投稿者「code」のアーカイブ

No.18-名付け親―山本健一編①「ボランティアに徹する“79歳のスーパーボランティア”」

“ヤマケンさん”、と親しみを込めて若い学生さんたちからも呼ばれる「山本健一さん」を紹介します。“ヤマケンさん”は、何が凄いかというと(というか凄い話はヤマほどありますが)、一日4時間くらいを毎日軽トラで走るのも平気という人なのです。本業は造園業ですが、お住まいのある兵庫県たつの市では農業もされています。毎週、兵庫県丹波に行き(片道2時間)、氷上や奥丹波、農(みのり)の学校、そして丹波篠山(ジコモ・ファーム)などと農家の手伝いを“はしご”しながら、MOTTAINAIやさいを調達して来て、神戸のCODEまで運んでくれます(丹波―神戸が2時間)。ヤマケンさんの地元からはニンジンが来ます。神戸で新鮮な野菜を卸した後には、また2時間ほどかけてたつのに帰ります。時にはこのサイクルを1週間に2回繰り返すこともあるのです。つまり、「MOTTAINAIやさい便」の名付け親でもありますが、ヤマケンさんがいなければ成り立たないという、かけがえのない存在になっているのです。

79歳ながら、本業の造園も現役で、大変忙しい毎日をおくっています。「MOTTAINAIやさい便」に関わるCODEの学生さんたちが、農業に触れることでいろいろなことを勉強し、育って行くことに自分も励まされていると常々言っておられます。また学生さんたちは子ども食堂では食育を子どもと学び、またMOTTAONAIやさいを、ロシアやウクライナから避難している人たちや外国人技能実習生や留学生として日本で働き、学ぶベトナム、ミャンマー、インドネシア、中国、アフガニスタンなど人たちに届ける活動を通して、日本で生活することの大変さに触れ、学ぶことを支えてくれています。脇役に徹しているのです。

こうして、ヤマケンさんは「MOTTAINAIやさい便」を届けることを主とし、人と人をつなぐボランティアに徹しているのです。ヤマケンさんは、こういう活動を通して、実に多様な“MOTTAINAI”に触れ、「後期高齢者だからと言って、ボーと毎日を過ごすほどMOTTANAIことはない!」といつも仰っています。
(村井)

No.17-生産者編④「暮らしの学校農楽(の~ら)」

CODEの前理事の村上忠孝さん(専業農家)が、MOTTAINAIやさい便として1~2週間に一度のペースで新鮮な野菜を届けてくれます。ここでは、業者に販売している訳ではないので、綺麗で、新鮮な野菜が届けられます。そして村上さんは、以前からおつき合いをされている一般社団法人「暮らしの学校農楽(の~ら)」(兵庫県豊岡市出石町)さんから、ジャガイモやタマネギ、キュウリなどを段ボール箱3~4ケース分も購入して、月に一度くらいのペースで送ってくれます。

その通称「の~ら」さんは、―発達障害や対人関係の不調など、さまざまな理由で社会参加できなくなっている人のための支援施設です。ひとと繋がり、農作業をはじめとするさまざまな活動を経験しながら、ゆっくりと自分の課題を克服していくお手伝いをしています。―とパンフレットに紹介されています。「MOTTAINAIやさい便」ですから、もちろん化学肥料も、農薬も使っていません。先日野菜と一緒に頂いた『ぼちぼちいこか』(2022年6月発行)というニュースレターを拝読させて頂きました。それには「一年で一番忙しい時期に突入しています。夏野菜をのんびり定植してたころが懐かしい!無農薬の米作りのための除草作業、そして、ニンニク、タマネギ、ジャガイモと、トン単位の収穫が続きます」と書かれていたので、結構、ハードな毎日なのだろうなぁと想像します。除草は農家さんから機械を借りてやれるようになったので「20倍?」の速さとか!

