月別アーカイブ: 2010年4月

チリ地震救援レポート14

 先日4月9日、JICA兵庫主催で「チリ地震復興支援調査報告会」が開かれた。予想以上にたくさんの方が参加しておられびっくりした。これも阪神・淡路大震災を経験した被災地KOBEならではの現象かもしれない。
 さて同報告会には、地震後いち早く現地入りされたJICA国際協力専門員の石渡幹夫さん、国際緊急援助隊医療チーム先遣隊メンバー 富岡譲二さん、災害人道医療支援会(HuMA)の高田洋介さんの3名が登壇し、各々のご専門の立場で報告がなされた。
 緊急援助隊については、政府が緊急援助隊医療チームを一旦派遣を決めたが、チリ政府の意向を受けて取りやめたことが話題になっているが、確かに難しい判断になるでしょう。相手国の要請がなければ入れないが、待っていると72時間というゴールデンタイムは過ぎてしまう。そもそも今回のような地球の裏側の場合は、わざわざ日本から派遣する必要があるかなど議論の余地はある。ただ、何よりもいのちは大事だ!というのは誰もが共有できることなので、良い智恵を編み出すしかないということか。
 手前味噌で恐縮ですが、CODEの場合は今回ハイチ地震のあとすぐさまメキシコのNGOを派遣し、緊急時の一定の役割を終えたと思う。まずは日本から行かなくても、こうして近くにいる彼との調整で現地調査に入ることができれば、最低限の仕事はできる。政府も、被災地があまりにも遠い場合は、まず近くの大使館から派遣するとか、可能ではないかというアイデアもすでに同報告会で出されていた。
ところでチリ地震の被害については、チリ政府は途中で下方修正された。被害が少ないことはよいことだ。どうも、チリという国は先進国の一つでもあるので、事前の備えが徹底していたり、建築基準法で耐震基準がしっかり守られていたという話しもある。
 ただ報告を聞いていると、地震のエネルギーを表すマグニチュードは8・8と大きい。しかし、窓ガラス一枚も割れていないビルが少なくないというのだ。この現象には驚く。地震のエネルギーと揺れとは別だということだが、いずれにしろ地震や津波のメカニズムと事前の備えとしての避難訓練や耐震基準などについて、むしろこういう機会に徹底して調査をさせていただいて、今後の地震・津波災害に生かせるのではないかと提案したい。

