サイクロンの被害によりデルタ地帯の米作に悪影響が出ていることは以前お伝えしましたが、この地域の農業に欠かせない家畜も死んでしまったことことから、農業を再開することが困難になっていることが伝えられています。家畜での耕作を行う農民が耕運機を使いこなせないこと、これからの支援のあり方において教訓となるでしょう。
<以下はCODE翻訳ボランティアさんからのものです。>
[サイクロンがミャンマーの米作に与えた影響に関するレポート]
Mizzima News 2008.7.1記事より抜粋
FAO(国連食糧農業機関)によると、国の65%の米を生産しているイラワジデルタがサイクロンによって一番の被害を被り、少なくとも12万の家畜―牛や水牛―が死んだという。それに加えて、生き残った家畜の多くが餌不足やハエにわずらわされて休めないことなどによっていろいろな病気にかかり死んでいる。ラブッタ地域では口蹄疫が流行して各村で牛や水牛が死んだ。新たに支給された牛も、数日働いただけで死んでしまう。ボガーレでは家畜の姿は見えなかった。
政府は耕運機を支給しているが、数が足りず、たくさんの農家で交代で使っている。農民たちは、耕運機という機械に慣れておらず、その扱い方が難しいので、水牛を使った昔ながらの耕し方の方がよいと思っている。
The Irrawaddy 2008.7.4記事より抜粋
イラワジデルタの少なくとも70%がいまだ耕作されていない。農民は時間との戦いをしていた。7月半ばを過ぎると夏のモンスーンが始まって、農地が水で覆われてしまうため作付けができなくなるからだ。仏教徒の行事(注1)の始まりとなっている太陰暦のワソ(7月)の満月の日までに伝統的な作付けの時期(注2)は終わっている。今年のその日は7月17日である。サイクロンから2ヶ月が過ぎ、作付け時期の終わりまであと2週間をきって、多くの農民達は種籾や水牛の不足に悩んでいた。すぐに作付けしないと10月に収穫できなくなる。
新しい種籾の配給を受けた農民は、この土地でその種籾はよく育たないと言っている。この地域ではこれまで決まった種類の種籾を使っていて、他の種類だと問題が多く、米の質がとても悪くなるとラングーン管区のクンヤンコンの農民は言っている。
ミャンマーの農業と灌漑の役所の発表したデータによると、イラワジ管区の1,066,271エーカー、ラングーン管区の300,713エーカーの農地がサイクロンの高潮によってだめになったという。100万エーカー以上の農地が海水に浸り、20万以上の家畜が嵐で死んだことになる。
ミャンマー農業開発銀行はラブッタの農民に441万カヤット(375,000USドル)の融資の支払いを計画している。ミャンマー農業組合ではサイクロン被災地の農民に種籾と肥料を支給する予定にしている。
ボランティアやミャンマー政府はひどく被災した地域へ耕運機を支給しているが、数はまったく足りていない。
農業省は、嵐で死んだ28万以上の家畜の代わりに13,600台の耕運機が必要だと言っている。
(注1) ワソから3ヶ月間、僧は外出を控え、寺で瞑想する。
(注2) ミャンマーでは、乾期作付け(ヌエーザバー)と雨期作付け(モーザバー)の二期作をしている。今は雨期作付けの時期。