月別アーカイブ: 2021年5月

No.52「フィリピン・バンタヤン島の野菜作り」

コロナで困窮しているフィリピン・バンタヤン島の漁村の住民グループへの食支援プロジェクト。みんなで食事を作る「コミュニティ・キッチン」は現在感染拡大のため休止中ですが、各家庭では「コミュニティ・ガーデニング」で野菜作りをしています。今はオクラやゴーヤ、チリを育てているそうです。どの家庭も広い畑があるわけではないので、家の敷地の限られたスペースになりますが、少しずつ育てています。

もともと経済的に厳しい漁村の家庭では、あれこれ食材を調達するのが難しく、日によってはご飯と干魚だけの食事ということもあります。少しでも食事に野菜を取り入れることは、免疫力を高めて感染症を予防するためにもとても重要です。

日本にいる私たちもこの取り組みから学ぶべきことがあります。こうした家庭菜園は、外出を控える高齢者の心身の健康維持にも役立ちます。また、食べるものをよそから買ったり与えてもらうばかりではなく、自分たちでつくるということも、コロナ禍で改めて問われています。

CODE未来基金では丹波の農家さんと一緒に農や食について学ぶ活動も始めました。生きるうえで欠かせない食べるものや、食べるということを通じて、国内外それぞれの地域の課題や、共通の学びが見えてきそうです。

No.51「フィリピンのコミュニティ・パントリー」

フィリピン・バンタヤン島で行っている食支援コミュニティ・キッチンとコミュニティ・ガーデニングですが、フィリピンでも変異ウイルス等の影響で感染が再拡大しているため、現在は人の集まる活動が制限されています。
各家庭で「ガーデニング」の野菜作りを行う一方、みんなで食事をすることは休止しています。
人が集まれない中でも、やり方を工夫しながら活動ができるよう、カウンターパートのジョジョさんと相談しています。

そんな中、ジョジョさんが、今フィリピンで急速に広がっている「コミュニティ・パントリー」について教えてくれました。
これはいわゆるフードパントリーで、自前や寄付で集めた食料・日用品を無料で提供しています。
4月半ばにマニラ首都圏ケソン市のある女性が、路上で米や野菜、衛生用品などを積んだ小さなワゴンを置き、「できる範囲で与え、必要に応じて受け取ってください」という手書きの看板とともに提供を始めました。女性は、それぞれのコミュニティでもパントリーを始めるよう呼びかけました。
するとSNSなどで急速に広まり、1週間のうちにマニラ周辺を中心に全国で約350のコミュニティ・パントリーが立ち上がりました。

このムーブメントは、フィリピンの助け合い精神「バヤニハン」を体現しているとも評価される一方、政府のコロナ対応や支援策に不満を抱えた市民が「自分たちにできることを」と呼応して広がったとも言えます。
当初、地元警察や反共産主義タスクフォースはこの活動を「反政府勢力とつながっている」として警戒していましたが、現在は政府が活動をサポートするようになっているとのことです。
身近なところで、できる人ができることを。小さな草の根の取り組みが無数に立ち上がることで、「最後のひとり」が救われるということを、教えてくれているように思います。

参考記事
Philippine Daily Inquirer(2021/4/22)
The Washington Post(2021/4/21)