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No.7「農業再開のための資機材を提供できました」

今年1月に南太平洋のトンガ沖で発生した火山噴火災害で、トンガ王国では津波と火山灰によって甚大な被害を受けました。また、新型コロナウイルス感染症の急拡大によってトンガ全体が、ロックダウンに入り、海外からの救援も非常に困難を極めました。火山灰の降灰で、農作物の生育にも大きな被害を出し、農家たちの生活が立ち行かなくなりました。

CODEは、本島であるトンガタプ島在住日系3世のMinoru-Nishiさん(農業貿易会社経営)をカウンターパートに、現地農家たちへの支援を検討してきました。Nishiさんの経営する契約農家(最大時100名)との協議の結果、農業の再開のための資機材を提供することになりました。そして、最終的には、スイカ栽培用にウォーターポンプ5基を提供し、農家たち約30名の生活再建の一助となりました。
「農家の人たちは本当に喜んでおり、日本の皆さんからの温かい気持ちを決して忘れないです!」とNishiさんからメッセージと写真、ビデオが届きました。ご支援、ご寄付いただいた皆様、ありがとうございました。
(吉椿)

No.6「トンガの農業被害」

1月15日にトンガ沖で発生した火山噴火から間もなく1か月になります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりロックダウンが続いているトンガですが、10日には新たに31名の感染者が確認され、現在、推計感染者数は65名になっています。
このロックダウンにより、買い物などの外出も週2日に限られ、復旧作業も進まないとの被災者の声が上がっています。

津波や火山灰の被害を受けた農家は1万2000世帯(WFP:世界食糧計画発表)、家畜を飼育している世帯の約7割が被災しているとの情報もあるように、農業、漁業、畜産業に深刻な影響が出ています。
トンガの経済は、農漁業、観光業、ニュージーランドなど海外からの送金などで成り立っており、主要産業である農漁業はGDPの2割を占め、農産品の輸出は全輸出の7割を占めています。
トンガは、日本へもカボチャやマグロを輸出しており、中でもカボチャは日本の種で作られ、そのほとんどは日本に輸出されています。

トンガ本島トンガタプ島で農業の生産、輸出を営む日系3世のNさんは、以下のように話してくれました。
「作物を育てている農場はすべて被害をうけている。新鮮な野菜は、灰による被害で市場にほとんど出回っていない。キャベツやレタス、トマトなどの緑黄色野菜が供給されるまで3か月はかかるだろう。ニュージーランドからの新鮮な野菜のコンテナ便を購入できるかどうか政府の決断にかかっている」また、「灰を除去するにも水や掃除道具が不足しているので難しい」とも語っています。
Nさんは、100ha以上の畑で野菜や果物を生産し、契約農家さんたちと共にトンガの農作物を日本や韓国に輸出しています。そして、最後にNさんは、「日本から私たちトンガ人のための親切で温かい気持ちに感謝しています」と言っていました。
(吉椿)

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No.5「ロックダウンと移転」

南太平洋の島国トンガを襲った火山噴火災害から3週間がたち、現在、被災地では新型コロナウイルス感染症や移転などの大きな課題を抱えています。

トンガは、2020年3月の非常事態宣言を発出し、特別な許可のない外国人以外のの入国を認めないなどの厳しい「ゼロコロナ」政策をとってきました。火山噴火災害後も、ニュージーランドなどの国際支援も非接触型の物資提供などを模索してきました。
1月15日の火山噴火直後の感染者は、1名のみ(米Johns Hopkis大学調べ)でしたが、3週間を経た現在の感染者は8名になり、2日から実施しているロックダウンも2週間延長し、20日までとなりました。ロックダウン下では、復旧作業、医療や生活必需品の買物以外は外出禁止になり、復旧復興に足かせとなっています。

本島トンガタプ島で農業を営むNさんが、現在の状況を教えてくれました。
「トンガタプ島の西側は津波で多くの家屋やリゾートが流された。いくつかの村は別の島に完全に移転しなくてはならない。周辺の小さな島でも多くの家が住めない状態になっていて、本島に避難して親戚の家やコミュニティホールで生活している。火山活動がまだ活発なので、いくつかの島の住民は、二度と故郷に戻る事はできないだろう。」

トンガの被災地では、家屋の被害だけではなく、火山灰で水が汚染され、農作物も被害を受け、故郷、そして祖国で再び暮らすことができないかもしれないとの不安の声もあがっていますが、他方で「生まれ育った故郷を離れたくない。国民の大半はここにとどまり、祖国をみんなで復興したいと思っている。」とトンガ人ジャーナリストが、自分たちのアイデンティティーが故郷にあることを語っています。
(吉椿)

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No.4「地元NGOによる支援」

津波と降灰の被害に見舞われているトンガですが、これまで厳しい水際対策によって新型コロナウイルスの感染者を1名に抑え込んできました。そのため、噴火災害への支援が急務であることと併せて、海外からの支援における感染対策が従来以上に大きな課題となっています。

そんな中、トンガの地元NGOによる支援の動きが少しずつ伝えられています。農村開発支援を行うNGO、MORDI Tonga Trustは、被災したコミュニティへ水や食料、衣類、衛生用品などの生活用品を届けています。現地では各家庭の貯水タンクが火山灰で被災するなど、飲料水の確保が困難な状況です。また、若者や女性のリーダーシップ開発を支援するNGO、Talitha Projectは、地元の島を離れて避難生活を送る子どもたちへの支援を行っています。食料や生活用品に加えて、塗り絵やお絵かき道具、スポーツ用品などを提供し、子どもたちの心理面でのサポートをしているとのことです(Matangi Tonga Onlineより)。
一方で、現地ではいまだ通信が不安定なため、現地からの情報発信も制限されながらの活動となっているようです。
被災地の人たちを主体とした支援や連携が改めて求められています。
(立部)

