No.37「ヨーロッパの感染状況」

欧州で新型コロナウイルス感染症拡大の第二波が深刻化しています。
フランスは、今春に続く都市封鎖(ロックダウン)に踏み切りました。6日の新規感染者が6万486人と、初めて6万人を超過して新たな死者数も828人となり、累計4万人に迫っています。同国では、経済活動と感染防止を並行して進める方針を打ち出していましたが、感染拡大のスピードが想定以上に早く、厳しい措置に踏み切らざるをえない状況になっています。
イタリアでも同じく6日に、新規感染者が3万7809人と、過去最多を更新し、全土で午後10時~午前5時の夜間外出命令が発令されました。これにより、北部ベルガモでは規制反対のデモが発生しました。先月、飲食店の夜間営業停止命令が発表された際にもミラノやローマでデモが発生しており、拡大が懸念されています。
スペインは、先月末に西ヨーロッパで初めて、新型コロナウイルス感染者数が100万人を超えました。1日には、首都マドリードで市営葬儀会社の従業員らが24時間のストライキを行い、第二波による死亡者数の増加を見据えて、葬儀従事者の増員を求めています。流行開始後に感染のピークが訪れた3月下旬~4月には、マドリードでの埋葬のためには5、6日間かかり、遺体の数が多すぎて、数百キロ離れた別の都市で火葬しなければならなかったことなどが指摘されています。
イギリスでも同様に感染拡大に歯止めがかからず、11月5日~12月2日までの2週間、首都ロンドンがあるイングランドで二度目の都市封鎖が行われています。重傷者や死者数も高止まりしており、累計死者数は5万人を超えています。15日夜(日本時間16時早朝)には、ジョンソン首相が新型コロナウイルスの感染者と接触したため、自己隔離に入ったことが発表されました。ジョンソン首相は、3月下旬に新型コロナウイルスに感染し、集中治療室(ICU)に入るなど、重症化した経緯があります。現在、症状は全く出ておらず、自己隔離は「新型コロナウイルス陽性判定を受けた人との接触があった」ことを示す、追跡アプリの通知に基づいてのことだとしています。
経済への影響を懸念し、日本も含めた各国で規制が緩和されてきていましたが、同時に感染防止への意識も低下し、第二波の深刻化や第三波が押し寄せています。一方で、イタリアでのデモの事例のように、感染症防止のための様々な規制によってダメージを受ける人たちが多くいます。感染防止対策と経済活動をどのように両立していけるのかを模索しながら、私たち1人ひとりが意識をもって行動する必要があります。(原田)

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