でも農作業って大変だろうと思います。特に今年の夏は、半端じゃない程温度が急上昇しているので、熱中症にならないかと心配でもあります。(6月29日の最高気温は38℃を越えました。)

村上さん、の~らさん、ほんとうにありがとうございます。ウクライナの方は、じゃがいもが主食です。凄く喜ばれます。先日の3ケースも、二日で配り切りました。せっかく精魂込めて作って下さっているので、できるだけ新鮮なうちに届けようと努力しています。きっとみなさん喜んで下さっていることでしょう。

あらためて「MOTTAINAIやさい便」は、作っている人と、食べる人がいてなり立っていることを痛感します。是非、みなさんこの活動を支えてくださいね!

No.16-ウクライナ編⑩「市民の連帯の力」

MOTTAINAIやさい便をウクライナの避難者の方々に提供し始めて約1か月半。東灘区に住むウクライナ人Mさんから始まり、現在、8世帯16名の方々に野菜を届けています。
在神戸のウクライナ人家族を含めると、11世帯19名になります。現在、兵庫県に避難してきたウクライナ人は、54名(出入国管理庁調べ)です(その中には個人のつながりで避難してきた方などは含まれていません)。という事は、兵庫県の避難者の3分の1に野菜を届けていることになります。人が人をつないで、このように「野菜がほしい」というウクライナの方が増えてきました。

「最近、野菜など物価が上がっているから助かるわ」、「ビーツやディルなどの野菜で故郷を思い出すわ」などの声をいただいています。また、野菜を届けた際にお話しをお聴きしているのですが、それがきっかけで通訳ボランティアさんの協力や自転車の提供、引っ越しなどの活動にも広がってきました。

ある方が、「MOTTAINAIやさい便は足湯ボランティアみたいですね!」と言ってくれました。そうなんです。足湯というものの提供の根っこには、それを通じて「目の前のひとりの声に耳を傾ける」という阪神・淡路大震災からずっと大切にしてきた事があり、このMOTTAINAIやさい便も新鮮で栄養のある野菜を食べていただくという事はもちろんですが、野菜を届けることを通じて、その方々に寄り添っていくという事を大切にしています。目の前の人の声を聴いていれば、その人たちの置かれた状況や問題がとてもよくわかります。直接、僕たちが解決できる問題を決して多くはありませんが、取りこぼされている人たちの声には耳を傾け続けていきたいと思っています。

CODEの「C」はCitizens(市民たち)という意味です。この「MOTTAINAIやさい便」には、たくさんの「普通の市民」の方々にかかわっていただいています。丹精込めて育てた野菜を提供していただいている農家の皆さん、捨てる野菜ではないけれどウクライナの人に何かをと家庭菜園の野菜を送ってくれる方々、言葉で力になりたいと通訳をしていただいているボランティアさん、通訳を探して紹介してくれる方、学校やアルバイトで忙しい中、合間を縫って野菜と届けている学生さん、いつも遠方から野菜を神戸に届けてくれるYさん、野菜を買ってと寄付をしてくれる方々、ウクライナではこんな野菜を食べるらしいよ、あそこに種が売っているよ、などの情報をくれる方、うちのキッチンを使ってウクライナ料理を作って売ってみたら?とアイデアをくれる方など、本当に市民の皆さんの力に支えられています。まだまだ小さな活動ですが、NGOとして「市民の連帯の力」の重要性を強く感じています。
みなさん、いつもありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
(吉椿)

No.15-ウクライナ編⑨「結局、共助」

「暑っ!」部屋に入った瞬間、そう感じました。
それを察したVさんから「エアコンがないの・・・」という言葉が返ってきました。 先日、野菜をお届けしたモルドバ人Oさんから「あまり知り合いもいないウクライナ人の母子がいるの。野菜を届けてあげてくれないかしら」と紹介されて、この日Vさんに「MOTTAINAIやさい」をお届けに行きました。

Vさんは、4月にウクライナ・ジトミールから5歳の娘と共に日本に避難してきました。日本に住む友人の誘いで神戸に来て、最初は友人宅にお世話になっていましたが、3週間前に今の公営住宅に移ってきました。2DKの古い公営住宅でWiFiやエレベーターはありません。Vさんたちは、1階に住んでいますが、部屋の中にはエアコンがついておらず、小さな扇風機一つ回る中、そこで5歳の娘さんが出来合いのピザを食べていました。
こんな状態では熱中症になると思い、「行政には言った方がいいよ」と言うと、「すでに言ったわ。でも、対応してくれるのは8月になるって・・・」とこの猛暑の中、1か月以上待たなくてはいけない事を嘆いていました。

