アフガニスタンの記事が、極端に少なくなってきた。ここ数日前からのマスコミの記事を見ると、北部マザリシャリフや首都カブールでの自爆などの爆破事件が相次いでいる。特に、モスクに一般の人たちが集まっているときの行為は、決して許されるものではない。昨年の8月15日以来、一応暫定政権を維持しているタリバーンは、イスラム教のシャーリア法に則って政治を司っている。その象徴であるモスクが攻撃のターゲットになっているということは、大変気がかりだ。
さて、そのシャーリア法に基づく政策の一つで、「勧善懲悪省」を設置したことから、就労や教育に対する制約が厳しくなっていることは周知の事実だ。その制約の一つに、女性の服装のことがある。暫定政権は、つい先日5月7日に「女性が外出する際に全身を覆うことを義務づける」と発表した。そもそもアフガニスタンでは、タリバーンだからということではなく、また政権による義務付けでもなく、女性の外出時の服装に制限があった。2001年にタリバーンが陥落した後、2002年からアフガニスタンに出入りしていたときにも、私は何度も女性の服装には目が奪われた。
先述した「全身を覆う」というのは、アフガニスタンでの女性用の伝統衣装「ブルカ」の着用のことだと言える。しかし、国際社会からは「人権侵害だ」との批判の声が上がっている。
シャーリア法にはどのように表現されているのか正確には知らないが、巷で言われてるのは「既婚の男性の前では、むやみに肌を露出してはいけない」ということらしい。私がアフガニスタンの家庭を訪問した時に、やはり女性はブルカを被っていた。こんなこともあった。ある真夏の暑い日に、デコボコの悪路のため、ゆっくりと車で路地を走っているときに、かなり前方遠くに一人の女性が歩いていた。「あれ、あの人ブルカを被っていない?」とちょっとびっくりさせられた。でも、その女性はブルカを着用していたのだが、あまりにも暑いからなのか全身を覆うようにスッポリとは被っていなかったのだ。ところが、車がゆっくりとその女性との距離を縮めて行くと、その女性は私たちと目があったのか、慌てるようにブルカで覆うように頭から被ったのだ。「えっ、こんな状態でも・・・・?」と私は苦笑いを抑えることができなかった。
その後、アフガニスタンの北部で地震があったときに、路上に並んで女性が主食である「ナン」を支援団体から配って貰っていたときには、みんながブルカを被って並んでいたのも印象的だった。
CODEは、支援のモットーとしている一つに「被災国の宗教や生活習慣を尊重する」と掲げているので、あくまでもこのような習慣もすべてを否定しない。ただ、難しい選択だが、宗教上の文化が違っていても、「人権の尊重」という視点から考えると、必ずしも「べき論」で理解すべきではないだろう。尊重するものの、「どんな服を着るのかは、あくまでも着る人の意志を尊重するのが「人権の尊重」ではないだろうか?
(CODE事務局:アフガニスタン 担当 村井雅清)
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