「市民力と安心、そして最も厳しい人たちへのまなざし」
中国湖北省武漢市で発生したコロナウイルスによる新型肺炎ですが、現時点(3/19)で世界150の国と地域に感染が拡大しています。
世界全体の死者数は8,784人、感染者数は200,500人(AFP集計)となっています。中国本土(香港・マカオを除く)の感染者は、80,894人で死者3,237人となっていますが、69,601人もの人が回復しているという事実も忘れてはいけません。中国に次いで感染者が多いのが、イタリアで感染者35,713人、死者2,978人、イランで感染者17,161人、死者1,135人、スペインで感染者13,716人、死者598人、フランスで感染者9,134人、死者264人となっており、ヨーロッパで甚大な被害が出ています。
前号でもお伝えしたように3/9に大阪大学未来共創センター・災害ボランティアラボの主催(CODE共催)「中国・台湾から学ぶ」という学習会を中国とオンラインでつないで開催しました。
この学習会を開催することになったのは、カウンターパートの張国遠さんとの情報のやり取りの中で、「 今、武漢では、回復者への差別や高齢者の孤独死、自閉症児の餓死などの厳しい問題が起きている」ことを知り、それは感染が広がる日本や各国で今後、武漢のような状況が起きるかもしれないと思ったからです。
この学習会で各地からの報告で見えてきたのは、「市民力」と「安心」、「最も厳しい人たちへのまなざし」でした。
オンラインでボランティア活動を行っている中国の張さんからは、「NGOやボランティアが注目すべきは、公的援助から取りこぼされているホームレスの方、高齢者、重症者、障がい者、貧困家庭などだ。」、「武漢ですでに動いている地元のボランティアの人たちが大切だ。」、「ボランティアやNGOなどの社会の力(市民力)を結集することが大切だ」などの報告がありました。
台湾からの報告では、京都大学の李旉昕さんが「いち早い政府の対応の背景には、2003年のSARSの経験やWHOから除外されていること、市民やメディアからのプレッシャーなどがあった。」、「データや情報を積極的に市民に開示することが安心につながる」、「孤立しているからこそまとまることができた」と報告してくれました。
これらの報告を受けていかに市民が連携し、政府を動かし、安心を確保するかが重要であること、そして今後起きる可能性のある最も厳しい状況の人たち(高齢者など)のいかに守るのかを学ぶことができました。そのためにはやはり「市民力の向上」が必須です。
WHO(世界保健機関)は、3/11にパンデミックであることを宣言し、もはや中国や日本だけの問題ではなく、世界全体で知恵をしぼってこの難局を乗り切りのか、そしてウイルスといかに共存していくのかを考えなくてはなりません。(吉椿)
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