引き続き、チリに入って活動をされているHuMA(災害人道医療支援会)のスタッフからの現地報告(3月14日)をご紹介します。
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(3月14日)
タルカを8時に出発し、コンセプシオンに向かいました。道中の高速道路は一部改修工事のため、上り線を封鎖して下り線と対面通行にするなどの対応がされていますが、概ねスムーズに走れました。約200kmの道のりを3時間程度で走行することができ、T先生が調査していた時期よりも格段に交通事情が改善しています。ドライバーは震災直後に日本の新聞記者をのせてコンセプシオンに入っており、当時の状況を知っていますが、かなり瓦礫などが撤去され、道は整備されたと言っています。道路の状態で政府機能を言うには適切ではないかもしれませんが、少なくとも海外からの支援を受けないと道路が整備できないような状態ではないことは確かです。
11時過ぎにコンセプシオンに到着し、ホテルにチェックインした後、さっそく市内の視察を行いました。建物の被害は全体の割合からいうと3割程度ではないでしょうか。クラックすら入っていないきれいな建物もあります。しかし損傷が激しい建物もあります。基本的には鉄筋が入っていないレンガ造りのものばかりが崩れておりました。しかし先月完成したばかりのマンションが一つ倒壊しておりました。
ホテルに戻った後、ICAチリで研修を受けたteleton(小児リハビリセンター)コンセプシオンのスタッフと面会しました。一応、teletonの状況を聞きましたが、この施設は機能しており、外部からの支援を必要としておりません。本人もそのようにいっておりました。実は、彼が持つ通行証がタルカワノなどへ行くときに必要になるのでHuMAと合流しました。昼食後、津波被害が大きかったタルカワノ(Talcahuano)に行きました。ここはコンセプシオンと同じ海岸線の北西に位置する半島にあり、湾(内海)に面している街です。大型の貨物船などが入ることができる港町です。津波で大量のコンテナが流されビルが壊れる被害が出ていましたが、今は撤去されておりコンテナはありませんでした。タルカワノに来て感じたのは、津波の被害を見に来る人たちが多いことです。みんなカメラやビデオカメラを持っており、観光しているようにも見えましたが、インタビューをしてみると、ほとんどは、コンセプシオン在住の人で、タルカワノの被害がひどいと聞いたので見に来たと言っており、それを確かめるために訪れておりました。
その後カレタトゥンベス(caleta tumbes)という、タルカワノよりもさらに北にある漁港に行きました。イワシなどの漁をしていました。海岸線沿いに家が立ち並び、津波の被害を受けていました。ここではレンガ造りの家は跡形もありませんでした。しかし木造の家はガラスすら割れていない家もあり、それがレンガ造りの家と隣接している興味深い状況でした。インタビューでは津波は地面からの高さ70センチぐらい(海面から数メートル)だったとの証言がありましたが、建物の2階部分まで激しく変形している木造住宅もあり、数十メートルの離れただけで住宅被害に大きな差があるようでした。レンガ造りの家に住んでいた人に聞くと、家は地震には何とか持ちこたえたけど、津波で完全に破壊されたと言っていました。また、現在は親類の家に住んでいるが、漁に出ても魚を揚げる所(市場?)が潰れてしまっているため困っており、どうすればいいのか途方に暮れていると言っていました。 食糧と水は配給で、トイレは穴を掘ってしていますが、同様に薬剤で処理をしていました。暖房は無く夜はとても寒いですが、風邪をひくなど、体調の悪い人はおらず、定期的に巡回診療が入っておりました。HuMAの活動としてテント村を巡回診療することを考えましたが、あえて日本から行かなくても既存の資源で賄っておりました。
チリ地震救援レポート12
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