本レポートで、「アフガニスタンからの贈り物」として、レーズンの購入を呼びかけました。
その後すぐにたくさんの方から注文を頂き、大変申し訳ありませんが在庫として置いていたレーズンはもう無くなりました。追加注文をしていますが、アフガニスタンがこのような状況のため、いつ入荷が可能になるか見通しがありません。入荷すればあらためて呼びかけさせて頂きますのでご容赦下さい。
ところで本レポート3で紹介した、阪神・淡路大震災での焼けた「柿の木」ですが、実は「人と防災未来センター」の資料室に「焼けた柿の木の根」(中村専一さん寄贈資料)として展示されています。ただし3日ほど前からの予約になっていますので事前予約が必要です。(予約は人と防災未来センターTEL:078-262-5058 FAX:078-262-5062)
さて、これまで紹介して来ましたアフガニスタンのぶどう栽培ですが、ぶどうを育てるための灌漑用水は、中東地域では共通して存在するしくみで、暗渠型地下水路“カレーズ”というものです。(ちなみにイランではカナートといいます。)アフガニスタンには、北東部に「ヒンズークシュ山脈」(最高7492㍍)という山々が横たわっています。冬になるとこの山々に雪が積もり、この雪が春になると溶けだし、地下に沁み込んでいき、数キロもある距離を地下の水路に流れ、人々が営む小麦やぶどう畑の灌漑用水となり、また生活用水として各家庭にまで流れていきます。このカレーズは、古代ペルシア人が考えたもので、約1000年前頃にイランからアフガニスタンのヘラートに伝わり、ヒンズークシュ山脈以北以外のアフガニスタンの各地域に広がったと言われています。アフガニスタンの人々にとっては、このカレーズが止まると、暮らしが成り立たなくなるのです。
「お金がなくても生きていけるが、あのヒンズークシュに雪がなければ生きていけない」という言葉がしっかりと刻みこまれています。よく「自然との共生」と言いますが、アフガニスタンではこの言葉が暮らしに沁みついていると言っても過言ではありません。
この貴重なカレーズの格言は何を意味するのか?ドキュメンタリー映画を撮れば世界一と云われる巨匠土本典昭監督が、日本アフガニスタン合作映画として創り上げた『よみがえれカレーズ』という記録映画に描かれています。故土本典昭は、この映画の最後で次のような語りをメッセージとしています。
―カレーズが枯れない限り戦火の中でも人びとのくらしは営まれている。モスクの修復に精魂込める職人たち。バザールでは子供たちが働き手として欠かせない。民兵に見張られながらも畑仕事をする農民。そして、カレーズ(地下水路)を清掃する人びと。カレーズは何百年もの間、大地を潤し、人びとに恵みをもたらしてきた。春秋の分水路の調整には千人をこえる人びとが働く。カレーズの水脈が枯れない限り、この地の営みはつづくだろう—と。(映画『よみがえれカレーズ』監督 土本典昭、製作株式会社シグロより引用)
このメッセージは、これからのアフガニスタンとの向き合い方をカレーズをとおして示唆しているのではないでしょうか。
(CODE事務局:アフガニスタン担当 村井雅清)