その後もメールで「僕の方からも行政にプッシュしようか?熱中症には気をつけてね」と送ると、「ありがとう。友達が窓枠につける冷風機を明日持ってきてくれることになったの」と返信してくれました。結局、ウクライナ人同士のつながりで問題を改善しようとしています。

日本に避難してきているウクライナ人たちは、在日のウクライナ人たちも含めたSNSのグループで情報共有し、助け合っています。公助の隙間を埋めるのは結局、友人知人同士の共助なんだと27年前のKOBEの震災を思い起こさせました。
(吉椿)

*ご寄付のお願い
MOTTAINAIやさい便では、ウクライナの避難者、アフガニスタンの退避者、ベトナムの留学生・技能実習生などの新鮮で美味しい野菜を買い取って届けています。皆さんの思いを野菜にして届けます。ご支援・ご協力お願いいたします。
ご寄付はこちらから。

No.14-生産者編③「高木農園」

6月21日(火)、神戸市北区で農業を営む「高木農園」を訪問しました。同園は、4反の畑で、内ハウスが4つです。トマト、キューリ、ナス、オクラ、インゲン、ニンジン、ズッキーニ、ショウガなど40種類を栽培しています。6月から8月は一番忙しい時期だそうです。

実は高木さんはCODEで活動していた神戸市内の大学生OBのOさんの友人で、同じ大学を卒業されました。大学卒業後、中古車販売の会社で働いていたのですが、約10年前に、神戸市が主催する農業研修を受け、3年間学んだ後、7年間農業従事者として働いています。「もう、かれこれ10年になるのですね!一人前の仲間入りですか?」というと、ちょっと照れ臭そうに、「まだまだですよ!」と謙遜されていましたが、農家としてのいろいろな苦労話を聞かせて頂いていると、端々ではもうプロの農家としての誇りを感じさせてくれます。特にハウス栽培の様子を見させて頂いて、実に見事な野菜が育ってるのがわかります。「6月から8月が一番忙しい!」と、一人で4反を世話している苦労が伝わってくるようでした。

「MOTTAINAIやさい便」の説明をさせて頂き、「厚かましいはなしですが、もし規格外品がでれば、提供してくれませんか?」とお願いしたところ、「ちょうど明日、収穫して出荷しますので、午後の3時以降に来られたら、少しは提供できると思います」とのお返事を貰いました。

実は、高木さんにMOTTAINAIやさい便の話をしたのは、もうかれこれ1ヶ月ほど前のことでした。その時に、高木さんは「うちの畑はそんなに広いわけではないので、期待に沿えるかどうか・・・・・、量が出ないと思います」という返事でした。私は「少しでもいいですから、わけてくれますか?」とお願いしていました。その時の感触が、私の思い違いかも知れませんが、「私のところは、規格外品はほとんど出ないのですよ!」と聞こえたのです。

21日朝から収穫をされ、言われたとおりに午後3時を過ぎて行くと、ニンジン、キュウリ、インゲンの2かごだけでした。言うまでもなく、農家さんは誰一人、規格外品を作ろうと思って作っている人はいないでしょう。だから、“規格外品”という響きには、どこかすっきりしないものがあると思われます。だから、「MOTTAINAI」なのです。規格外品だからMOTTAINAIのではなく、精魂込めてすべてが育てられたものだからなのです。私は農業のことは全く素人なので、わかりませんが、やはり、間違いなく一人前の農家さんなのです。ありがとうございました。
(村井)

No.13-生産者編②「MOTTAINAIも奥が深い!!―とびまつ編(2)」

とびまつ森の会の菜園は、前号の生産者編①で紹介しましたように毎週1回の作業日となっていて、同時に朝9時半から地域の方に販売します。21日は朝から雨だったのですが、もう8時から地域の方が並んで販売を待っていました。作業に来られているボランティアさんたちは、ナスビ、キュウリ、インゲンなどをその販売に間に合わすために、摘み取りを急ぎ、袋詰め作業をしておられました。雨の中を1時間以上も傘をさして並んでいることにはびっくりしました。作業をされている方に聞くと、「今日は雨なので、いつもの半分くらいですね!」と。

