No.27-ウクライナ編⑯「学生ボランティアの感想」

MOTTAINAIやさい便の学生ボランティア、山口泰輝さん(兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科博士前期課程1年)は、先日、僕たちと共にウクライナのご家族に野菜を一緒に届け、ロシア語通訳Kさんのお力でお話しを聴く事ができました。山口さんの感想を2回に分けて紹介します。(吉椿)

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私は12日、CODE海外災害援助市民センターが取り組「MOTTAINAIやさい便」の活動に参加し、神戸市内に身を寄せるウクライナ人4人を訪問した。規格外の野菜や日用品を届けると、ロシアによる侵攻から逃れてきた彼女らは、笑顔で迎え入れてくれた。通訳を通じて生活の不安や故郷への想いを聞くなかで、コミュニケーションとエンパワーメントの大切さ、言語の壁を越える難しさを感じた。さらに、自分が専攻する防災に関連して、外国人の災害に対する脆弱さを痛感した。今後は、長期化する避難生活を見据えて、ウクライナ人同士の交流の場や、彼女らと地域住民の接点づくりが必要になりそうだ。

「日本に来られたことは嬉しいが、戦争がきっかけだったのは残念」。こう話したのは、4月中旬ごろ来日したSさん(20)。
彼女は母国と全く違う文化に触れてみたいと、以前から日本や韓国について関心があったという。いつか訪日したいと思っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大などにより断念。そんな時にロシアによる侵攻が始まった。日本を訪れるという長年の夢は叶えられたものの、そのきっかけが戦争であったことに彼女は違和感を感じているという。
出身地のウクライナ北西部の都市ルーツクでは、ベラルーシ方面からの攻撃や軍用機の飛行が続く。自宅はかろうじて残っているものの、周辺にはロケットが着弾しているという。変わり果ててしまった故郷だが、日本にはない広大な土地が恋しいとこぼした。
また、彼女には軍人としてウクライナで戦う父がいる。「送られてくる戦地の写真や動画を見るとつらい」。母や兄弟もここから出たくないと、国内にとどまっており、彼女の心配は尽きない。
しかし、彼女は「今後も日本に残るつもりです」と話す。調理師の資格を持ち、現在は週5日のペースでアジア料理や洋食を提供する店舗で腕を振う。職場環境にも恵まれ、今は仕事が楽しいという。「帰国しても仕事がないだろうから、日本で働き、稼いだお金を家族に送った方が良い」と、これからも今の生活を続ける意向を示した。そのため今後は、自立を促す支援、いわゆるエンパワーメント的な関わりが必要になるだろうと思った。
山口泰輝(兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科博士前期課程1年)

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