先日、「被災地の現場から」と題して、7月豪雨の被災地である大分県日田とオンラインで開催しました。日田のNPOリエラの代表理事の松永鎌矢さん、副代表理事の河井昌猛さん、被災地NGO恊働センター代表の頼政良太さんの3名より現場ならではの報告をしていただきました。
3年前の九州北部豪雨をきっかけに設立されたリエラは、今回、地元の団体として天ケ瀬や中津江村の被災地の支援をおこなっています。天ケ瀬は、温泉地でコロナ禍で営業自粛をしていて、これからという時に豪雨災害で大きな被害を受け、すでに廃業を考えている温泉旅館も出てきていると言います。
また、道路が寸断し、一時完全に孤立状態になった中津江村では、地域の顔の見えるつながりで助け合ったといいます。中でも、話題になったのが、「生活文化圏」。日田市は、大分県ではあるものの玖珠川沿いを西に大分市に出るよりも、三隈川沿いに東へ福岡県のうきはや朝倉出る方が早いし、便利であると。
思えば、江戸時代は、天領日田の名産、「杉」は、三隈川から筑後川を通じて下流の家具の町、大川に搬出されていた。今も、日田から福岡県内に通勤する人もいるように福岡文化圏なのです。
また、2005年に日田市に合併した中津江村は、福岡県の八女市と熊本県の小国町に境を接していて、中津江村の住民は日田市内ではなく県境を越えて小国町に買い物に行ったり、家族親戚などの行き来もあるそうです。このように生活文化圏という視点で見ていくと、災害ボランティアの募集を県内外で分けることが現実に即していない事が見えてきます。そこに暮らす人たちの暮らしの視点からものを考えることの大切さに気づかされます。実は、これは日本各地の中山間地域にも言える事かもしれません。
CODEの姉妹団体でもある被災地NGO恊働センターの頼政代表は、リエラの理事でもあり、いち早く日田の被災地に入り、リエラのバックアップをしています。現地だけでは、なかなか知りえない住宅再建に関する相談などをオンラインで外部の専門家とつなぐ役割を担っています。コロナの影響で、これまでのように現地に入ることが憚られる状況はありますが、やはりキーになる経験や知恵、ネットワークをもった人が現地に入り、外部とつなぐことの大切さも語られました。やはり、現場に寄り添った人たちならではの生の報告でした。
新型コロナウイルス感染症は、世界各地で第2波が確認されており、収束の兆しすら見えませんが、このコロナ禍の中でも現場から生まれてくる智恵や経験知を学びながら、一人ひとりにできることを考えていきたいと思い
ます。(吉椿)