が開始したことで、感染の拡大が懸念されています。

CODEが中国のNGOと共に立ち上げた国際アライアンス「IACCR」のメンバーでもあるAbdhesh Kumar Gangwarさん(RCEスリナガル:持続可能な開発教育のNGOコーディネーター)は、「現在、インドの最大の課題は生計です。多くの人にスキルを身につけさせるための財政援助が必要だ。帰郷する多くの出稼ぎ労働者たちが自宅に戻る前の14日間の隔離検査のマネジメントに政府はNGOやボランティアの力を借りている。」また、レッドスポット呼ばれる感染者の多い地域では完全に封鎖されており、人や物の往来さえもできません。これらの地域では、ドアからドアへ物資を届けるボランティアを必要としており、医療など緊急の場合は、ボランティアに許可が出され、支援に動いているそうです。
そして「最前線で活動するボランティアは、健康で若い人だけが活動が許可され、インドではソーシャルディスタンスがなかなか守られていないので、それを実行するためにボランティアが必要だ」、「隔離や検疫の施設のマネジメントでも行政職員だけでは不十分なのでボランティアが消毒などもしている。NGOは政府の許可を得て、周辺業務をサポートしている。」と教えてくれました。
そして最後に「インドでは、いつもNGOたちが、パイロットベースで支援プロジェクトを始め、その後、政府がそれを取り上げて政策や計画にすることで長期的なものにしていく。そうやって主流化していく。 NGOは資金を政府に依存しているが、時に政府の政策と対立することもあり、政府に資金を期待することはできない。その場合、外国の資金を得て活動している。すべてのNGOではないが・・・」とインドのNGO事情を語ってくれました。

コロナウイルスで世界中が厳しい状況に陥っていますが、インドの状況は日本とはかなり違う事を思い知らされました。(吉椿)

No.23「海外の学びを日本へ⑤-ネパール-」

「海外の学びを日本へ⑤-ネパール-」
ネパールでは、3/23に緊急事態宣言が出されました。翌24日からネパール全土でロックダウンが開始され、当初15日までの予定でしたが、4/27までに延長されました。しかし、5/6の閣議よって予防措置のために5/18まで再び延長されることが決まりました。国際線、国際線すべてのフライトも5/31まで運行停止になっています。ロックダウンによる厳しい外出制限の指示に従わない場合は、警察による取り締まりの対象となり、車両も押収されているそうです。
ネパールは山岳国で未だ車の入れない村が無数にあります。そんな山間の村には医療機関さえありません。現在、ネパールの感染者は110名、死者は0ですが、近年、中国との関係の深いことから「感染者がこれだけのはずはない。医療体制が脆弱なことから検査が追いついていない」と地元メディアも懸念しています。 
2015年のネパール地震後、CODEが支援してきたグデル村(ソルクンブ郡)にもヘルスポスト(簡易な保健施設)しかなく医療の専門ではないスタッフが1名駐在しているだけです。
ネパールは、未だ地震からの復興の途上にあります。このコロナ危機によって年間約80万人に観光客がいなくなったことは、観光などのサービス業がGDPの半数を占めるネパールに非常に深刻な影響を及ぼしています。また、国民の約10%以上が中東やインドなどに出稼ぎに行っているネパールでは、このコロナ危機で出稼ぎ先で仕事を失った人たちが50万人以上帰国したといわれています。これらの出稼ぎ労働者からの送金は、GDPの30%近くを占めていることから経済への影響も懸念されています。

2015年のネパール地震直後に現地調査に協力していただいたNGOスタッフのMさんは、「緊急事態宣言後にインドで仕事を解雇された人たちが一気に帰国したが、ヘルスチェックもないままに帰国したので感染拡大が心配だ。」と語っています。
Mさんによると、ネパール政府は、緊急事態宣言後すぐに生活困窮者に対して米、豆、虻田、石鹸などの入ったフードパッケージを提供しました。市民は、政府や近隣の行政機関に直接寄付や物資を持ち込んでいるといいます。行政は、NGOと協働して生活困窮者のリストアップを進め、市民はNGOを通じてボランティアに参加し、買い出し、パッキング、配布などのチームに分かれて実施しているそうです。物資運搬もマスク着用とソーシャルディスタンスを保って行われています。
ネパールでも普通の市民がコロナによる生活困窮者のためにボランティアとして動いています。(吉椿)