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No.3「トンガという国」

トンガ政府は、トンガタプ島、エウア島、ハアパイ島で行った被害調査で、今回の火山噴火による家屋被害は、全壊33棟、損壊238棟と発表しています。
現在のところ、津波や火山灰の被害のあった島は、トンガタプ島、エウア島、ハアパイ島、ノムカ島、マンゴー島などが被害を受けたと言われていますが、マンゴー島は壊滅的な被害を受け、全島民62人はトンガタプ島に避難しており、故郷の島に帰る事ができない可能性も出てきています。

今回、甚大な被害を受けたトンガという国は、日本ではラグビーや相撲の選手の出身国で知られています。
南太平洋ポリネシアの島しょ国で、トンガタプ(Tongatapu)、ハアパイ(Ha’apai)、ババウ(Vava’u)、ニウアス(Niuas)の4つの諸島からなり、陸地の総面積のは747㎢で日本の奄美大島(712㎢)より少し大きいくらいです。172のある島のうち、約40の島に人々が居住しています。
2020年のデータでは、人口10万5700人。その70%の約7万5000人が、首都ヌクアロファのあるトンガタプ島(本島)に暮らしています。
トンガは、「南太平洋最後の王国」と呼ばれ、王政が1000年以上続いています。19世紀に国王が宣教師によってキリスト教の洗礼を受け、今も国民の多くがキリスト教を信仰しています。
隣国フィジーのようにヨーロッパ列強の支配下に置かれたのとは対照的に、トンガは南太平洋諸国で最も早く統一国家を形成したことで、南太平洋で唯一植民地化を免れ、独自の伝統が今も息づいています。
(吉椿)

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No.2「火山灰による影響への懸念」

海底火山の噴火による被害を受けた南太平洋のトンガでは、発生から9日経た今も通信が厳しい状況にあります。
通信の完全復旧までに4週間かかるとも言われています。

今回噴火した海底火山フンガトンガ・フンガハアパイ(首都のあるトンガタプ島の北約65㎞)は、285ヘクタールあった陸地が噴火によって消滅するほどの大噴火だったようで、噴煙は上空20㎞まで到達し、半径最大250㎞の範囲まで広がりました。また、火山灰は3000㎞離れたオーストラリア北部ダーウィンまで到達しています。
その規模は20世紀最大級と言われるフィリピン・ピナツボ火山(1991年)に匹敵し、噴煙が半径200㎞に到達するのにわずか40分だった(ピナツボは2時間)と専門家は指摘しています。

この火山灰の降灰による影響は、健康、農業などにもおよび、救援にも困難を強いられます。
空港の滑走路が降灰によって使えない事、飛行機や車などの車両のエンジンに細かい灰が入ると故障する恐れがある事などが救援を困難にさせています。
また、降り積もった灰は風に舞い上がり、鼻、口、目から体内に入れば炎症を引き起こし、ひどい場合は喘息や気管支炎などの呼吸器障害が起きます。このような健康被害を懸念しているトンガの被災者たちは、外出を控え、屋内にとどまる事を強いられ、精神的なストレスも高まってきます。
そして、農業が主要産業のトンガ(日本にもカボチャなどを輸出している)にとって降灰による農業の被害も深刻なもので、火山灰含まれる酸性物質によってすでに農作物が枯れているとの情報もあります。一刻も早く農地に降り積もった灰を除去する事が求められます。
火山灰は乾燥していると軽く、風で舞い上がりますが、雨などで水分を含むと非常に重くなり、除去が困難になります。今のところ、現地では雨は降っておらず、「雨が降って灰を流してほしい」という被災者の声もあるようですが、流れずに固まってしまう事の弊害も考慮しなくてはなりません。
(吉椿)

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No.1「トンガ火山噴火災害の支援を開始します」

1月15日にトンガのトンガタプ島(首都ヌクアロファ)の北約65kmに位置する海底火山フンガトンガ・フンガハアパイが噴火し、トンガの島々に最大15mの津波や降灰が発生し、トンガの人口(約10万5000人)の84%にあたる約8万8000人が被災しています。津波は世界各地に到達し、日本奄美大島で最大120㎝、南太平洋のバヌアツで141㎝、南米チリで174㎝、米カリフォルニアで131㎝の津波が観測されています。

CODEは、噴火直後から情報収集を開始し、支援を模索してきました。噴火から1週間が経過し、通信状況も徐々に回復し、現地の被害の状況が明らかになってきました。その中で現地の方々とつながる可能性も見えてきました。また、これまでご支援いただいた方々からも寄付の申し出もいただいております。よって、CODEはトンガの火山噴火災害の支援を開始したいと思います。現地では、津波よる家屋倒壊(トンガタプ島では海岸線から100m内陸まで浸水)に加え、降灰による、飲料水の汚染、健康被害、農作物被害が懸念されます。

トンガは、阪神・淡路大震災の際には2000万円、東日本大震災では900万円の義援金を送ってくれました。被災地KOBEのNGOとして、一人ひとりに寄り添った、被災者主体の支援を展開していきます。ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
(事務局長 吉椿雅道)

「トンガ火山噴火災害」の概要(1/25時点)
発生日時:2022年1月15日(日本時間13:10)
発生場所:海底火山フンガトンガ・フンガハアパイ(トンガタプ島の北約65㎞)
被災地:トンガ王国トンガタプ島など
被害状況:(人的被害)死者3人、負傷者14人、被災者8万8000人
(家屋被害)全壊50棟、損壊100棟(トンガタプ島)

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