月別アーカイブ: 2022年2月

No.6「トンガの農業被害」

1月15日にトンガ沖で発生した火山噴火から間もなく1か月になります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりロックダウンが続いているトンガですが、10日には新たに31名の感染者が確認され、現在、推計感染者数は65名になっています。
このロックダウンにより、買い物などの外出も週2日に限られ、復旧作業も進まないとの被災者の声が上がっています。

津波や火山灰の被害を受けた農家は1万2000世帯(WFP:世界食糧計画発表)、家畜を飼育している世帯の約7割が被災しているとの情報もあるように、農業、漁業、畜産業に深刻な影響が出ています。
トンガの経済は、農漁業、観光業、ニュージーランドなど海外からの送金などで成り立っており、主要産業である農漁業はGDPの2割を占め、農産品の輸出は全輸出の7割を占めています。
トンガは、日本へもカボチャやマグロを輸出しており、中でもカボチャは日本の種で作られ、そのほとんどは日本に輸出されています。

トンガ本島トンガタプ島で農業の生産、輸出を営む日系3世のNさんは、以下のように話してくれました。
「作物を育てている農場はすべて被害をうけている。新鮮な野菜は、灰による被害で市場にほとんど出回っていない。キャベツやレタス、トマトなどの緑黄色野菜が供給されるまで3か月はかかるだろう。ニュージーランドからの新鮮な野菜のコンテナ便を購入できるかどうか政府の決断にかかっている」また、「灰を除去するにも水や掃除道具が不足しているので難しい」とも語っています。
Nさんは、100ha以上の畑で野菜や果物を生産し、契約農家さんたちと共にトンガの農作物を日本や韓国に輸出しています。そして、最後にNさんは、「日本から私たちトンガ人のための親切で温かい気持ちに感謝しています」と言っていました。
(吉椿)

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No.5「ロックダウンと移転」

南太平洋の島国トンガを襲った火山噴火災害から3週間がたち、現在、被災地では新型コロナウイルス感染症や移転などの大きな課題を抱えています。

トンガは、2020年3月の非常事態宣言を発出し、特別な許可のない外国人以外のの入国を認めないなどの厳しい「ゼロコロナ」政策をとってきました。火山噴火災害後も、ニュージーランドなどの国際支援も非接触型の物資提供などを模索してきました。
1月15日の火山噴火直後の感染者は、1名のみ(米Johns Hopkis大学調べ)でしたが、3週間を経た現在の感染者は8名になり、2日から実施しているロックダウンも2週間延長し、20日までとなりました。ロックダウン下では、復旧作業、医療や生活必需品の買物以外は外出禁止になり、復旧復興に足かせとなっています。

本島トンガタプ島で農業を営むNさんが、現在の状況を教えてくれました。
「トンガタプ島の西側は津波で多くの家屋やリゾートが流された。いくつかの村は別の島に完全に移転しなくてはならない。周辺の小さな島でも多くの家が住めない状態になっていて、本島に避難して親戚の家やコミュニティホールで生活している。火山活動がまだ活発なので、いくつかの島の住民は、二度と故郷に戻る事はできないだろう。」

トンガの被災地では、家屋の被害だけではなく、火山灰で水が汚染され、農作物も被害を受け、故郷、そして祖国で再び暮らすことができないかもしれないとの不安の声もあがっていますが、他方で「生まれ育った故郷を離れたくない。国民の大半はここにとどまり、祖国をみんなで復興したいと思っている。」とトンガ人ジャーナリストが、自分たちのアイデンティティーが故郷にあることを語っています。
(吉椿)

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No.4「地元NGOによる支援」

津波と降灰の被害に見舞われているトンガですが、これまで厳しい水際対策によって新型コロナウイルスの感染者を1名に抑え込んできました。そのため、噴火災害への支援が急務であることと併せて、海外からの支援における感染対策が従来以上に大きな課題となっています。

そんな中、トンガの地元NGOによる支援の動きが少しずつ伝えられています。農村開発支援を行うNGO、MORDI Tonga Trustは、被災したコミュニティへ水や食料、衣類、衛生用品などの生活用品を届けています。現地では各家庭の貯水タンクが火山灰で被災するなど、飲料水の確保が困難な状況です。また、若者や女性のリーダーシップ開発を支援するNGO、Talitha Projectは、地元の島を離れて避難生活を送る子どもたちへの支援を行っています。食料や生活用品に加えて、塗り絵やお絵かき道具、スポーツ用品などを提供し、子どもたちの心理面でのサポートをしているとのことです(Matangi Tonga Onlineより)。
一方で、現地ではいまだ通信が不安定なため、現地からの情報発信も制限されながらの活動となっているようです。
被災地の人たちを主体とした支援や連携が改めて求められています。
(立部)

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