2020年にノーベル平和賞を受賞したWFP国連世界食糧計画(国連WFP)は、昨年8月15日に暫定政権を樹立した「イスラム主義組織タリバン」が統治するアフガニスタンでは、「(2022年の)6月から11月にかけ、人口の45%に当たる1890万人が深刻な食糧危機に陥るとの予測を発表した。」(神戸新聞 2022・5・17)
さらに、「降水量が少ないこと、ロシアによるウクライナ侵攻で国際的な食料や燃料価格も高騰のため状況改善の妨げとなった」と。(同紙)
また国連WFPは「技術訓練や気候適応プロジェクトを通じて、家族が自分たちの土地を耕し食料を育てられるよう、人びとの生活に投資し続けていきます。」とも述べている。
以前、本レポートで同暫定政権が「ケシ栽培の禁止」を発表したことを伝えまた。“ウクライナ戦争”の影響で、アフリカなどでは「パンが食べられず、しかも一日一食で、キャッサバを食べている」との報道もあった。また、ケニアは長期的かつ記録的な干ばつで、家畜の多くが死に絶え、飲料水は塩水を飲まざるを得ない状況で健康被害が広がっている。こうした食糧危機は、アフガニスタンに留まらず、これまでに例を見ない深刻な事態だ。
ならば一つの対策として、国連の関係機関(WFP)や国連食糧農業機関(FAO)など)は全力をあげて、アフガニスタンのケシの耕作地の全てで小麦や大豆、ぶどうを育て、そこからの全収穫量を農家から買い取り、飢餓対策の食糧支援に回すとともに、アフリカなどで食糧危機になっている国々にも供給するということを提案したい。これには日本のNGOはじめ各国のNGOも賛同するだろう。当然国連は、タリバン暫定政権に人道的援助に携わっているすべての援助者の安全の保障を約束させるべきことは言うまでもない。
おそらくこんな知恵は、すでに実施していますとたしなめれるかも知れないが、アフガニスタンにおいては、昨年の危機状態から10カ月が過ぎようとしているのに、状況は改善されるばかりか、ますます悪くなっている現状に愕然とせざるを得ないからだ。
「FAOは、生計支援を継続し、アフガニスタンの7割の人口を占める農家と家畜業を営む家庭には、生産性を保てるように、命を救う支援と現金支給を行っている」「高品質で現地で手に入れた種、肥料と訓練を含む小麦の耕作パッケージを提供している」という国連レポートもあるので、いわゆる総合的なプログラムで考え、実施していると思われるが、人道的支援として叡智を絞って実施すことを願う。
こうした惨状を見ると、むしろタリバン暫定政権を国際的にも承認することを積極的に考え、同暫定政権自らが自国の為に活躍できるようなプログラムを提案することも一考に値するのではないか・・・・・?「制裁」を課するだけでは何も解決しないばかりか、さらに被害を被るのは一般の市民であることを忘れてはならない。
(CODE事務局:アフガニスタン 担当 村井雅清)
●昨年の8月15日以来、CODEが支援してきたぶどうの生産地などの状況が全く伝わらないので、これまでご案内していた「ぶどう畑の様子はこちらから」とそのURLは省略します。現地からの情報が入り次第、都度ご報告しますのでご容赦下さい。