さて、私は販売の邪魔にならないように、少し離れて見ていました。時間が来た時にちょうど、担当責任者のWさんと話していて、もう5分も販売の模様から目を放したつもりはなかったのですが、「アッ!」という間に販売は終わっていました。

さて私は、前日にWさんに電話をし、先週に続いて2回目の「MOTTAINAIやさい便」の野菜の調達に行きました。今回は、すでにWさんが野菜かごにじゃがいもを選別して用意をしてくれていました。「まだ、少し水分があるので、日の当たらない所で水分を飛ばして、積み重ねないように平たく並べてくださいね!」とアドバイスを貰いました。おまけに?Wさんはインゲンとさやえんどうを別に分けて採り入れて下さっていました。「これはみなさんで食べて貰って下さい」と言われ、厚かましくも甘えさせて頂きましたが、そのお心遣いに敬服します。「インゲンもこれも、夏野菜だから、こうして新聞紙に包んでビニール袋に入れて、口をあけて、水分を抜いて保存します」と。私は、「青野菜はせっかく新鮮な物を戴くので、新聞紙で包んでビニールに入れて、氷を入れたクーラーボックスに入れています」と説明すると、「にこっ!」と笑って、「ブー!」とダメ出しを貰いました。「え~、これダメなんですか?」とガッカリしていたら、Wさんは、「野菜は原産地を考えてください。暑い地域で育ったものは、やはり口を閉ざさずに、自然の空気で息ができるようにして挙げて下さいね!」と。なるほど、「アフガニスタンのぶどうもそうだったなぁ!!」と思い出しながら、凄く納得しました。「う~ん、奥が深い!」とまた一つ勉強させて貰いました。また、来週も楽しみだ!
(村井)

No.12-生産者編①「MOTTAINAIも奥が深い!!」

15日、神戸市須磨区にある飛松中学校を訪問しました。同校には「とびまつ森の会」という森の整備活動や自然環境保全活動を地道に続けている市民の会のフィールドがあるのです。縁あって、私が同会の会員であることから、事務局の元同行教員のHさんに連絡を取り、約10年ぶりに訪ねました。

実は、このとびまつ森の会の“森”というのは同校の裏山になるのですが、神戸市内の中学校で唯一“学校林”として森を所有しています。この森を活用して夏の自然体験教室、子育て支援グループの支援、六甲山系グリーンベルト整備事業の「森の世話人」としての活動などを展開しています。そして、もう一つは学校の中に2カ所、学校の入り口近くに1か所の菜園を運営しています。余談ですが、私が10年ほど前にはじめて訪問した時は、後者の学校入り口付近の菜園しかなかったのですが、参加者も増え、菜園も増えて行った模様です。 

ここで、毎週1回「コミュニティ朝一」といいますか、いわゆるとびまつ森の会の菜園活動で育成、収穫した野菜を地域の方々に販売しています。聞くと「好評で、私たち作って入る者にも、まわって来ないときもあります」と、菜園の世話人のWさんの説明です。さて、ここで「MOTTAINAIやさい便」の出番です??

「売りものにはならない(正確には、「売る訳には行かない!」)、規格外品といいますか、食品ロスとなる野菜はありますか?」「ウクライナやロシアから神戸に避難している人たち、ベトナムやミャンマー、アフガニスタンからの難民や技能実習生たちに、“MOTTAINAIやさい便」として、規格外品かもしれないけれど、食べる上では何の問題もない、新鮮でおいしい野菜を届けています。定価より安く売ってくれませんか?」と恐る恐るお願いすると、「青物は難しいけれど、タマネギなら少しありますが・・・・・」ということで、30個余りを頂戴してきました。「規格外品なので、お金は貰えません!」とかたくなに拒否されたのですが、「とびまつ森の会の活動への寄付ということで受け取って下さい。」と納得して頂きました。今、タマネギは1個170円~190円し、消費者にとっては”野菜のダイヤモンド“になっています。Wさんは、規格外品として籠に入れてあった中から、丁寧に1個1個を検品しながら、「こんな風に”足首美人“といいますが、ここがキュっと絞られているのが美味しいの!」「大きくなりすぎているのはダメ!タマネギは放っておくと、どんどん大きくなります」とタマネギにも「ゴメンね!」と語るように選別してくれました。

