No.23「海外の学びを日本へ⑤-ネパール-」

「海外の学びを日本へ⑤-ネパール-」
ネパールでは、3/23に緊急事態宣言が出されました。翌24日からネパール全土でロックダウンが開始され、当初15日までの予定でしたが、4/27までに延長されました。しかし、5/6の閣議よって予防措置のために5/18まで再び延長されることが決まりました。国際線、国際線すべてのフライトも5/31まで運行停止になっています。ロックダウンによる厳しい外出制限の指示に従わない場合は、警察による取り締まりの対象となり、車両も押収されているそうです。
ネパールは山岳国で未だ車の入れない村が無数にあります。そんな山間の村には医療機関さえありません。現在、ネパールの感染者は110名、死者は0ですが、近年、中国との関係の深いことから「感染者がこれだけのはずはない。医療体制が脆弱なことから検査が追いついていない」と地元メディアも懸念しています。 
2015年のネパール地震後、CODEが支援してきたグデル村(ソルクンブ郡)にもヘルスポスト(簡易な保健施設)しかなく医療の専門ではないスタッフが1名駐在しているだけです。
ネパールは、未だ地震からの復興の途上にあります。このコロナ危機によって年間約80万人に観光客がいなくなったことは、観光などのサービス業がGDPの半数を占めるネパールに非常に深刻な影響を及ぼしています。また、国民の約10%以上が中東やインドなどに出稼ぎに行っているネパールでは、このコロナ危機で出稼ぎ先で仕事を失った人たちが50万人以上帰国したといわれています。これらの出稼ぎ労働者からの送金は、GDPの30%近くを占めていることから経済への影響も懸念されています。

2015年のネパール地震直後に現地調査に協力していただいたNGOスタッフのMさんは、「緊急事態宣言後にインドで仕事を解雇された人たちが一気に帰国したが、ヘルスチェックもないままに帰国したので感染拡大が心配だ。」と語っています。
Mさんによると、ネパール政府は、緊急事態宣言後すぐに生活困窮者に対して米、豆、虻田、石鹸などの入ったフードパッケージを提供しました。市民は、政府や近隣の行政機関に直接寄付や物資を持ち込んでいるといいます。行政は、NGOと協働して生活困窮者のリストアップを進め、市民はNGOを通じてボランティアに参加し、買い出し、パッキング、配布などのチームに分かれて実施しているそうです。物資運搬もマスク着用とソーシャルディスタンスを保って行われています。
ネパールでも普通の市民がコロナによる生活困窮者のためにボランティアとして動いています。(吉椿)

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