昨日(30日)ロンボク島入りした上野智彦(CODEスタッフ)と増島智子(被災地NGO恊働センタースタッフ)は、とりあえずにロンボク島西側の被災地を訪問しました。西側も多くの家屋が倒壊しているとのことです。今回は2005年の同国ジャワ地震およびその後の「ウォータープロジェクト」以来、カウンターパートナーとして連携しているエコ・プラワット教授(建築家・デュタワチャナキリスト教大学教授)の愛弟子であるリンダ講師と合流し、特に被災住宅の被害について調査しています。(エコ教授は明日合流します。) (事務局)
10月30日、リンダ講師と合流し、ロンボク島の被災地を訪れました。ロンボク島の被災地は島の中心地であるマタラム近郊からリンジャニ山に沿って広範囲に広がっています。マタラムから北に向かって間もなくは所々にしか見られなかった倒壊家屋の跡や損壊した家屋が、山道を抜けていくと次第に目に入るほとんどの家屋が被災している様子に変わっていきます。
ロンボク島西部、大きく被災したPemenang district(kecamatn)ペメナング群のMeggalan village(Desa)メガラン村で住民の方にお話を聞きました。メンガラ村は1250世帯3000人が住み、訪れた地域はその内の200世帯が生活しています。建物の基礎だけが残し、空き地のようになった様子から地域のほとんどの家屋は倒壊してしまったのではないかという印象を持ちました。
特に組積造の家(煉瓦仕様)は全て倒壊しているような状況で、中にはRC構造(鉄筋コンクリート構造)のものもありましたが、鉄筋はかなり細いようです。地域のモスクはRC構造でしたが、地震で壊れました。しかし住民はモスクがRCでできていたから、また同じような構造で再建しようとしています。
そして住民は地域の近くのテントキャンプで生活をしながら家屋の跡地に仮設住宅の建設を行っています。倒壊した家屋の建材はレンガや木、窓枠などに区分してまとめられており、仮設住宅に再利用されています。仮設住宅の建設には、どのように選ばれたのかは分かりませんが、この地域の20世帯にはインドネシアのテレビ局が、トタン屋根と壁に使う合板の材料を寄付したそうです。
被災者はその材料を使って、仮設の家を建築しています。
仮設住宅建設が行われている中で何軒か柱の接合部に木組みを用いて再建を行う様子が見られました。住民からは組積造は倒れたので、木材を使った伝統的な建築方法がいいと言う声が聞かれます。建設を行う大工さんも「(木材を使った)伝統的な建て方を参考にした。」と仰っており、実際に同じ地域には地震前から存在した木組みを用いた家屋の跡がありました。
このように地域の建て方を積極的に引き継いで再建を行おうとする住民も見受けられます。
一方で多くの住民は未だ家屋の再建どころか仮設住宅を建てる目途も立っていないという状況にあります。仮設住宅も決して安価ではなく「政府のお金が来なければどうしようもない。」と住民が嘆くように、家屋の再建の目途が立たないことや雨季が目前に迫っており風雨や地滑りの恐れもあり、被災者の不安は日々増している状況にあります。
なお今回は、ネパール地震の際に「耐震住宅再建プロジェクト」に協力してくださった耐震構造の専門家である北茂紀さん(一級建築士)も同行して下さっています。
(上野智彦、増島智子)