ほんとうに「MOTTAINAI」話です。以前、ワンガリ・マータイさんが日本をはじめ世界中に広げられた「MOTTAINAI運動」には、「尊敬する」という意味もあることを思い出し、「これだ!」と納得し、凄い学びを得たような気がしました。
(村井)

*ご寄付のお願い
「MOTTAINAIやさい便」では、若者たちと一緒にウクライナからの避難者、アフガニスタンからの退避者、在日ベトナム人留学生や技能実習生などに新鮮で美味しい野菜を提供しています。ご寄付は野菜購入や配達のガソリン代などに活用させていただきます。ご協力のほどよろしくお願いします。

No.11-ウクライナ編⑧

CODE未来基金のメンバーとして、昨日、MOTTAINAIやさい便をウクライナの方に一緒に届けた学生、髙野史織さん(園田学園女子大学3年生)の感想をご紹介します。

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2022年6月20日(月)に、私はCODEの「MOTTAINAI やさい便」に参加させていただき、子ども食堂とウクライナから日本に避難してきた方に野菜を届け、お話をお伺いする貴重な機会に参加させていただきました。今回はその中でウクライナ人とのお話の感想をお話しさせていただきます。

私は今回の活動に参加する前、あることを感じていました。それは同じ地球に住んでいるため、他人事ではないとニュースを見て感じていました。ニュースでウクライナ情勢のことを毎日報道しているが、正直私自身分からないことが多々ありました。でもウクライナのことをニュースで報道されていることとは違う視点、例えば今何に困っているのか、何を求めているのか、に視点を置いて考えてみることが今の私にできことの一つなのではないだろうかと思ったため参加することに至りました。
テレビで見ると、ウクライナやロシア情勢のことが報道されている一方で、当事者一人ひとりの声が私たちに届いていないのが現状だと思います。一人ひとり抱えている問題は違います。話を丁寧に聞く必要があると感じていたため、今回の活動を通じてそれを意識しながらお話を伺うことができました。

午前中にお会いしたMさん(28歳)に初めてお会いした時、吉椿さんが「こんにちは。元気?」と尋ねたところMさんの一言目は「疲れました」でした。Mさんのお母様が幸い日本に避難してきたのですが、日本語が全く話せずMさんが通訳をしています。Mさんはずっと笑顔に振る舞っていましたが、話を聞いていくうちに仕事や家族の世話、通訳などによって身体的、社会的、精神的に疲れが溜まっているのではないだろうかと感じました。そこで、吉椿さんが日本人とウクライナ人の交流会(ピクニックやBBQなど)の話を振ったところ、「ピクニックいつしますか?!」と大喜び。私たちは、交流会を通じてMさんをはじめとするウクライナ人とのコミュニティづくりやウクライナ人のちょっとしたストレス発散につながることを望んでいます。

午後に伺ったのは、日本で結婚した神戸に住むNさん宅。そこには、Oさん(40代)、娘のPさん(15歳)、父(74歳)がウクライナ西部テルノーピリから4月に日本に避難してきました。
Nさん宅で印象に残っている会話は、
吉椿さん「Oさん(Nさんのお姉さん)、仕事見つかるといいね」
Nさん「仕事はどこで見つけたらいいか分からない。仕事を見つけるには、まず日本語がわからないと難しい。市は、子どもの学費は出してくれるが、仕事に対しての支援は出してくれない。やはり日本語が分からないと仕事を見つけるのは難しいです」言っていました。言葉の支援がきちんと整っていると仕事ができる環境が整います。Google翻訳を使用しても言葉のニュアンスが異なり、思うように会話ができないことがあります。
Google翻訳は、多くの言語に対応していますが、文化や慣習の違いを認識することはできません。そのため、もし、言語を外国の言語に翻訳する場合は、その国の文化や慣習を私たち自身が意識することは大切であると感じました。今後、交流会を実施することになれば、この問題を意識して日本とウクライナの文化や慣習を知ろうとする姿勢を持つ必要があると考えます。
また、Nさん宅で驚いたことが一つありました。それは、保険手続きのお知らせが届く一方で、年金支払いのお知らせが届いていたということです。避難してきたウクライナ人は、30年40年も日本に住むわけではないのに年金支払いを請求されていて行政との”ズレ”が生じていました。行政は、ウクライナ人が求めていることを何も知らないのではないだろうかと疑問に思いました。これだけニュースでウクライナ情勢のことを報道しているのに行政は本当にウクライナ人に耳を傾けているのか、と。このことから、私が感じたのは、行政もまずウクライナ人が”今なにを求めているのか”をきちんと理解することが必要であると思います。年金請求の知らせを受け取ったウクライナ人が区役所などに「お金を払える余裕はない」と声を上げるだけでなく、私たち日本人もウクライナ人の声をSNSを通じて発信していく必要があると思いました。

