月別アーカイブ: 2022年1月

No.3「トンガという国」

トンガ政府は、トンガタプ島、エウア島、ハアパイ島で行った被害調査で、今回の火山噴火による家屋被害は、全壊33棟、損壊238棟と発表しています。
現在のところ、津波や火山灰の被害のあった島は、トンガタプ島、エウア島、ハアパイ島、ノムカ島、マンゴー島などが被害を受けたと言われていますが、マンゴー島は壊滅的な被害を受け、全島民62人はトンガタプ島に避難しており、故郷の島に帰る事ができない可能性も出てきています。

今回、甚大な被害を受けたトンガという国は、日本ではラグビーや相撲の選手の出身国で知られています。
南太平洋ポリネシアの島しょ国で、トンガタプ(Tongatapu)、ハアパイ(Ha’apai)、ババウ(Vava’u)、ニウアス(Niuas)の4つの諸島からなり、陸地の総面積のは747㎢で日本の奄美大島(712㎢)より少し大きいくらいです。172のある島のうち、約40の島に人々が居住しています。
2020年のデータでは、人口10万5700人。その70%の約7万5000人が、首都ヌクアロファのあるトンガタプ島(本島)に暮らしています。
トンガは、「南太平洋最後の王国」と呼ばれ、王政が1000年以上続いています。19世紀に国王が宣教師によってキリスト教の洗礼を受け、今も国民の多くがキリスト教を信仰しています。
隣国フィジーのようにヨーロッパ列強の支配下に置かれたのとは対照的に、トンガは南太平洋諸国で最も早く統一国家を形成したことで、南太平洋で唯一植民地化を免れ、独自の伝統が今も息づいています。
(吉椿)

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No.2「火山灰による影響への懸念」

海底火山の噴火による被害を受けた南太平洋のトンガでは、発生から9日経た今も通信が厳しい状況にあります。
通信の完全復旧までに4週間かかるとも言われています。

今回噴火した海底火山フンガトンガ・フンガハアパイ(首都のあるトンガタプ島の北約65㎞)は、285ヘクタールあった陸地が噴火によって消滅するほどの大噴火だったようで、噴煙は上空20㎞まで到達し、半径最大250㎞の範囲まで広がりました。また、火山灰は3000㎞離れたオーストラリア北部ダーウィンまで到達しています。
その規模は20世紀最大級と言われるフィリピン・ピナツボ火山(1991年)に匹敵し、噴煙が半径200㎞に到達するのにわずか40分だった(ピナツボは2時間)と専門家は指摘しています。

この火山灰の降灰による影響は、健康、農業などにもおよび、救援にも困難を強いられます。
空港の滑走路が降灰によって使えない事、飛行機や車などの車両のエンジンに細かい灰が入ると故障する恐れがある事などが救援を困難にさせています。
また、降り積もった灰は風に舞い上がり、鼻、口、目から体内に入れば炎症を引き起こし、ひどい場合は喘息や気管支炎などの呼吸器障害が起きます。このような健康被害を懸念しているトンガの被災者たちは、外出を控え、屋内にとどまる事を強いられ、精神的なストレスも高まってきます。
そして、農業が主要産業のトンガ(日本にもカボチャなどを輸出している)にとって降灰による農業の被害も深刻なもので、火山灰含まれる酸性物質によってすでに農作物が枯れているとの情報もあります。一刻も早く農地に降り積もった灰を除去する事が求められます。
火山灰は乾燥していると軽く、風で舞い上がりますが、雨などで水分を含むと非常に重くなり、除去が困難になります。今のところ、現地では雨は降っておらず、「雨が降って灰を流してほしい」という被災者の声もあるようですが、流れずに固まってしまう事の弊害も考慮しなくてはなりません。
(吉椿)

※支援活動へのご協力をよろしくお願いいたします。
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No.1「トンガ火山噴火災害の支援を開始します」

1月15日にトンガのトンガタプ島(首都ヌクアロファ)の北約65kmに位置する海底火山フンガトンガ・フンガハアパイが噴火し、トンガの島々に最大15mの津波や降灰が発生し、トンガの人口(約10万5000人)の84%にあたる約8万8000人が被災しています。津波は世界各地に到達し、日本奄美大島で最大120㎝、南太平洋のバヌアツで141㎝、南米チリで174㎝、米カリフォルニアで131㎝の津波が観測されています。

CODEは、噴火直後から情報収集を開始し、支援を模索してきました。噴火から1週間が経過し、通信状況も徐々に回復し、現地の被害の状況が明らかになってきました。その中で現地の方々とつながる可能性も見えてきました。また、これまでご支援いただいた方々からも寄付の申し出もいただいております。よって、CODEはトンガの火山噴火災害の支援を開始したいと思います。現地では、津波よる家屋倒壊(トンガタプ島では海岸線から100m内陸まで浸水)に加え、降灰による、飲料水の汚染、健康被害、農作物被害が懸念されます。

トンガは、阪神・淡路大震災の際には2000万円、東日本大震災では900万円の義援金を送ってくれました。被災地KOBEのNGOとして、一人ひとりに寄り添った、被災者主体の支援を展開していきます。ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
(事務局長 吉椿雅道)

「トンガ火山噴火災害」の概要(1/25時点)
発生日時:2022年1月15日(日本時間13:10)
発生場所:海底火山フンガトンガ・フンガハアパイ(トンガタプ島の北約65㎞)
被災地:トンガ王国トンガタプ島など
被害状況:(人的被害)死者3人、負傷者14人、被災者8万8000人
(家屋被害)全壊50棟、損壊100棟(トンガタプ島)

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