ニュース等でも報じられていますが、引き続きトルコ東部地震に関してお伝えします。
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被災地では懸命な救助作業で、48時間ぶりに生後2か月の赤ちゃん、54時間ぶりに10歳の少年が次々と救出されている。現地では主に赤新月社(国際赤十字・赤新月社連盟)によって避難テントや食糧などは配布されているようだが、まだまだ十分な状況に至らない。
地震から4日を経て、ワンやエルジシュなどの都市部での被害状況が少しずつ明らかになってきた。被災地の写真や映像を見る限り、壁はブロックを積み上げたものが多く、壁や接合部の構造の脆弱性ゆえに床、屋根部分が折り重なるように崩落している。都市部で倒壊したビルや家屋は、近年の移住者向けの築10年ぐらいのものが多いようで、おそらく耐震性が考慮されずに早急に建てられたものなのだろう。
ワン、エルジシュなどの都市部の被災報道と比べ、農村部や山間部の情報がほとんど入って来ない。知り合いの現地記者の記事には、唯一、農村部の家屋の状況が書かれてあり、やはり農村部でも多くの家屋が倒壊しているようだ。農村で牧畜などの伝統的な暮らしを営むクルド人の住宅は、鉄筋やセメントを使わない日干しレンガを積み上げただけの簡素なもののようだ。
あるトルコの災害の専門家は、1999年のトルコ北西部地震の被害の状況と同じだと言っている。という事は、地震多発国であるトルコでこの12年間ほとんど耐震化が進んでいないという事になる。イスタンブールやアンカラなどの西部の都市との経済的な格差による事やクルド人問題などもその理由にあるのかもしれない。
(吉椿雅道)