No.25-ウクライナ編⑮「家族の感覚の違い」

Oさん家族は今、それぞれの気持ちが揺れています。
Oさん、Pさん母娘は、Oさんの父Vさんと共にウクライナ西部テルノーピリから神戸に住む妹Nさんを頼って避難してきました。
日本に来て約3ヶ月。最近、市営住宅に引っ越しましたが、未だ仕事は見つかっていません。
これまでに日本に避難してきたウクライナ人は、1517名、うち兵庫県には71名(7/19現在、出入国管理庁調べ)の方々が暮らしていますが、すでにウクライナに戻った方もいます。
Oさんも、「9月にはウクライナに戻るかも…」と言います。それは娘のPさんの「学校が再開するかもしれない。友達に会いたい」という気持ちに母親であるOさんはそれに従わざるを得ません。一方でOさんの父親Vさんは「今、戻ったところで仕事もないし、何も出来ない。しかも高齢だし…」としばらく日本にいる事を決めています。
そして受け入れ先になっている妹Nさんは、「姉たちがウクライナに帰るのはいいけど、戦況が悪化してまた日本に戻って来ると言われても、もう受け入れないよ!」と語気を強めます。Nさんは、家族を受け入れるために、三人分の航空券などを負担し、日本での住居や支援金などの様々な手続きの度に通訳もしたりと、もう余裕がないのです。
家族それぞれにそれぞれの事情や想いがあります。戦争は避難者家族の関係をもズタズタにしようとしています。
(吉椿)

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