チリ地震救援レポート13

2月27日に起きたチリ地震から約1ヶ月半が経過しました。
南半球にあるチリはこれから冬に向かいます。
被災地である中部、サンティアゴでは気温が0度近くまで下がることもあり、また、降水は主に冬(6~8月頃)に集中しています。
37万軒の家屋が被災したとの情報もあり、寒さや雨をしのぐためのシェルター支援を行う団体もあるようです。
各支援団体のこれまでの活動状況をまとめます。
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<ピックアップ情報>
●ADRA、冬が近づくチリで被災者5000人にシェルターを提供
(ADRA International)
チリで冬に先駆けて降り始める雨に備えてADRAは、中部の海岸地方の家を失った約5000人の住民のために、半久的なシェルターを建築し、上下水へのア クセスを改善すると、団体事務局が報じた。
ADRAチリのJorge Alé氏によると、この新しいプロジェクトは、140万ドル(約1億3000万円)の見積りで2010年9月に終わる予定で、やって来る冬の間のシェル ターを世帯に提供するだけでなく、生き残った被災者自身が自分の家を建て、仕事に戻り、生活を始めるようにと計画されている。
続きは:CODE World Voice  http://codeworldvoice.seesaa.net/article/146506021.html
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<各支援団体の活動状況>
●AMDA (3月18日時点)
http://amda.or.jp/
被災地地元の医療機関から協力を得て、乳児支援プロジェクトを実施。
17日までに配布する物資をサンティアゴなどで調達、19日からの配布と、
乳児健康診断の実施を予定。
●ネットワーク『地球村』(3月1日時点)
http://www.chikyumura.org/fund-raise/international/2010/03/01-111657.html
http://www.chikyumura.org/ (団体ページ)
募金募集開始。既にAMDAに100万円を寄付。
●ADRA(3月15日時点)
https://www2.charity-platform.com/navi_view.php?id=374&page_state=tab5
http://blog.canpan.info/adrajapan/category_16/
*Facebookでtwitterでフォロワー募集中。
被災者家族を対象に1,480食料セットと以下の生活用品を3月4日より配布
毛布2000枚、マットレス400枚、家族用テント200張、衣類50包以上(多数)。
●グッドネーバーズ(3月16日時点)
http://www.gnjp.org/
3月12日と3月13日、チリのタルカワノ地域の2,000世帯約10,000人余りを
対象に食糧および生活必需品を緊急支援。
● ハビタット(3月16日時点)
http://www.habitatjp.org/
ハビタットは、震災直後から調査チームを組織、サンティアゴ、タルカ、プエルト・サヴェドラ、ロス・アンゼルス、テムコ、クレプト、グレコにおいて、被災の程度やニーズに関する調査を実施。
これら調査結果に基づき、緊急支援を開始。タルカでは緊急用テントの配布、36軒の住居建築を計画しているクレプトでは瓦礫の撤去作業が進められている。
●HuMA(3月18日時点)
http://www.huma.or.jp/activity/chile2010.html
ジャパン・プラットフォーム(JPF)およびICA文化事業協会(ICAジャパン)と協力して、
この地震の被害による医療施設、住民の生活環境および必要な支援について調査をするために初動調査チームを派遣。
2名が3月10日~3月18日までの9日間、現地で情報収集。
●ICA(特定非営利活動法人ICA文化事業協会)
http://www.icajapan.org/icajapanj/newsJ.html
募金募集開始。3月5日より現地の調査を開始し、初動食料支援を行う予定。
● 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(3月26日時点)
http://www.japanplatform.org/top.html
チリ地震被災者に対して、以下の枠組みで支援を実施することを決定。支援期間3か月、支援規模 5千万円。
HuMAに助成、ICAとジャパン・プラットフォーム合同で物資配布済み。
●国境なき医師団(3月23日時点)
http://www.msf.or.jp/
特に心理ケアを優先。また、夜間の冷え込みと雨量が増す中、
家が破壊され屋外でキャンプ生活をすることの多い住民を対象に
ビニールシートと毛布の配布も急いでいる。
●ピースウィンズジャパン(3月4日時点)
http://www.peace-winds.org/
募金募集開始。JPFの一員としてスタッフを送る予定だったが、いったん見合わせ。
● セーブザチルドレン(3月31日時点)
http://www.savechildren.or.jp/
チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)で子どもたちをケアするボランティアの研修を行っている。既に行っているシェルター、水、衛生キットの配布活動をチリ政府と協働して引き続き続ける。
● ワールドビジョン(3月10日時点)
http://www.worldvision.jp/
2万5千人に対し支援物資配布。
3月7日(日)、コンセプシオンから約65キロ離れた町、ディチャトにチャイルド・フレンドリー・スペース(以下CFS)を開設。100人の子どもたちを収容するスペースがあり、心理学者、教育者が活動を管理する。
●国際赤十字(3月25日時点)
国際赤十字は3月10日に緊急アピール額をおよそ11億2,000万円に増額すると発表し、今後1年間で救援物資の配付や仮設住居の支援のほか、予防のための地域保健事業、生計再建事業、災害対策事業を行っていく。
●日本赤十字社(3月25日時点)
http://www.jrc.or.jp/
日本赤十字社が派遣した基礎保健ERU(緊急対応ユニット)の立ち上げを行った
日赤チームは約2週間の活動を終えて3月24日に帰国。
被災者への直接的な医療活動ではなく、被災したサン・ホセ病院の入院病棟機能を補填することが目的。大型テント、発電機、照明器具、ベッド、外科・内科診療・母子保健に必要な医療器具(約10.3t)と医薬品(1t)などを現地へ輸送し、病院スタッフと日赤チームが協働してテントの立ち上げや医薬品の整理を行った。