「先の事は誰にもわからないよ」と彼は言いました。
ウクライナから4月に神戸市内に避難してきたVさん(25歳)は、初めて会った時、ずっと下を見てうつむいていました。「戦争で故郷を奪われた人はこんな表情をするのか」と時折顔を上げた時の彼の顔が今も忘れられません。ウクライナに戻って戦おうとした事、言葉も通じない日本に来た事がVさんをこんな表情にさせたのかもしれません。
中でも彼を悩ませるのが、「住居」です。今、彼は民間の企業の提供したアパートで暮らしています。でも日本語のできる姉の家から離れているので、アパートには帰らずに姉の家で寝泊まりする事もあるといいます。
「今のアパートは3か月だけなので、7月には退去しなくてないけない」と不安を隠せません。県のサポートで次の住居を探していますが、姉の家の近いで公営住宅の空きがない事や公営住宅にシャワーがない事などが理由で次の住居が見つかっていません。期限が刻々と迫る中、Vさんは姉の職場の紹介で仕事を見つけ、必死に日本語を勉強しています。
先の見えない中でたくましく生きて行こうとするウクライナ人がいます。
(吉椿)
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