海底火山の噴火による被害を受けた南太平洋のトンガでは、発生から9日経た今も通信が厳しい状況にあります。
通信の完全復旧までに4週間かかるとも言われています。
今回噴火した海底火山フンガトンガ・フンガハアパイ(首都のあるトンガタプ島の北約65㎞)は、285ヘクタールあった陸地が噴火によって消滅するほどの大噴火だったようで、噴煙は上空20㎞まで到達し、半径最大250㎞の範囲まで広がりました。また、火山灰は3000㎞離れたオーストラリア北部ダーウィンまで到達しています。
その規模は20世紀最大級と言われるフィリピン・ピナツボ火山(1991年)に匹敵し、噴煙が半径200㎞に到達するのにわずか40分だった(ピナツボは2時間)と専門家は指摘しています。
この火山灰の降灰による影響は、健康、農業などにもおよび、救援にも困難を強いられます。
空港の滑走路が降灰によって使えない事、飛行機や車などの車両のエンジンに細かい灰が入ると故障する恐れがある事などが救援を困難にさせています。
また、降り積もった灰は風に舞い上がり、鼻、口、目から体内に入れば炎症を引き起こし、ひどい場合は喘息や気管支炎などの呼吸器障害が起きます。このような健康被害を懸念しているトンガの被災者たちは、外出を控え、屋内にとどまる事を強いられ、精神的なストレスも高まってきます。
そして、農業が主要産業のトンガ(日本にもカボチャなどを輸出している)にとって降灰による農業の被害も深刻なもので、火山灰含まれる酸性物質によってすでに農作物が枯れているとの情報もあります。一刻も早く農地に降り積もった灰を除去する事が求められます。
火山灰は乾燥していると軽く、風で舞い上がりますが、雨などで水分を含むと非常に重くなり、除去が困難になります。今のところ、現地では雨は降っておらず、「雨が降って灰を流してほしい」という被災者の声もあるようですが、流れずに固まってしまう事の弊害も考慮しなくてはなりません。
(吉椿)
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