No.22「海外からの学びを日本へ④-オーストラリア-」

「海外からの学びを日本へ④-オーストラリア-」
現在、イタリアや韓国が規制を解除し始めていますが、オーストラリアでも約1か月半のロックダウンを経て、5/2から一部規制を解除し始めています。全土での新規感染者が、20人未満に抑えられていることが理由のようです。(5/3時点のオーストラリアの感染状況:死者数95人、感染者6801人)
オーストラリアは、3月18日、「100年に一度の出来事だ」として、昨年の大規模な森林火災と同様に非常事態宣言を出しました。その後、オーストラリア住民以外の入国禁止、レストランは配達と持ち帰りのみ、図書館、映画館、ジムなどの閉鎖、家族以外の集会は二人まで、国内の州を越えることを禁止など事実上のロックダウンとなりました。これらに違反した場合は個人に約1万3000ドル(約90万円)、6か月の禁固などの厳しい罰則が設けられています。 

 2008年の四川地震でCODEと共に光明村でボランティアを行った女性Yさん(パース在住)に、コロナ禍でのオーストラリアのボランティアについて聞きました。

 Yさんによると、オーストラリアには、「Hamper」というクリスマスやイベント時にお世話になった人にギフトボックス(日本のお歳暮?)を贈る習慣があるそうで、チャリティー活動でも一部寄付に使われていたそうです。
Yさんは、このコロナ禍でも「失業して家計の厳しい家庭がたくさん出たので、食料生活用品をバスケットに詰めて、Hamperとして ボランティアが配るのが盛んです。このHamperにお金を出す人もいれば、物を提供する人もいます。」と言います。
ボランティアの感染防止について聞くと、「マスクや手袋はもちろん、消毒は行っています。ボランティアが配達する際も、配達先の 家庭と密に連絡を取り、直接コンタクトしないようにしています。荷物が重いので配達ボランティアは男性が多く、適度な距離を保ったり、配達は、ドライバーは一人のみにしたりと厳しい制限の中、工夫しています。」
その他、高齢者や車を持っていない人、自宅隔離中の家庭などへ食料生活用品を配達するボランティアは沢山あるそうで、「元々、高齢者介護や身障者用のサービスはありますが、60代以上で持病を持っている人や80代以上は、家を出ないのが原則なので、今回かなり 需要が増え、ボランティアを募集しています。」、「大手スーパーも前から配達を行っていましたが、緊急事態宣言以降、高齢者宅、障がい者宅、保健所から認可された自宅隔離者宅の配達を優先して行っています。」とYさんは語ります。

 誰に注目し、どう支えるか、そして馴染みのある習慣を活かすこと、ボランティアができることを教えてくれています。(吉椿)

No.21「各国の状況―アフガニスタン」

「各国の状況―アフガニスタン」

新型コロナウイルスの感染は世界中に急速に拡大しており、世界187の国と地域で、感染者350万人以上、死者24万7000人以上に上っています。(5/4時点 ジョンズ・ホプキンス大学発表)

CODEではカウンターパートを通じて各地の状況を情報収集しています。
以下、アフガニスタンのカウンターパート、ルトフ・ファルディンさんからの情報です。

コロナウイルスによりアフガニスタンでは官公庁が閉鎖され、人々が集まる活動はすべて禁止されました。
アフガニスタン内でCovid-19は、貧困ライン以下の貧困層の60%に経済状況の悪化をもたらしています。
ウイルスへの唯一の対抗策は、互いに隔離し、家に留まり続けることなので、アフガニスタン政府はコロナの検査で陽性が出た多くの主要な都市を隔離(ロックダウン)しました。
これは貧困ライン以下で生活する人々に深刻な問題を引き起こしており、そのため、これらの都市の市民たちはルールを守ることを”義務”として考えてはいません。

保健省によると、アフガニスタンでウイルスに感染した人の数は1,332人と推定、40人が死亡し、120人がすでに快復しました。
この統計は、保健施設が不足している地域とタリバンの管理下にある地域を除く、政府の統計で、調査は不足しています。

アフガニスタンでは、文字が読めないの市民の数は90%以上です。人々にとっての一つの課題は、Covid-19に関する知識の欠如です。マザーリシャリフ州の市民の意識セクション向上として、私はこの州の市民にCovid-19に関する情報を提供し、貧しい人々に医療や薬品の援助をしています。

コロナに対して、アフガニスタンには十分な医療施設がなく、また政府はこの病気に苦しむ市民を診断、治療するための真剣な措置を講じていないため、アフガニスタンでは人道上問題ある大災害を引き起こされています。

Covid-19はアフガニスタンで急速に広まりました。ウイルスに感染した人々の正確な数は、村や町政府の自治不安と調査不足のために依然として正確ではありません。

アフガニスタンでは、実態の見えない感染症の被害とともに識字率の低さに伴う住民の理解不足が問題となっているようです。その中で新型コロナウイルスについての知識を広めるファルディンさんの活動が大きな意味のあるものとなっています。引き続きアフガニスタンの情報収集を行い、様子を注視していきます。(上野)