今回の活動で、日本に避難してきたウクライナ人が何に困っているのか、何を求めているのか知ることができました。このような活動を1人でも多くの方にも知ろうとする姿勢を持っていただきたいと思います。難しい場合には、ニュースなどで報道されていることに何か疑問を持って自分なりに考え、調べてみたり、このようなウクライナ人の”声”が書かれたFacebookの投稿などを共有・拡散することもウクライナ人のための大きな行動だと私は思います。今この文章を読んでいただいている皆さんの行動がウクライナ人の今後の生活につながっているといっても過言ではないと思うので、どうかウクライナやロシア情勢のことを他人事とは思わずに考えてみてください。
宜しくお願いいたします。
(園田学園女子大学 人間看護学科3年 髙野史織)

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No.10-モルドバ編①「国籍と人」

「うあ~ビーツだ。これすごい好きなの」と語るのは、神戸市内に住むウクライナ人、Oさん。13歳、6歳、4歳の子どもをたった一人で育てるシングルマザーです。仕事で子どもたちに英語を教え、帰宅してからはわが子の世話で、「くたくたで、帰ってきて何もできないの」と最近痛めた腰を擦りながら語ります。

仕事と育児に疲れたOさんを支えるために3ヶ月前にモルドバからお母さんがサポートにやってきました。
「私たちは国籍はモルドバだけど、ウクライナ人なの」と言います。モルドバの75%はルーマニア系ですが、ウクライナ人も6~7%、ロシア人も4%いると言われています。
今の国境線で歴史や民族、人の関係性を単純に語ることができない事を教えてくれます。この戦争でどんな想いを抱えているのでしょうか。
Oさんは最後に「最近、ウクライナから避難してきた人がいるの。友達もほとんどいないので大変なので、紹介してもいいかしら?」と言ってくれました。公助も届かず、人知れず困っている人にこうやって着実につながっていきます。
(吉椿)

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No.9-ベトナム編①「困窮する在日外国人」

神戸市にベトナム人の若者たちが集まる仏教寺院がある。その名も「和楽寺」。
日本での生活に悩みを抱えたり、行き詰った留学生や技能実習生の若者たちをサポートするのが、住職、チーさん(31歳)。2015年に日本語を学ぶために来日し、先代住職の元で仏教を学び、僧侶として在日ベトナム人たちを支え続けています。

チーさんがサポートするのは、1970年代にボートピープルとして来日した1世とその子どもや孫の2、3世たち、近年増加している留学生や技能実習生たちです。2020年からはコロナで困窮している留学生や技能実習生たちに、生活用品を提供したり、行き場をなくした人たちを寺に受け入れ、共に生活してきました。コロナ禍で受け入れた人数は50人に上るそうです。まさにベトナム人たちの「駆け込み寺」になっています。

チーさんの活動の一助になればと、昨年からCODE未来基金の学生たちが「MOTTAINAやさい便」で丹波の野菜を届けてきました。在日ベトナム人たちの置かれている状況をチーさんにお聞きすると、「コロナで留学生たちのアルバイトができなくなったり、学費が払えなくなったり、就職の内定取り消しになったり・・・」と言います。また、給料の未払いやいじめなどの技能実習生の置かれている厳しい状況も教えてくれました。チーさんは技能実習制度には問題がかなり多いと語ります。
詳細は次回お伝えします。
(吉椿)

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