月別アーカイブ: 2021年2月

No.50「フィリピンの『コミュニティ・キッチン』の様子」

新型コロナウイルス感染症で困窮したフィリピン・バンタヤン島サンタフェ町の漁村の住民アソシエーションを支援する「コミュニティ・キッチン」のプロジェクトの様子が現地から届きました。

ポオックとオコイ2地区の住民アソシエーションで、それぞれ3グループに分かれて食事を作り、子どもたちを含めてみんなで食事をとりました。
参加したアソシエーションのメンバー方がメッセージを送ってくれました。
「コロナで今は仕事が大変厳しい状況なので、今回の支援はとてもありがたいです」
「子どもたちや家族に栄養のある魚や野菜を食べさせられてうれしいです。世界的なパンデミックでみんな大変な中、支援をしてくれたことに感謝しています」

現地NGOのジョジョさんによると、今回のように家族以外の地域の人で集まって食事をする機会は、誕生日や村の祭り、冠婚葬祭以外では普段あまりなく、参加者にとって新しい経験になったのではないかとのことでした。
コロナで人と人との距離が広がる中、プロジェクトをきっかけに、小さいながらも新しいつながりが生まれているようです。

No.49「イベント報告:震災26年企画 ポストコロナに向けて、『いま』、1.17とどう向き合うか?」

阪神・淡路大震災26年目の1.17より、1か月となりました。先日、震災26年企画として「ポストコロナに向けて、『いま』、1.17とどう向き合うか?」をオンラインで開催しました。
そこでの議論についてレポートいたします。

開催にあたり、CODE理事の村井雅清から、コロナ禍の「いま」1.17と向き合う上での大きな歴史上の位置付けについて概説され、ボランティアの起源とも重なるかつてのアソシエーションが、人と人との連帯を意味していたと指摘されました。また、被災者主体と補完性の原理が根本であり、被災者の声を代弁するボランティアのことばに向き合うことが原点であると語られました。

前半は、阪神・淡路大震災での経験を振り返りつつ、コロナ禍での問題意識を共有しました。コロナで人と人との壁が厚くなりつつある今こそ、自分以外の人のことをいかに想像し、つながっていくかが重要であるということや、現場で起きているリアルを伝えるうえでの信頼関係の構築の重要性などを確認しました。また、コロナ禍の被災地で県外ボランティアが制限される状況について、ルールで縛られている以上に、各々が「自粛」という空気に支配されていることの問題点が指摘されました。

後半は「ポストコロナに向けて」として、熊本県球磨村渡地区の大原伸司さんから2020年7月豪雨の被災地での取り組みについて、追手門学院大学2回生の柳瀨彩花さんからコロナ禍での地域での取り組みについて話題提供いただきました。お二人とも、「被災者」とそうでない人とをつなぐ役割をとの思いから、身近なところからできることを始めています。柳瀨さんは「当初は何か大きなことをしなければと思っていたが、自分の足元にいる人を思いやることはできると気づいた」と語りました。一方、大原さんからはボランティアのいない被災地での、被災者の不安、孤立など厳しい状況も伝えられ、「ぜひボランティアに来てもらいたい」との言葉がありました。

総括としてCODE代表理事の室﨑益輝より、「自粛」の気持ちを乗り越え、困っている人がいれば手を差し伸べるというボランティアの原点に立ち戻るべきとの指摘があり、そのためのやり方をもっと能動的に探し、生み出し、広げていくことが必要と語られました。さらに、コロナの問題をきちんと議論して解決しなければ、次の巨大災害には対応できないことも指摘されました。

今回の企画では、「1.17と向き合う」ことや、議論された一つひとつのテーマを深めることは時間的にも不十分となってしまいました。今後、改めてテーマを設けて深めていく企画を実施していきたいと考えています。その際はみなさまぜひご参加ください。

No.48「『コロナとこれからの市民社会に向けて 第3回コロナと災害・気候変動』を開催しました!」

CODEと近畿ろうきんさんとのコラボ企画で3回シリーズを開催してきましたが、最後は阪神・淡路大震災から26年のタイミングで1月16日(土)に開催し、51名の方にご参加いただきました。
スピーカーは、国内で災害支援に取り組んでいる日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)の寺本弘伸さん、気候変動危機に対して政策提言などを行っている気候ネットワークの伊与田昌慶さんのお二人です。それぞれの活動やコロナ禍における課題などをお話しいただきました。

