「国連難民高等弁務官事務(UNHCR)の集計によると、ロシアが侵攻したウクライナから国外へ脱出した避難民が8日までに700万人を超えた。・・・・ロシアには104万人が移った。」(毎日新聞 2022・6・10)と報じていた。一方で「448万人」が帰還しているとみられている」(同紙)とも。他方、こうした数字が発表される中で、「(ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で投降した)捕虜1000人露へ移送」(毎日新聞 2022・6・9)という記事が気になる。無事、ウクライナの故郷に帰ってくることができるだろうかと?
さて、未だウクライナ東部では露軍とウクライナ軍が、激しい衝突が続いている。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、8日に公開した演説動画で、セベロドネツクについて「すさまじい戦いになっている。とても厳しい。・・・・ドンパスの運命がここで決められようとしている」(朝日新聞2022・6・10)と述べた。明日12日は「ロシアの日」。プーチン大統領が「戦争を終わらせるシナリオを描くだろう」?という指摘もあるが・・・・・・?
6月9日付け朝日新聞では、(ウクライナから)出国する自由や「前線に立たない自由」を求める市民がいることを大きく紹介している。ウクライナでは、総動員が発令され、18~60歳の男性国民は、国を離れることができなくなっていたのである。叶わぬ願いなのか、戦時下においては、「自由」は保障されないのか・・・・?SNSでは、「兵士として戦え」「恥を知れ」という声も浴びせられたようだ。もちろん、「自由」は平時において獲得するものだろう。
ウクライナの母、ロシア人の父を持つロシア出身スイス在住の作家ミハイル・シーシキンは「気の遠くなるような人類の歴史のなかで、いったい、『国を愛せ』という呼びかけの末に、どれほどの命が犠牲になっただろう。そして今、ロシア人が、ウクライナ人が、同じ犠牲のもとに立たされようとしている。兄弟は共にその苦しみを味わい、いつの日か共に未来を取り戻そうとするだろう」「愚かな権力が、二国の民衆をけしかけ、敵対させるというおぞましいことをやってのけた。そこでは『言葉』までもが、理解し合うためではなく争うために利用されている」(『ウクライナとロシアの未来-2022年のあとに』ミハイル・シーシキン、奈倉有里訳より)と奈倉さんにメッセージを寄せられた。
2月24日以降の露軍によるウクライナ侵攻以来、この問題を自分事として引き寄せ、考えるための指針のようなメッセージが、こうして翻訳者の奈倉有里さんのご尽力があって、私たちの手許に届くということは大変有難い。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)
PS:CODEは、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。
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