寺本さんは、気候変動とも関係する昨年の九州の豪雨の支援ついて、コロナ禍で被災地ではボランティアが不足する中でGo toトラベルを実施する政策的な矛盾やコロナ禍で避難所の人数制限で入れない被災者がいた事例、また大阪の地域でコロナ禍で孤立している高齢者と大学生との文通、近年の雨の量が増え、水害が多発している事から気候変動の影響を懸念している事などを現場からの視点でお話しいただきました。

伊与田さんからは、2020年が観測史上最も暑い年で、過去20年で気候災害が80%以上増加した事、温暖化と気候災害の関連は近年、科学的に実証されるようになった事、もっと早く気候変動の対策を行っていればコロナ禍での避難所か自宅かなどの選択を迫られる必要はなかった事、温室効果ガスの排出で日本政府の進める石炭火力や原発のエネルギー政策と気候災害問題との矛盾が指摘されました。

吉椿からは、CODEが武漢などコロナ支援の中で見えてきたNGOやボランティアなどの市民が公助の隙間を埋めていた事、Stay Homeだけでは守れない命がある事などをお伝えさせていただきました。

その後のディスカッションでは、気候変動というグローバルな危機の中で、ローカルで災害が起き、支援や復興する前に次の災害が来るという時代に入っている事、コロナ前の社会はそれほどいいのものではなかった事、コロナで見せつけられた社会の持続不可能性や不正義を今こそ見つめ直し、よりよい社会に転換していく事、公が市民社会に丸投げしようとする中、市民社会の役割を考える事は公助の役割を問うことになる、など非常に重要な視点が議論されました。
参加者との意見交換では、若い人たちに希望を託すというのは無責任だ、大人も若い人たちと共に「誰かのせいにするのではなく、一人ひとりが自分のやれる事をする」という姿勢も再確認され、そのためには課題解決につながる本質的な流れを押さえた上で一人ひとりがやるという事が必要だ。また、社会を変えるには、根本的な価値観を共有できる人たちが人口の3%いればいいという意見もありました。

会の最後には、榛木CODE理事より「国内と海外のテーマは同じで、SDGsがその羅針盤になる。NGO/NPOは、多様なセクターと柔軟な議論をし、時に互いに釘を打ち合う事も必要。皆さんと共に市民社会の担い手として歩んでいきたい」との言葉をいただき、室崎代表理事からは「気候変動も、コロナも、減災社会も、貧困も根本は同じである。大局を見て基本に向かって進んでいくことが大切だ」との言葉で会を閉じました。

近畿ろうきんさんとの3回のオンラインセミナーはこれで終了いたしました。ご参加、ご協力ありがとうございました。(吉椿)

No.47「田中産業(株)様より、フィリピンへレインウェアをご寄付いただきました」

CODEの理事である堀之内有希さんが勤務している農業資材メーカー田中産業株式会社様より、企業のSDGs推進の取り組みの一環として、旧式商品のゴアテックス製レインウェア300着のご寄付をいただきました。ウェアは、2013年台風ヨランダの被災地であり、新型コロナウイルス感染症の支援プロジェクトを始めたフィリピン・バンタヤン島の2つの住民アソシエーションの元へ届けられました。

ポオック地区のアソシエーションのボニーさんは「雨期の時期や漁をするとき、自分たち家族にとってとても助かる。大変感謝している」とメッセージを送ってくれました。
アソシエーションのメンバーの多くは漁師であり、彼らの保有する小型ボートは風や波の影響も受けやすいため、いつも過酷な環境下で仕事をしています。また、雨期には非常に激しい雨が降ります。レインウェアはメンバーたちの安全や健康を守るために大変重宝されることと思います。

堀之内理事は、学生時代からCODEの活動に参加しており、今回勤務先での事業とCODEの支援活動とをつないでくださいました。ご縁がこのようにかたちになることをうれしく思います。
田中産業様、堀之内理事、改めましてご支援ありがとうございました。

今後も、CODEは市民・企業のみなさまの想いやご支援を海外の被災地に届けるとともに、共に学び合うつながりを大切にしていきたいと思います。